日々の寝言~Daily Nonsense~

消費者としての人生、投資家としての人生

自分が「消費者」である、と思っている人は多いだろう。

誰もが、自分が稼いだお金で、何かを消費して、
自分の生命を維持したり、気力を回復させたりしている。

多くの人が、価格比較サイトや口コミサイトで、
自分のお金をどう消費するかを考えて、工夫している。
少しでも得をするために、多くの労力を費やしている。

それに対して、自分を「投資家」である、
と思っている人はまだ少ないと思う。

自分の手持ちの資源をどう投資するかについて、
消費の場合ほどは考えていない人が多いような気がする。

でも、投資家って、大量の資金を株なんかに
投資している人なんじゃないの?
そんな資金ないし、そもそも、投資と消費の違いって何?

投資:支出資源以上のリターンを期待する行動?
   リターンは後で、未来に来る。それなりのリスクを取る
消費:支出資源と同じリターンを期待する行動?
   リターンはその場で来る。リスクは小さい

Wikipedia より(若干改変)
投資活動は貨幣が循環する中で、経済に対して資本蓄積をし財を増やす。
当初原野であった土地に、耕作地が出来、都市が出来、道路が出来るのは
これらの投資活動の結果である。

投資と消費は、対立する概念というわけではなく、むしろ、
レベルが違うのであって、投資活動という大きなサイクルの中に、
いろいろな消費活動が含まれる、それらは不可分である、
と考えるほうがよいようだ。
(Wikipedia に挙げられている例は適切なんだろうか?)

なぜ投資活動が可能なのか?
なぜ存在するのか?

それは、世の中のコンセンサスとして、
財(価値)を創造することで利潤を得る、
ということが許されているから、なのではないか、と思う。

たとえば、すべての生産物は、原価(労働賃金や輸送代なども含めて)
で取引されなければいけない、という法律があったとすると、
投資活動はありえないような気がする。

それでは、生産=価値創造、特に、新規な価値の創造に対する
インセンティブが無くなってしまう。
だから、投資活動、つまり、生産によって利潤を得ることが許されていて、
それによって、世の中の財が増える、つまり、経済が成長して、
生活水準が上がる、のだろう。

人間が、そうした成長を望んでいるわけで、
それにあったシステムとして採用されているのだと思う。

結果として、誰でも、自分の時間やその他の資源を費やして
お金を稼いでいるときには、ほとんどの場合、
何らかの投資活動に参加しているはずだ。
その意味では、資本主義社会では(株式投資などしていなくても)、
多くの人が投資家であるはずなのだ、と思う

投資しようにも、元手となる資本が無い、
と言う人は多いかもしれないが、
初期資金とか、人脈とか、といった資源は、
生まれつきでも異なるとしても、少なくとも「時間」は、
誰にでも平等に与えられている。

自分の時間をどう使うかは、基本的には自由だ。
だからこそ、自分がそれを何に「投資」しているのか、
を自覚することが大切のように思う。
特に、投資には損をするリスクが伴うのだから。

自分を投資家として捉える人が少ないのは、
自分の時間をどう使うかは、自分で決めるというよりは、
社会や会社から自然に与えられる、という状態が続いたからかもしれない。
言われたとおりに投資していれば、自然に年功序列で
リターンが得られたからかもしれない。

しかし、そういう受動的な状態はあまり良い状態ではなくなっている。

投資先の自由度が高ければ、リスク分散などをして、
利潤を得る確率を高めることができる。
一方、将棋でもそうだが、追い詰められるほど、打てる手は限られ、
投資先の自由度は下がってゆき、それがまた不利を招く。

この観点からみると、「労働者」とは、
投資先の自由度があまり高くない状態と言えるかもしれない。

いろいろな「お金持ちになる方法」が語られているが、
自分を消費者として捉えるのではなく、投資家として捉える
(消費活動はその一部と考える)ことが必要な時代になっている、
ということなのかな、と思う。

決して、株式投資とかを勧めているわけではなくて、
そういうことをしなくても、最低でも、自分の時間は
何かに投資しているはずなので、
まずは、それについて考えてみるのがよいと思う。

そうすることで、自分の人生を自分で決めている。
自分の人生の主人は自分である、
という感覚も、少し恢復することができるような気がする。

でも、「モモ」は、そんなの勘違い、
って言うかもしれない。
投資でも消費でも、今の社会に巻き込まれていることは
間違いないんだから・・・

追記:4/13の池田信夫さんのエントリーに、
以下のような Milton Friedman の言葉が引用されていた。

Yes, it’s true consumer spending accounts for about 70 percent of
nominal GDP. But that doesn’t cause anything. It’s 2 percent or
3 percent or 5 percent of the population who are the risk-takers,
the entrepreneurs, the innovators, who cause the growth.

ということは、つまり、そういう risk-taker に雇われて
働いている労働者は、自分の時間という資産を、
単に売っているだけで、投資はしていない、
ということになるのか・・・
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