medRXive に投稿された論文。
Paul Raymond Hunter, Felipe Colon-Gonzalez, Julii Suzanne Brainard, Steve Rushton
Impact of non-pharmaceutical interventions against COVID-19 in Europe: a quasi-experimental study
英国の研究者グループが、ヨーロッパ 30か国について、
・多くの人が集まるイベント等の規制
・最初の営業規制(バーやレストランなどが対象の場合が多い)
・休校(学校の種類に依らず)
・不要不急なビジネス・商店の営業規制(たとえば一般的な小売店やヘアサロンなど)
・外出規制(いわゆるロックダウン)
・マスク着用の奨励
という6種類の感染拡大抑制施策の効果
(感染者数、死者数の変化への影響)を
multi-level mixed effects regression analysis と
Bayesian generalised additive mixed models (GAMM)
という二つの手法を使って解析している。
その結果、感染拡大抑制に対する効果は、
休校と大規模イベントの抑制が最も大きかったという。
最初の営業規制も効果があった。
その一方で、より広い範囲の不要不急ビジネス規制、
外出規制(いわゆるロックダウン)、
マスク着用奨励については、感染拡大の
抑制効果は認められず、一部については
拡大効果も見られた。
査読前のプレプリントであり、
著者らもまだ初期的解析と断っている。
観察データであること、
同じ種類の施策といっても、
細かく見れば内容が異なること、
感染拡大は非線形な発展をするので、
SIR モデルのようなものを組み込む
必要はないのだろうか、ということ
などが気になる。
そうした点も含めて、
モデルや解析の妥当性については
さらなる検証が必要だろうが、
興味深い試みと結果だと思う。
休校が効果的ということは、
子供や若い人を通じた感染の拡がりが
大きいのかもしれない。
バーやレストラン、大規模イベントは
各国でクラスターの発生源になっているので
理解しやすい。
一般的なビジネス規制の
効果がはっきりしないというのは、
そうかもしれないとも思う。
外出規制の効果が認められない
というのはちょっと驚きがあるが、
導入されるタイミングや他の施策との関連性も
関係があるのかもしれない。
それぞれの国の感染拡大開始日と、
各種施策導入の日の情報などが
含まれていて、それを見るのも面白い。
今後、さらに解析や検証が行われて、
第二波以降への対策の参考になれば
良いと思う。
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