「競争と共生」
途中から視たのだが、印象に残った言葉は;
「三方よし」(近江商人のネットワーク思考)
ノードからネットワークへ
「生活・社会の安定」-「個の自由」-「理想」
産業革命の後、増えた富をどう分配するかが問題になって共産主義が生まれた
共生の基盤は「相互理解」と「共感」
自由の先にある理想、それは、相互理解であり、共感であり、
それに基づくネットワーク思考に基づいた共生だろう。
人類の共生、生命の共生、地球の全体最適化。
それはまた、理想的な意味での共産主義が目指した
(今でも目指し続けている)ものでもある。
その理想が危機に瀕しているというのが、
途中で出て来たアラブ学者の方の認識だし、
だからこそ、フランスのテロを「文明の衝突」にしたくはない、
という女性科学思想史家の方の意見もよくわかる。
ムスリムの問題にせずに、カルト問題ということにすれば、
普遍的理想は壊れないから。
その一方で、ムスリムについて語らずに、
今のテロについて語ることも難しいとは思うのだが・・・
しかし、それはともかく、
この普遍的理想であるところの相互理解が
原理的に不可能であることは最初から明らかだ。
なにしろ、すぐ隣にいる愛する人の心さえ、
理解不可能、不可解千万なのだ。
人の心に悪はあり、争いは絶えない。
しかし、原理的に不可能だからこそ、
人間にとっての見果てぬ夢であるからこそ、
常に忘れずに、追い求めなくてはいけない
普遍的な理想なのだと思う。
だからこそ、「近代の超克」は、
その時々の時代状況に応じて
何度でも蒸し返されるお題なのだろう。
* * *
日本人が競争や格差が嫌いなのは、
競争が最適ではないことを身を持って知っている、
日本文化の遺伝子として持っているから、かもしれない。
唯我にならない(究極の唯我でもある)仏教思想を好み、
中国、韓国、インド、東南アジア、ロシア、ヨーロッパ、
アメリカ、中東、すべてから、文物を柔軟に取り入れ、
歴史的に win-win の関係を築いてきた(もちろんそうでない時もあったが)
日本が果たすべき役割もまた、人類共生の理想に向けてのものであるはずだし、
番組の最後に出てきた人工知能のようなテクノロジーもまた、
その理想の実現(それは決して実現はしないのだが)
のために使われるべきものだと思う。
参考:加藤周一:「雑種文化-日本の小さな希望」、「日本人とは何か」
実際、今の世界のテロなどの現状は、
自由主義、自由市場に基づく資本主義社会や、
個人の自由と民主主義に基づく今の政治の在り方が
ターニングポイントに来ていることを
示しているようにも思われる。
そして、それらのシステムの根本にあるのは、
ひとつは情報処理の問題だ。
産業革命以前の課題が物質-エネルギー処理の問題であったとすれば、
現在の課題は、市場(価格決定メカニズム)に代わる情報処理、
選挙・代議制(利害調整メカニズム)に代わる
情報処理のシステムをどう築けるか、なのかもしれない。
そもそも、現在の状況を招いた一つの要因は、
インターネットによる情報爆発であるとも言える。
アラブの春もまた、インターネットが引き起こした部分がある。
情報の流通は、システムの不安定性を引き起こす
ということのひとつの現れ。
とすれば、そこにこそ、インターネットがもたらした自由の
先に進むためにこそ、人工知能のようなテクノロジーが必要なのであり、
それは情報処理技術者にとっての課題であるようにも思われる。
もちろん、テクノロジーは常に諸刃の剣であり、
人工知能もまた、局所最適化と競争、格差拡大のために
使われる可能性がのほうが大きい。
しかし、そうしない知恵を、
21世紀の人類が持つことを祈りたい。
* * *
というようなことを考えた。
新年早々の年頭所感にしては
なかなか悪くないかもしれない、と思う。
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ぐれい
riri
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