「華麗なるギャッツビー(The Great Gatsby)」
の何度目かの映画化。
日本ではちょうど DVD が発売されている。
海外出張の飛行機の中で鑑賞した。
基本的に 3D 映画であり、
映像+音楽のインパクトを楽しむための作品だろう。
ディカプリオをギャッツビー役に起用し、
監督はキャメロンに挑戦したかったのかもしれない。
大恐慌前のアメリカンドリームの
壮大な馬鹿馬鹿しさを、
やり過ぎなくらいに描き出している。
これを見ると、日本のバブルは
やっぱり小さい・・・
今回は 2D の小さなスクリーンでの鑑賞だが、
それでも、その意図は
かなり達成されているように思えた。
なにより、絵がとてもきれい。
丁寧に作られている。
2D で見ていて、箔をばらまくなどの
3D 的演出が頻出するのが謎だったのだが、
理由を知った後は、良い環境で 3D で見てみたかった、
と思った。
そして、その馬鹿馬鹿しさと対比されることで、
ギャッツビーの純愛の切なさもまた
しっかりと描かれている。
恋するものを象徴する、
緑の明かりへの想い。
しかし、そのギャッツビー自身もまた、
仮面をかぶったもの、その馬鹿馬鹿しさの
一部であることを避けられない・・・
悲劇的、と言うよりは、
とても空虚なエンディング。
その空虚さは、物語作者のその後、を
最初と最後に追加したことによって、
上手に強調されている。
というわけで、原作の深みには及ばないが、
なかなか楽しめた。
映画の尺を考えれば、
原作に及ばないのはやむを得ないと思う。
何かを切り捨てなくてはならず、
ギャッツビーやデイジーの過去が
かなり切り捨てられている。
個人的には、デイジー役を演じていた
「わたしを離さないで」のキャリー・マリガン
が見られたので、何も文句はない。
いかにも良家のお嬢さんらしい、
無垢と無知と覚悟のなさ、を
上手に演じていたと思う。
あまりにストレートなギャッツビーに
追い詰められて、可哀そう。
さすがに、最後だけは、
上流階級に染まったというか、
ちょっと悪っぽい雰囲気も出していたが・・・
でも、まぁ、そういうことは
どうでもいいくらいに素敵で、
さらにファン度が向上した。
Yahoo!映画のレビューにあったのだが、
「泣き出しそうに見える笑顔」
がいいというのはなかなか当たっている。
実際、この映画でも、一番いいシーンの一つは、
ギャッツビーから服をたくさん投げられて、
うれしさのあまり、泣き出すシーン。
なんだか、ものすごく甘酸っぱい感情を
引き起こさせる、天性のものを感じる。
もちろん、こちらの勝手な思い込みなのだが・・・
前回の映画化は、
ロバート・レッドフォード+ミア・ファローで、
デイジーはかなりの悪女に描かれていたそうだが、
比較して見てみるのも面白いかもしれない。
そして、もちろん、原作を再読したくなった。
ノーベル賞候補の村上さんの訳で。
P.S.
この映画のラストを見ると、
"The Great" を「華麗なる」
と訳すのはどうなのだろう?と思うのだが、
村上訳のタイトルはあえて訳さずに、
「グレート・ギャツビー」なのだ。
この "The Great" はやはり
訳せないのだと思う。
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