日々の寝言~Daily Nonsense~

ワーキング・プア(再)

頭痛がするので国会中継を見ていた。
日本共産党の市田書記長と社民党の福島党首が質問していた。
どちらも、偽装請負、ワーキング・プアの問題を取り上げて、
規制緩和、派遣法改正を批判していた。

大きな流れとしては、労働力市場に、
中国、インドなどの労働力が流入して、
労働力の価値が世界的にかつ一時的に下がっている、
ということがあるのだろうから、
10年前より給料が下がるのはやむをえない面もあると思う。

派遣の問題も、労働力の流動性確保、というのは
トレンドとしてはしかたがない面がある。

その分、そうした安い労働力流入の結果として、
物価も下がっているはずで、日常的な生活コストは
たぶん10年前より下がっていると思う。
(ただし、医療費などの問題は大きいが)

もう一方に、政府債務や年金の問題があり、
今までのようには、社会保障をしてゆけない、
という事情もある。

そういう環境条件を考慮すれば、
生活水準が10年前より悪くなっても、
しかがたない部分はある。

だから、ごく大雑把に、待遇悪化、サービス低下を
なんとかしろ、というのでは、議論にならないだろう。
国の経済力に限りがある以上、それが低下すれば、
切り捨てられる人が出てくるのは必然で、
それを防ぐには、国の経済力を上げることだが、
それがすぐに難しいとすれば、
全体として納得を得ながら少しづつ下げる、
以外には方法は無い。
問題は、それを、国の活力を奪わずに、
どううまくやってゆくか、だ。

逆に、規制緩和して市場原理に任せればよい、
というわけでもないのは当然だ。

池田信夫さんのBlogにも書かれているように、
一般論としては、規制緩和すれば、
それによって起こるさまざまな事態を
事後に取り締まる手間は増えるのだから、
規制緩和は、直接的には効率よい政府にはつながらない。

理想的な市場、理想的な労働力など存在しない以上、
市場原理でうまく調整できない部分が生じるので、
そこを法律でなんとかする、のが
国会のひとつの役割だと思う。
必要なことは、古くなった規制・慣習を適切に
アップデートしてゆくことなのだが、
これがなかなか難しいので、
衆知を集めましょう、というのが国会だ。

たとえば、偽装請負の問題についてみれば、
待遇の不平等が大きな問題で、
同じ場所で同じ仕事をしているなら、
同じ待遇、であるべきだろう。
そのためには、正社員の待遇が全体として低下する
こともしかたがない。それが現時点でのその企業の力、
ということになる。

しかし、今は、しわよせが、派遣される人にだけ
かなり偏っている、というのが問題だと思う。

さらに、朝日新聞で佐藤俊樹さんが
書いているように、世代間不平等があり、
ここ10年くらいに就職年代になった世代だけが
かなり割をくっているのも問題だ。
地域格差も大きい。

だから、派遣業者を規制するのも必要だろうが、
やはり、派遣法を再改正するなりして、
もっと、こうした点についての雇用企業側の
責任を強化し、罰則つきの規定を作ることが必要だと思う。

それにしても、国会なのだから、
「どうお考えですか」とか訊いて
政府の責任追及をするだけでなく、
具体的な改正法案の提出までいって欲しい。
政府側答弁も、「法令違反があれば厳しく
取り締まる」と言うのは、なんか変だと思う。

役所に文句を言ったときに、
「われわれは法律にのっとって仕事している」
と言われるのはやむをえない面もあるが、
法律を作ったり、改善したりする場である
国会で、「法令順守してゆく」は無いのではないか?

コメント一覧

@隼人正
http://radical-japan.seesaa.net/
はじめまして。「ワーキングプア」のキーワードでたまたま訪問させていただきました。

自分のブログでもこの件は話題にさせていただいております。

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