福永武彦さんの「愛の試み」が眼にとまった。
すごく懐かしい。
まだ売られていたのか、という驚き。
もちろん、とても嬉しい驚き。
ずっと昔に買って読んだものは、
どこかにいってしまっていた。
誰かに貸して、そのままになってしまったのかもしれない。
迷わずに買って、電車のシートでページをめくる。
「僕は愛について語りたいと思う。
愛について語ることはやさしくはない。
それはほとんど人生の深奥に関わっていて、
僕等を生かしめている強力な動機の一つである。」
という書き出し。そして、
「従って、(繰り返し繰り返し)愛を試みるということは、
運命によって彼の孤独が試みられていることに対する、
人間の反抗に他ならないだろう。」
という結び。
これだよ、これ、と思いながら一気に読んだ。
読みやすい、というわけではないが、
自分らしい生き方、とかが、
カジュアルに語られるようになった今こそ、
もっと読まれてよい本のような気がする。
自分らしさ、とは、もっぱら、他者によって、
より正確には、他者への愛によって、試みられるもの、
なのだから。
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