新しい作品が構想されるところが見られて、おもしろかった。
撮影も兼ねていたプロデューサーの質問は
なんだか弱々しくて、ちょっと不思議だったけど。
しかし、浦沢直樹さんの時も思ったが、
創造物とは、結局、作っては壊し、作っては壊し、
する中からしか生まれてこないらしい。
スキルとは、そのプロセスをどれだけ
効率よく実行できるか、ということだと思う。
そして、スキルが一定レベルに達すれば、
後は、どれだけあきらめずに、自分なりの方法で、
作っては壊すことを続けられるか、
が勝負を分けるのだろう。
それはともかく、個人的には、宮崎駿さんは、
「風の谷のナウシカ」のコミックス版に尽きる、
これは、戦後漫画の最大の収穫の一つだ、と思っている。
「ナウシカ」の主人公はもちろんナウシカだが、
その背後にあるのは「王蟲」であり、
それを育てる「腐海」だ。
それはつまり、「生態系」だ。
「エコロジー」、「地球に優しい」、「共生」
などといった言葉が流行するずっと前に、
この漫画は「生態系」という大きな視点から、
さまざまな生き物の姿、特に、人間の姿を描いていた。
物語の最後、ナウシカと墓の主
(ある種の人工知能と思われる)が対決する。
生態系の破壊者であり、
殺しあうものである人間。
世界を汚染し、自らも汚染されてしまった人間。
それは「浄化」されるべきものではないのか?
人類浄化計画・・・
しかし、物語の最後に、ナウシカは、
それでも生きてゆこう、と言う。
「いのちは闇の中のまたたく光だ。」
この言葉は、今でも、涙なくして読むことができない。
巨大な闇があるからこそ、いのちは、そこから、
うまれようと絶え間なくあがく。
いのちとは、その結果の泡のようなものだ。
われわれもまた、所詮、その程度のものであり、
どんないのちも生きるために精一杯あがくのであり、
だからこそ、貴重である、
ということを、この漫画は最も雄弁に語っている、と思う。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事