最初のページに言いたいことが
すべて書いてある。
お金はなぜ殖えるのだろう?
経済はどうやって成長しつづけるのだろう?
資本主義とは何だろう?
答えは「ねずみ講」
だという。
うーん、そんな身も蓋もないことを・・・
しかし、これ、いかにもインパクトはあるけど、
誤解を招くのではないだろうか?
実際に「ねずみ講」的な部分があり、
最近はそれがものすごく大きくなっているのは
そのとおりだと思う。
でも、まずは普通の答えとしては、
技術開発や社会の効率化による
「生産性の向上」というのがあって、
それに加えて「ねずみ講」なのでは?
市場の最適化能力を駆使する
資本主義が、生産性の向上、
豊かさの増大、に関しては、
いまのところ最も優れたシステムだ、
というのは間違いない。
このあたりを気にしなければ、
「証券化」によってリスクが消えるマジックや、
今回のバブルの経緯、その中で
投機をしている人の心理が面白く
描かれている本だった。
バブルは、気がつかないのではなくて、
みんな、これはバブルだと思っているが、
抜けられない。
プロの投資家ほど、運用成績でライバルに勝つために
逃げていられないので、
バブルに突っ込まざるを得ない、
というのは、いかにももっともらしい。
チキンレース状態だ。
それに、最後に大きく負けたところで、
会社が破産して投資した人の資産が減るだけで、
自分の負債になるわけではない。
自分は首が飛ぶだけなのだ^^;
何年か失職したところで、
それまでに普通の10年分の給料をもらっていれば、
それほどの問題はない。
制度全体が、
大量に借金をしてリスクを取ることが
最適な戦略になるように
作られている。
今回のバブルは、偶発的なものというよりは、
サブプライムローンという商品が
開発されたときに仕組まれた、
人為的側面が強いものということらしい。
ねずみ講の原理によって、
バブルを最初に作り出した人は儲かるからだ。
堀江さんだって、結局のところは
けっこうな資産を築いたはずだ。
それを完全に取り締まることは
不可能なのだろう。
既に、投機用の資金は莫大なものになってしまって、
常に増殖の機会を狙っている。
著者はこの状態を
「キャンサーキャピタリズム」
と呼んでいる。
今回のサブプライム危機も、
最初からずっと囁かれ続けていて、
バブルの崩壊は今年はじめから
始まっていた。
ダウ平均は、
12月末から1月半ばまでに、
13500くらいから12000くらいまで
約1割下げた。
さらに、2月末から3月の決算前に
12500から11500くらいまで下げた。
今回の大暴落は、
金融機関の清算が始まったことを受けての
第3章ということらしい。
金曜日の終値は8852ドル。それでもまだ、
ピーク時の半分にはなっていない。
さすがにこれで底なのか?
それとも、まだまだこの先があるのか?
今回、現金化された資産は
ずいぶん減ったとはいえ、
最初のほうに逃げた人たちも
いたはずだし、まだまだ存在しているはずだ。
機会があれば、また買いが入るようには
なるのではないか?
しかし、欧米の銀行の不良債権の具体的な清算は
これからで、実体経済も悪化するのは確実だから、
少し持ち直しては、決算期などに悪いニュースがあると下がる、
という形で、じりじりと下がる、
というのが普通の予想だと思うが、
さてどうなることやら・・・
今後もこういうことを繰り返しながら、
人類は経験を積み、
少しずつルールを改善してゆくしかない、
というような予想で、本書は終わっている。
まあそうなんだろうけど、
なんだかなぁ・・・
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