ついつい逃避して、イシグロさんの小説を
パラパラと見返しているのだが、
映画版の「日の名残り」が見たくなって、
昔買った DVD を見た。
映画としては良くできた佳作で、
原作と違う部分も多いので、原作の映画化ではなく、
別の作品として鑑賞するほうが良い。
原作はいくつもの物語が重層的に進むのだが、
映画は時間的制約もあり、スティーブンスと
ミス・ケントンの間の、ものすごくじれったい関係を
軸に据えている。
ミス・ケントン役のエマ・トンプソンが
とてもとても素敵だ。理知的で、ウィットがあり、情緒的でもある。
なぜかメアリー・ポピンズを連想した。
執事スティーブンス役はアンソニー・ホプキンス。
こちらも素晴らしいのだが、ちょっと貫禄があり過ぎるというか、
もうちょっと若くて、思索的な感じの人でも良かったかもしれない。
今回、DVD を見直して気がついたのだが、
特典映像として、エマ・トンプソン+監督+プロデューサの3人が
映画全編を見ながら自由におしゃべりする、というのがついていた。
要するにメイキングなのだが、
このシーンで苦労したのは・・・、とか、
演じているときの感情、などがダイレクトに聴けて、
とても面白かった。
特に、エマ・トンプソンの話がとても面白い。
頭の良い人だと思う。
昔、この映画のラストに使われた
印象的な桟橋に行きたくて、
少し調べたことがある。
小説ではウェイマスという
イギリスの南のほうの土地になっているが、
映画で使われた桟橋は、ブリストルの近くにある、
Weston-Super-Mare というところにある。
しかし、残念ながら、2008年?に火災で焼けてしまっていて、
今あるものは映画の中のものとは違うのだ。
(映画が公開されたのは 1993年だと思う)
昔の写真を検索しても
なかなか出てこなかった。
桟橋と言えば、同じイシグロさんの作品の映画
「私を離さないで」では、Weston-Super-Mare の
近くの Clevedon にある Pier が使われている。
こちらはブリストルに行く用事があったときに
バスではるばる尋ねたことがある。
新しい映画なので、まだ残っていたのだが、
改装中?で、一部に工事用の布がかかったりしていたのが
残念だった。
まだ列車の旅が一般的ではなかった頃、
大きな客船が海岸に接岸できないため、
こうした桟橋がたくさん作られたらしい。
イギリスの田舎も、
また行きたいなぁ・・・
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