「現代社会と科学・技術」
前半は、科学と技術の出自の違いについて。
以前に村上さんの本で読んだような内容だったが、
豊富なエピソードが次々と出てきておもしろかった。
20世紀前半までは、
技術はクライアントのあるもので、
科学は純粋な好奇心に基づくもの、だった。
しかし、20世紀後半になって、
アメリカの大学と企業の結びつきや、
マンハッタン計画などに象徴されるように、
科学にも産業や行政がクライアントとなるようになった。
利害独立だったものが、ミッション指向になった。
日本でも、知的所有権を生む研究や、
大学発ベンチャーが求められている。
今の社会に、
本来の知的好奇心のみに基づく「科学」が
可能な場はあるのだろうか?
それは今の時代には必要ないのだろうか?
逆に、社会の側からすると、
科学を産業や行政へと取り込んだことは、
ある種必然とはいえ、
パンドラの箱を開けたことでもある。
その結果として、科学・技術が、その隔てなく、
社会と密接に関係する<知>となり、
その量は日々、ものすごい速度で増加している。
そうした膨大な<知>を、どうやって
社会として適切に取り扱うか、
という問題が生じていると思う。
<知>へのアクセス、教育・リテラシー、
科学技術倫理、技術アセスメント、
いろいろな面で、大変難しいことが起きている。
今後もどんどん膨張するだろう<知>に、
どのように対処するのか?
は、今の社会の大きな課題、だと思う。
Google だけに任せてはおけない。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事