人間の脆さと強さ、本当の姿は?
松坂桃李が主演した話題作である不能犯を観せてもらった。見つめるだけで、相手をマインドコントロールしてしまう役所だ。その目力冴える、イケメン俳優の新境地とも思える迫力だ。映画の中では、人間の内なる殺戮欲求に応じて、殺人、つまり、刺客の仕事を請け負う。しかし、これは、現在の刑法では、決して裁くことができない犯罪。というか、それが如何に犯罪を目的としたものでも、そもそもそれは、実質的には結果発生不能な法律的にはどうにもできない行動。だから、仮に、彼が何人死に追いやろうとも、何の罪にもならず、警察も手を出しようがない。それこそが、犯罪の成立が不可能という意味での「不能犯」。映画の中では、犯罪の「立証が不可能」という意味で、使っているが、それは必ずしも正確ではない。まっ、それはどうあれ、興味をそそられたのは、主演の松坂桃李の迫真の演技と、この映画のメインテーマとも呼べる、人間の「生来的性質」だ。
このことは、映画の中では、主演の松坂桃李が、沢尻エリカ演じる、女性刑事の質問に答える形で、「知りたいんです。人間の脆さと強さ、どちらが本当の姿なのか?」と、即答することに象徴されている。そして、自分に刺客として殺人を依頼したが為に、人間の生来的本質?を表すような出来事が次々と起きるその度に、「愚かだね~人間は。」と、繰り返し口走る。要するに、感情に任せ後先考えずに、安易な行動に出てしまう、人間の脆さを揶揄しているのではないのかと、自分は解釈してしまう。
結局は、人間なんて、いくら偉そうに、万物の霊長だなどと、他の動物に対してでも、高を括っているが、人類が延々辿って来た歴史を知れば分かるとおり、無意味な殺しあいたる、戦争ばかりが無惨に繰り返される。それにも懲りず、未だに、世界各地で武力闘争をやっている。こんな野蛮な人間の姿を目にすると、この映画ではないけれど、「本当に、愚かだね~人間は!」って、自分は嘆く気持ちを隠せない。本当に人間はこんなにも愚かな存在なのかとね。