ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【歌舞伎】歌舞伎座 壽初春大歌舞伎 2023年1月

2023-01-03 23:14:21 | 歌舞伎
壽 初春大歌舞伎
歌舞伎座
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第一部 
一、卯春歌舞伎草紙
二、弁天娘女男白浪
第三部
花街模様薊色縫 十六夜清心
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・卯春歌舞伎草紙 観客の目にお年玉。
・弁天娘女男白浪 この配役おもいのほかいい。
・幸四郎さんと七之助さんて「幸七」とか呼ばれるようになるんじゃないだろか。

(2023.1.3)

2023年の歌舞伎観劇メモは印象に残ったことを3つ箇条書きすることにしました。

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【歌舞伎】歌舞伎座 十一月吉例顔見世大歌舞伎 2022年11月

2022-11-13 23:03:45 | 歌舞伎
十三代目 市川團十郎白猿襲名披露
十一月吉例顔見世大歌舞伎
歌舞伎座
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何はともあれ。
十三代目市川團十郎白猿襲名、新之助さん初舞台、おめでとうございます。

夜の部、口上を挟んで歌舞伎十八番の2本立て。
矢の根と助六由縁江戸桜。

矢ノ根の幸四郎さんの五郎はやんちゃな愛嬌に頬ほころぶ。
馬かわいい。

口上、国宝級で占める渋さ。

助六由縁江戸桜、成田屋を観た!感たっぷり。
目の保養度も抜群。
2時間超の長丁場、ゆるめのテンポの演目ながら多彩な演者が
入れ替わり立ち代わり舞台を織りなして充実。

傘の揺るがなさに目がいったり。(花魁道中でも)。
股くぐりのゲストがいずれも愛らしくてすごかった。

発声者限定ながら大向こう復活うれしい。
黙食でかべすも復活。

(2022.11.13)



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【歌舞伎】歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎 2022年9月

2022-09-11 21:52:00 | 歌舞伎
秀山祭九月大歌舞伎
二世 中村吉右衛門一周忌追善
歌舞伎座
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追善興行でここまで故人に思いを遣ったのは初めてかもしれない。

吉右衛門さんは、歌舞伎を見始めて2、3回目くらいのときに、
石切梶原で大好きになって、同時期に池波正太郎の鬼平犯科帳にも
嵌ってドラマの方にも手を伸ばし、以来ゆるゆると追いかけてきた。
30年くらいだろうか。

私は歌舞伎の蘊蓄派でないし、何年何月のだれだれがどうとの記憶力も
さして持たず、不真面目きわまりない観劇者だと自覚していたのに。

揚羽蝶繍姿の様々な役を見ていたら、
もちろん、俳優さんがそれぞれの声でそれぞれの役を演っているに、
私の頭の中では吉右衛門さんの声で台詞が再生されて、
ああ気づかぬ間にこんなにも、吉右衛門さんが記憶の中に
降り積もっていたのだと、ひとり、じくじくと涙が止まらず。

第二部の松浦の殿様、幸四郎さん、
第三部の大星由良助、仁左衛門さん、
など、名優による追悼とはこういうものか、というのを見た気がします。

福助さんの八ツ橋も。

第一部は後日拝見予定。

(2022.9.10)



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【歌舞伎】歌舞伎座八月納涼歌舞伎 2022年8月

2022-08-15 00:19:56 | 歌舞伎
八月納涼歌舞伎
歌舞伎座
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◆第一部

一、新選組

手塚治虫原作だそう。手塚治虫が新選組を描いていたの知らなかった。
多分相当端折って(とセリフで何度か言ってた)いるのだろうけれど、
人の関わりの皮肉やめぐる因果のモチーフに、なるほど、と。

大道具、襖に背景、人物にも、手塚有名キャラがちょいちょい登場。

歌之助と福之助さんの主役ふたりは若々しくかわいく時々とぼけてて
手塚というかジャンプ辺りに出てきそう。

扇雀さんの坂本龍馬はたたずまいがかっこいい。

二、闇梅百物語

そうか、今月は納涼歌舞伎でした。
人ならぬものたちが続々登場。
愛嬌のあるの、美麗なもの(七之助さん…)、

平均年齢相当低いぞ。すごい。達者だなぁと。末恐ろしくたのしみ。

◆第二部

一、安政奇聞佃夜嵐

明治以降の作ながら、説明臭くないせいか、割と江戸っぽい感じがする。
甲州の場面、展開にぐいぐい引き込まれる。
三部構成でなかったらもう少しじっくりな上演になったのだろうか。

二、浮世風呂

猿之助さんの舞踊、いつもながら"確実"感が。
團子さんおおきくなったなぁ。愛らしいなめくじさん。

(2022.8.14)

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投稿しながら先月の観劇は感想UPしてなかったことに今気づいた。
第一部第二部観たけど、感想は第三部観てからと思っていたら
公演中止になっちゃたのだった。




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【歌舞伎】歌舞伎座 六月大歌舞伎 2022年6月

2022-06-12 22:18:14 | 歌舞伎
六月大歌舞伎
歌舞伎座
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今月は第二部と第三部をハシゴしたので、
「信康」→「勢獅子」→「ふるあめりか」。
結果的に観劇時間としては現代作度合いが高くなりました。
歌舞伎美人の演目解説によると、
「信康」は1974年大谷竹次郎賞、「ふるあめりか」は1972年初演とあり、
現代作とは言え50年近く残ってきた演目ということになるのですね。

古典に比べて現代作は、型よりも役者に拠るところが分かりやすく大きい
ように思うのですが、今月の2作品、染五郎さんの若々しくもしっかりと
演じられた信康、玉三郎さんのお園のとてつもない幅を縦横無尽に渡るさま、
いずれも濃厚に味わいました。

河合雪之丞さん喜多村緑郎さんを歌舞伎座で久しぶりに拝見するのも
嬉しいことでした。

けっこうな緊張感のある場面がおおい2作の間、
勢獅子でほっとひといき。
おどる身体の様々の態様に見ほれつつたのしい時間。獅子!

(2022.6.11)



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【歌舞伎】歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 2022年5月

2022-05-15 22:49:47 | 歌舞伎
團菊祭五月大歌舞伎
歌舞伎座
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すきまなく豪華で爽やか。
この後に到来する梅雨の鬱陶しさを乗り越えられそう。

◆第一部

一、祇園祭礼信仰記 金閣寺

全般見どころ満載なのですが、
やっぱり雪姫に桜が降りしきる場面が好き。
(桜に描くシーンこういう感じだったっけ?)

二、あやめ浴衣

五月さわやか。

◆第二部

一、歌舞伎十八番の内 暫

豪華な場面で眼福。観客サービスもたっぷり。

二、新古演劇十種の内 土蜘

場面ごとにテイストは切り替わっていくのだけれど、
どこを切ってもどの瞬間もすっきりと美しかった。
きもちのよい時間。

(2022.5.15)


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【歌舞伎】歌舞伎座 二月大歌舞伎 2022年2月

2022-02-21 00:45:25 | 歌舞伎
二月大歌舞伎
歌舞伎座
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第二部
二、義経千本桜 
渡海屋
大物浦

仁左衛門さんの一世一代は、まさに。
心震えすぎてあんまり書けないのだけれど。

何度となく観たはずの大物浦なのに、
この場面の知盛が、とてもとても恰好悪い状況なのだと、初めて思い至った。
安徳天皇の言葉に、屈辱を昇華させた先の清々しさがあまりに儚くて、
今思い出してももう一度泣ける。

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第三部
二、鼠小僧次郎吉

籠から降りて助けを約束する菊之助さん、いい声だなぁ。
ただしい人の声色。
話が進むにつれ、詰んで詰んで詰んで。息を呑んで見つめた。

(2022.2.20)


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【歌舞伎】コクーン歌舞伎 天日坊 2022年2月

2022-02-21 00:30:43 | 歌舞伎
渋谷・コクーン歌舞伎 第十八弾
天日坊
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「天日坊」こんな感じだったっけ?
2012年の公演、熱さや充実は印象にあるけれど、
こんなに凄みを感じはしなかったと思う。
10年で記憶が薄れたせいだけではないだろう。

メモをひっくり返したら、「俺は、誰なんだ?」を2012年の私は
"自己認識の混乱"とか書いてる。

今回、印象に残るのは、むしろ、後戻り不可能の切迫。
重なり、前後する、嘘と嘘、その場しのぎの積み重ねの後にくるもの。

ただ1回の踏み外しから至るところの破滅はしかし、情報が物理実体に
優先する現代において、10年前よりも、より、現実味を帯びている。
勘九郎さんは真摯に法策⇒頼朝ご落胤⇒義高を演じておられて、
それが却って現代のリアルな不安と重なって胸に来る。
17歳なんだよね。切ない。

せりふの丁々発止、ちょこちょこ挟まる笑い、
立回り、特に最終盤の七之助さん獅童さんから勘九郎さんへそれぞれの見せ場、
音楽、装置、全編充実。

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(2022.2.19)



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【歌舞伎】歌舞伎座 壽 初春大歌舞伎 2022年1月

2022-01-03 22:17:38 | 歌舞伎
壽 初春大歌舞伎
歌舞伎座
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◆第一部

一、一條大蔵譚

「檜垣」の勘九郎さんの大蔵卿が、もう、ふわっふわ。無重力か?くらい。
人物の背景を知っていつつも別次元で多幸感きた。すごい。

対する鬼次郎お京を獅童さん七之助さんがスキッとでも強すぎず優しい。
扇雀さんの常盤御前、おっとりの中の炎の心。

大蔵卿は、あのふるまいを長年続けつつ敵の首も取るっていう、
狂気かといえばそうではなくて、徹底的に冷静。高度な人格が根底にある。
ちゃんとぜんぶ同居してた。

二、祝春元禄花見踊

やわらかくて、ここちよい。
獅童さんちの陽喜ちゃんが初お目見えとは聞いていたのですが。
飛び六方とは。
いや、なんか、泣けた。花道をリードしていった役者さんの姿と共に。

◆第二部

一、春の寿

コロナになってからの舞踊演目には割と祈りを感じることが多くて。
お正月でもありますが。
じんわりと染みます。

二、新玉の笑いで寿ぐ艪清の夢

喜劇演目だけれど、こちらもどこかしら祈りが含まれているような気が。
と言いつつ、素直に楽しく観ました。
幸四郎さんと孝太郎さんはじめとして、いずれも愛すべき人物像、可愛い。

有名演目の引用を探すのも楽しみ。
観たことあるけどどれだっけ、ていうのもありますけどね私の場合。

(2022.1.3)


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【歌舞伎】歌舞伎座 十二月大歌舞伎 第一部 2021年12月

2021-12-05 23:24:33 | 歌舞伎
十二月大歌舞伎
歌舞伎座
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◆第一部 新版 伊達の十役

12月の第一部は猿之助さんの十役。
前半「奥殿」で政岡の感情の機微をがっつり味わい、
後半「間書東路不器」で早替わりの多様な人物と感情表情と所作を楽しむ。

今回は1階の後ろの方でしたがオペラグラス必携。
表情の演じ分けをじっくり見る。所作も。
迷う高尾は哀しげだったなぁ。

三部構成ゆえかなりスピーディ。
あらすじ・経緯の詳細を知らなくても早替わりで楽しめる構成。

政岡と対峙する八汐は個性が出るので楽しみなのです。
今回は巳之助さん。
新しい。本気で怖い八汐だった。政岡に嫉妬してるのかな。

(2021.12.5)


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【歌舞伎】赤坂大歌舞伎 2021年11月

2021-11-14 23:54:39 | 歌舞伎
赤坂大歌舞伎
赤坂ACTシアター
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赤坂ACTシアターが来年夏以降はハリポタ専用劇場になるそうで、
そうか今回でACTシアターでの赤坂歌舞伎はこれぎりなのですね。
宵赤坂俄廓景色での過去上演の振り返り、今回含め6つの公演、
チケット取り損ねた5つ目以外は観てたんだなと色々思い出しました。

一、廓噺山名屋浦里

短い物語、かろやかな展開。
七之助さんのお国言葉での語りがみどころ。

酒井氏って、どうなんだ。このキャラ。
ちょっとズレるとアレな人になってしまいそうな際どいところ
勘九郎さんの酒井はみごとに実直で懸命の"愛すべき非常識"な
人物像になってます。


二、越後獅子
宵赤坂俄廓景色

勘太郎さん一人で越後獅子を踊り切り。いったい幾つになったのだろうと
帰宅して思わず確認。10歳。

宵赤坂俄廓景色。赤坂。
扇雀さん亀蔵さん勘九郎さん七之助さんに、虎之介さんと長三郎さん加えて
芸者3人鳶3人。
粋を表現する演目で実際そう演じておられるのですけど、
平穏のありがたみ、みたいなのを重ねて感じたりしました。

(2021.11.14)


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【歌舞伎】歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎 第三部 2021年11月

2021-11-14 23:18:03 | 歌舞伎
吉例顔見世大歌舞伎
歌舞伎座
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今月は歌舞伎座は第三部のみ観劇。

「花競忠臣顔見勢」

仮名手本忠臣蔵のおなじみの場面を組み合わせて短時間に入れ込んでます。
「これはあれのあそこか?」などと記憶を追いつつ人物はお馴染みなので
意外と苦もなくついていけたりして。
2役以上を受け持つ俳優さんが多数、でも"入り乱れ"た感じはなく
展開早いのにすごい。

チームワークかな。今回はビハインドのリーダーシップかしら。

(2021.11.13)


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【歌舞伎】歌舞伎座 九月大歌舞伎 2021年9月

2021-09-13 00:08:26 | 歌舞伎
◆第一部    

一、お江戸みやげ

六世歌右衛門さん二十年祭、七世芝翫さん十年祭だそう。
私の歌右衛門さんの記憶は、たしか、梅玉さんと松江(現・魁春)さんの
襲名の、伊勢音頭恋寝刃の万野で、世紀の名女形としての歴史を知ったのは
後日のことでした。当時は歌舞伎を見始めたばかりで。
思い出はさておき。

芝翫さんのお辻と勘九郎さんのおゆうで、江戸土産。
サバサバが優しさとか哀しさを透かし見せる。
そうかおゆうは酔ってたんだっけと思い出しながら。
七之助さんの大和屋がきれいで真摯なこととか、お辻の思い切りのいい行動への
納得を改めて見出しつつ。

脚本がつくられた当時の世相を映しているのでしょうが、
自らを"田舎婆"という表現はこんにち耳に少しきついかなぁと思ったりする。

二、須磨の写絵

魁春さんと児太郎さんが潮汲みの海女、愛らしい。
前も書いたけど魁春さんは見る度に可愛いくなっていく。

梅玉さんの行平公、いやらしすぎずそっけなさすぎずのちょうどいい感じの
愛嬌というか温度感ですてき。

(2021.9.12)

◆第二部

一、近江源氏先陣館

盛綱、幸四郎さん。
こういうお役、観る度に大きく、重量感が増してきてて頼もしい。

微妙(歌六さん)、篝火(雀右衛門さん)、早瀬(米吉さん)が小四郎を
囲む姿が、女たちの群像としての絵姿が、とんでもなく重厚で(この演目で
そんなふうに見えたのは初めて)うわあと思っていたところに、更に
小四郎(丑之助さん)の絶命で仰向いた辺りの表情がすごくて、落涙、
やられた。

二、女伊達

全体、かっこいい!を楽しむ。

(2021.9.12)

◆第三部

一、東海道四谷怪談

四谷怪談は何度も観ているのに。
今までとまた印象が変わった。

毒を盛られたと知ったお岩様の一見さらさらとした、しかし決して消えそうになく、
命が潰えそうになっていくのと反対に、徐々に強靭さを増す糸のような凄みが
ほんとうに怖い。

何が起きても自分がどんな行為をなしても息をするようになめらかで、たぶん
食事をするのと人をあやめるのとで違いがなさそうな民谷伊右衛門が更に怖い。

人の業の救いのないものがたりの、救いのなさはそのままありながら、
同時に、同一の空間の中でもう一つの位相がある。
昇華を観たのだろうか。

(2021.9.4)


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【歌舞伎】歌舞伎座 八月花形歌舞伎 2021年8月

2021-08-09 23:07:57 | 歌舞伎
八月花形歌舞伎
歌舞伎座
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◆第一部

猿之助さんに代わり、巳之助さんによる六役早替りです。
スペクタクル、やりきってた。
声がいい役者さんだなぁと改めて思い。
私は岩藤がいちばん印象に残りました。

猿之助さんの、舞台全体に均質に届く緊張はあれは別の個性なので、
今回は違う空気感で覆っていくのでしょう。どんな感じになるのかな。
3日が初日だから観たのは5日目か。
日々個性が成熟していっていくだろうし、月末にもう一回見てみたい。

(2021.8.7)

◆第二部

一、真景累ヶ淵 豊志賀の死

そういえば、かつて8月といえば「納涼歌舞伎」で、次代の役者さんたちが
多く起用されて、三部構成で、怪異ものもよく上演されていたなぁと。
思い出して少し懐かしくなりました。

鶴松さんの新吉が、優柔不断とは違う、
"ちゃんとした人"と"ふつうの人がふつうに持つ狡さ"の同居具合がよい塩梅。

お化け屋敷的な要素(脅かしと笑い)で楽しませる一方で、
普通の人がふいに陥る気持ちの闇の方が案外怖いものなのかもなぁ
と思わせる。七之助さんの豊志賀の言い募りもまた。

勘九郎さんの噺家は「ごちそう」。

二、仇ゆめ

かわいいひとたち(狸含む)の軽やかさの前半。
後半はけっこう切ない。

観終わって、優しい気持ちになります。

(2021.8.7)


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【歌舞伎】歌舞伎座 七月大歌舞伎 2021年7月

2021-07-16 00:11:51 | 歌舞伎
七月大歌舞伎
歌舞伎座
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◆第一部と第二部

ふんだんに時事を織り込む。笑って厄がはらわれていく。
第一部を観終わって振り返ると「はらう」だったなと思う。

「あんまと泥棒」世知辛い世の中をずいずいと這って生き抜ける。
曲者すぎる秀の市を真向怪演の中車さんに、松緑さんのいいひとすぎる権太郎が
気の毒になったりして、後味が…と直後は思ったけれど、少し経つと秀の市あの
執着のエネルギーが何か力になって残っている気がする。

「蜘蛛の絲宿直噺」は猿之助さんの早替わり六変化、他の演者の方々とも全体に
素早さとキレの所作の数々、芝居そのものの途切れないテンポが、もやとした
世間の憂さを吹き消す。

第二部は、おなじみの演目2つ。
いい意味で予想としてたのと違ういい味だった錦之助さんの長兵衛と芝翫さんの玉の井。

「鈴ヶ森」の立回りは演出が少し新しかった?かな?

(2021.7.11)

◆第三部

「雷神不動北山櫻」

口上での説明の通り、短い上演時間に工夫を重ねて詰め込んだ構成。
「毛抜」「鳴神」。「不動」で〆。

海老蔵さんの五役、特に鳴神上人は、以前観たよりも独特の味が出てきたような。
雲の絶間姫に篭絡される成行は元々突拍子のなさ(高僧も人の子ともいう)の
面白味がありつつ違和感も出やすいのだけれど、今日は滑らかだったなぁ。
持ち味が変わってきたのだろうか。
クセっぽいところが透明感に置き換わったというか。
児太郎さんの姫はパキパキしっかり者な感じで私は好き。

びびびびが上手可愛い雀右衛門さん巻絹。

統制の効いた立回り、見栄え。

(2021.7.14)



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