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【展覧会】民藝の100年

2021-11-29 00:00:26 | アート・文化
「民藝」。
組成から活動スタイルの確立、戦中、戦後と時系列的な過程を縦軸に、
柳宗悦を始めとするたぐいまれなる才知・感性と探究活動を横軸に
モノとことばと行動記録から全体が浮かび上がってくる。

観終わったら「すごい。なんだこの人たち」とつぶやくしかない。

展示品、蒐集品・創作いずれも、かっこいい。
数多の民具・民画からかっこいいものを拾い出したのだ。選別力。
かっこいい、に加えて何でしょう、これを"カワイイ"とは言いたくない、
擬音でいうと「ほっこり」「ふくふく」とか、陶器には特に、
観ればなんとも愛おしい感覚が生じる、という共通項。

朝鮮、台湾、沖縄、アイヌ、に関する視座は、それら文化への憧憬に、
当事者性から離れていることの自覚と内省も併せ持っていて、じくじくと来る。

美術館(展示)・出版・流通、地方のモノ・人をつなぐ、新作民藝による
技術・文化保全と経済活動化…と見ていたら、発酵デパートメントさんの
活動が想起されました。
(と思ったら特設ショップの書籍コーナーに日本発酵紀行が)。

フォントにまで着眼する柳宗悦、
吉田璋也という人の厚みに驚愕。
テクノロジー系の2人が参画していたからこそ、という解説も興味深かった。

技術という要素の関わり方。
モノづくりだけでなく情報の扱い・視覚効果等々、今の時代に観るからこその
凄みというのもある。

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柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年
100 Years of Mingei: The Folk Crafts Movement
東京国立近代美術館
2021年10月26日~2022年2月13日
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/mingei100/
https://mingei100.jp/

常設展も民藝運動と関連する展示コーナーあり。

上記とは関連しませんが
常設展の「音が聞こえる」(だったかな)テーマ展示の
伊砂利彦の型絵染の一連の作品が眼福でした。

(2021.11.28)


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