週刊金曜日な日々

「週刊金曜日」、一読者のB級時評
題名に「週刊金曜日」と使用する事は、編集部の許可を得ています。

ルポ「貧困大国アメリカⅡ」 堤未果・著

2010-04-06 09:49:57 | 週刊金曜日
前作「貧困大国アメリカ」も衝撃的でしたが
今回、オバマ大統領になってから約1年、
大手マスゴミでは表層的なことしか報道されませんけど
(あるいは、日米同盟をやたらと強調するだけの報道ばかり目立つ)

「中間層」が「学費の高騰」と「医療費の高騰」で
あれよあれよと消えていっているアメリカの実態が報告されています。
日本も相当ひどい状態ですけれど、
小さな政府を好むアメリカ合衆国に、今住んでいなくて本当に良かったと思えます。
あのまま「コイズミ構造改革」が日本で行われていたら、こうなっていた・・・
今なら引き返せる・・・そう思える本です。

私たちが知っていた

*大学の学費が安く、給付奨学金でがんばれば高学歴を得て、高収入を得られる
*大手の製造業に就職できれば、退職後の年金も医療費も心配ない
*努力すれば、アメリカンドリームを実現できる

そういう「アメリカ合衆国」は、もう・・存在していないのです。

*学費ローンは民営化され、高利(年18%というクレジットカード並み)で貸し出され、さらにローン契約は「消費者保護法」の対象外で低利のローンへの借り換えは不可能。大手学費ローン会社「サリーメイ」は新規ローン加入者の多い大学には特別ボーナスを出し、校長や役員たちは高級ゴルフクラブで接待、さらには自社株購入権まで与えた。高利の学費ローンで大学を出ても高収入の職につけない学生が多く、支払いが滞ると職場や家族へひっきりなしに督促の電話がかかってきて、ひどい場合は離職することに。

*公的な年金制度や医療制度が脆弱なため、企業年金にたよらざるを得ないアメリカ合衆国の高齢者。GMの自動車1台あたりに上乗せされる年金分のコストは1500ドル(15万円)。

*P122「医療費で破産が出る理由は2つ、医療保険と医療費が高すぎるからです。医療保険は独占市場で競争が存在せず、保険料は上げ放題になっている。だから普通に働いて収入がある人でも、無保険にならざるをえないのです」

*2009年、カリフォルニア州が財政破綻で7月以降メディケイド(低所得者用公的医療保障)から歯科と眼科の適用をはずした。

*株主たちは使い勝手の良い労働力を探し始めました。すると灯台もと暗し、発展途上国の労働者よりも、非正規社員よりもさらに条件の良い、数百ドル規模の巨大市場、囚人労働者にスポットライトが当たったのです。

*「刑務所内での労働対価はどれほどでしたか?」「時給40セントでした。でもそこから、部屋代と医療費で毎日2ドルずつ引かれましたから、残高はあっという間にマイナスになり・・」
「刑務所が囚人たちに押し付ける負担範囲は拡大する一方です。囚人たちは用をたすときに使うトイレットペーパーや図書館の利用料、部屋代や食費、最低レベルの衣料サービスなど、本来無料であるべき部分まで請求されています。」
「重罪で東国される犯罪者の8割は貧困層で、経済的困難から犯罪に走るのです。なのに、その彼らに刑務所の中でさらに借金を背負わせるのですから」

*過度は市場原理が支配する社会では、政治と企業はとても中が良い(P194)

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