「値上げと同時に値下げする電気代に隠された電力会社のトリック」
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電力事業はインフラ投資の固定費が大きいため、規模の利益が非常に大きい産業である。電力会社は多くの企業に送電するので単価が安いが、PPSの利用者は少ないので、電力会社より安い料金を出すのがむずかしく、もうからない。今あるPPSは、鉄鋼やガスなどの重厚長大企業が工場で発生する熱を利用する副業としてやっているのがほとんどだ。
他方、東電は小口の電気代を1月から値下げし、標準家庭で25円安い月額6870円になる。これは燃料費の変動を毎月の料金に反映させる「燃料費調整制度」によるもので、原油価格などが円高の影響で下落したためだ。原発の停止で燃料費は大幅に増えているのに、小口はそれを電気代に転嫁できない。これは大口が自由化されているのに対して、小口(50kW未満)が規制料金だからである。
(中略)
電力自由化といえば、最近は発電と送電の分離がよく論議になるが、かつて経産省が村田事務次官を初め総力をあげてもできなかった発送電分離が、今の足元のふらついた民主党政権にできるとは思えない。競争促進のために重要なのは、電力会社の独占利潤の源泉になっている小口電力の自由化なのだ。これはもともと自由化のスケジュールに組み込まれていたことを予定通りやるだけなので、政治的には発送電分離より容易であり、効果も大きい。
ただ小口電力は通信と同じく、電力計などの「最後の1マイル」への投資が莫大な額になるので、参入は容易ではない。この点でスマートメーターの導入は、小口電力自由化のチャンスである。電力会社は自社しか使えない「ガラパゴス型」のスマートメータを導入しようとしているが、経産省や総務省は全国共通の標準化されたメーターにすべきだと主張している。
スマートメーターを標準化してPPSも同じ条件で使えるようにすれば、発送電を分離しなくても、新しいPPSが小口電力に参入できる。通信自由化でも、NTTを分割しなくても回線の開放規制だけでソフトバンクが参入できた。目的は競争を促進して電力コストを下げることであり、インフラはその手段にすぎない。電力業界を改革するには、「東電解体」を叫ぶより電力自由化の徹底によって競争にさらすことが本筋である。
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電力事業はインフラ投資の固定費が大きいため、規模の利益が非常に大きい産業である。電力会社は多くの企業に送電するので単価が安いが、PPSの利用者は少ないので、電力会社より安い料金を出すのがむずかしく、もうからない。今あるPPSは、鉄鋼やガスなどの重厚長大企業が工場で発生する熱を利用する副業としてやっているのがほとんどだ。
他方、東電は小口の電気代を1月から値下げし、標準家庭で25円安い月額6870円になる。これは燃料費の変動を毎月の料金に反映させる「燃料費調整制度」によるもので、原油価格などが円高の影響で下落したためだ。原発の停止で燃料費は大幅に増えているのに、小口はそれを電気代に転嫁できない。これは大口が自由化されているのに対して、小口(50kW未満)が規制料金だからである。
(中略)
電力自由化といえば、最近は発電と送電の分離がよく論議になるが、かつて経産省が村田事務次官を初め総力をあげてもできなかった発送電分離が、今の足元のふらついた民主党政権にできるとは思えない。競争促進のために重要なのは、電力会社の独占利潤の源泉になっている小口電力の自由化なのだ。これはもともと自由化のスケジュールに組み込まれていたことを予定通りやるだけなので、政治的には発送電分離より容易であり、効果も大きい。
ただ小口電力は通信と同じく、電力計などの「最後の1マイル」への投資が莫大な額になるので、参入は容易ではない。この点でスマートメーターの導入は、小口電力自由化のチャンスである。電力会社は自社しか使えない「ガラパゴス型」のスマートメータを導入しようとしているが、経産省や総務省は全国共通の標準化されたメーターにすべきだと主張している。
スマートメーターを標準化してPPSも同じ条件で使えるようにすれば、発送電を分離しなくても、新しいPPSが小口電力に参入できる。通信自由化でも、NTTを分割しなくても回線の開放規制だけでソフトバンクが参入できた。目的は競争を促進して電力コストを下げることであり、インフラはその手段にすぎない。電力業界を改革するには、「東電解体」を叫ぶより電力自由化の徹底によって競争にさらすことが本筋である。
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