はぐれの雑記帳

極めて個人的な日めくり雑記帳・ボケ防止用ブログです

精神革命論(3)近代文明経験国家と未経験国家

2020年03月18日 | 思想史関係
精神革命論(3)近代文明経験国家と未経験国家

一黙さんが私のブログで「おカネ」についての知識を、教育科目の中に入れるべきだとかいたことに、ながいコメントをいただいたので、そのコメント返しを書かせてもらって、だんだん私の頭の中も整理されてきました。
そして「精神革命論」と言っている本題は、ダライラマさんの「幸福論」で言われていることを背景にしています。
ちょっとまとめてみますね。
1)時代が変わると言う認識
17世紀以降に生まれた『近代』文明は西欧とアメリカ大陸と日本に及んだが、世界の一部の地域でしかない。
「近代化」=「先進地域」となって、地球規模で見た時に<格差>がある。
2)近代化を、もたらした動力、格差を産み出した原因は『近代資本主義』にある。近代氏j本主義が《産業革命》を引きお起した。産業革命は合理的な「科学」に基づいており、「科学」は合理的に物事を分析する態度と論理によって生まれる。
その契機は、「主権在神」から「主権在人」への革命による。呪術からの解放は「神」の論理から「人間の論理」を見出したことにはじまる。ガリレオやコペルンクスなどの先駆者が「神の論理」と闘い取った。
合理的な科学の芽生えとともに合理的な自然科学と社会科学が西欧にうまれた。それが動力を発明するに至って産業革命につながる。
3)日本は神のものは神のもの。人間のものは人間のものと言う態度を持っていたが、みずから近代科学を生み出すまでには至らなかった。なぜ動力の発見ができなかったのかと言うと、馬車を持たない文化であり、木綿の文化であったこと、コメを中心とした労働集約的なシステムであったなどがいえるかもしれない。
4)合理的な生活態度は「近代資本主義」をうみだしました。《近代資本主義の精神>》と言うのは、禁欲的で倫理的な生活態度をいい、欲望を無制限に解放す「資本主義精神」とは異なります。
5)資本主義=近代社会と思うのは間違いです。
貨幣経済があるところには「資本主義」がります。「資本主義」とは、「資本」の自己増殖法則を中心に据えた経済システムのことです。ですから「前近代的資本主義」=「資本主義精神」=「解放された欲望」の一連のつながりによって行動が生まれます。
他方、《近代資本主義》=<近代資本主義の》精神《>=「欲望の自己制限」
によって生まれる行動を基礎に運営されていたのが「近代資本主義」で西欧世界を高度社会に導き、アメリカ文明を生み出したのです。
6)資本主義は文字通り「資本」の運動に経済のすべてをゆだねる主義です。貪欲に自己増殖するシステムで、格差を産み出す原理で、勝ち組と負け組を作り出す。資本は果てしなく自己増殖するために国境を破壊していきます。グローバリズム・新自由主義は「資本」主義そのものです。
7)資本主義と同時に「市場経済」と言う概念が、付き添っていましたが、「市場」の機能は無軌道な「欲望」を成約する装置です。なぜなら受容と供給のバランスをとるからで、このバランスが崩れるのは過剰供給や需要減少などによって「自律的に』欲望を制御するのです。
8)経済の世界においては、これからは《市場》経済主義に変わっていくでしょう。今までの《生産》は売るために作るものでしたが、需要に合わせて生産すると言う行動に変わるでしょう。
9)「資本主義の終焉」と言うのは「無軌道な欲望」が制限されると言うことです。「主権在資本」から再び経済の世界を人間のコントロール下に取り戻すと言うことです。資本主義がなくなるわけではない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上は先進国の間で起こる現象です。
10)《近代》とはなんであるか
近代と言う17世紀から20世紀にかけて人類が作り出したものはなにか。
①基本的人権の共有化・・・身分制度の廃止・形骸化
②主権在民の確立・・・民主主義制度の確立
③法治国家と三権分立の実施
④信仰の自由、表現の自由、移動の自由、学問の自由の権利化と保障
⑤権力を抑制する憲法の制定
⑥道徳的生活態度の共有
⑦資本の独占の禁止
⑧国民国家の成立
以上に挙げられたものが<近代>のもたらした近代的価値であろう。つまりこれらの項目が実現されている国が「近代化」した国と言えるだろう。
眺めてみれば、中国が該当しないことは明白だろう。北朝鮮も同様だ。韓国もいくつかの項目が当てはまる。
これらをクリアーしていないと「近代国家」を実現したことにならなくて、次のステップ、つまり「ポスト近代」の姿が先進諸国と異なると言うことです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国はなぜ近代国家になれないか、その一例としての「戸籍制度」がある。
国民が自国の中で「不法移民」となる 中国のいびつな戸籍制度
2017年07月12日 大紀元
 「中国の戸籍制度は、県や市といった地方単位ごとにパスポートを発行しているようなもの」。出稼ぎ労働者など、出生地から離れて移り住むものは、「たとえ国内でも『不法移民』並みの処遇となる」。豪州のラジオ局・585AMの番組で、上海に長く滞在していたという中国通のオーストラリア人が、同国のラジオ番組で、中国の戸籍制度の不条理さについて明かした。
 この中国通が、中国の国内移住者を「不法移民」とたとえたのは、不平等な戸籍差別のためだ。例えば、彼らは医療保険、労働保険が受けられなくなり、職に就いても地元戸籍者より低い給与になる。子供も地元の公立学校に入学できず、大学入試もその地で受けられない。
 中国では、自由に戸籍の転出転入はできないため、別の都市、特に大都市などの戸籍を手に入れるのは困難を極める。そのため、出生地以外の場所に住むならば、この不条理さに一生涯悩まされることになる。・・・・・

これは厳然とした身分制度が存在していることを語っている。国民が「平等」の権利を持てないところに「近代国家と近代文明」は出現しない。すべてが《もどき》である。

私は日本の未来を思うときに、徹底していま立ち向かわなければならないのが中国なのだ。
日本とドイツの戦後の歩みの相違は、日本が米従中対なのに対してドイツは米対中従になってきていることです。中国に従属しているわけではないが、それに近い。EU・ロシア・チャイナの一大大陸経済圏を作ろうとしている。ドイツは近代国家でありながら非近代国家の中露と結んで行こうとしている。
日本はあくまでもアメリカとイギリスとの海洋国家の近代国家連盟を維持しようとしている。これが私の見立てです。

世界は「近代文明経験国家」群と「近代文明未経験国家」群とに分かれる。
インドなどの国などで、近代国家理念の実現に近づこうとしている国々とは《支援》すべきであろうし、そうでない国々とは、そのレベルに応じて関係を作らないといけない。
日本が敵対するのは一つの国しかない。多数の国を敵などできない。一国に絞るわけですが、それは「文明」の違うチャイナ以外にありえない。これは文明の衝突の最前線にあるのだ。
表面上は波風立てないようにしたいけど、もはや日本が中国の影響を受けると、日本人が滅ぶ危機を迎えるのです。自己中の文明が他者を思いやる文明を駆逐するのは、悪貨が良貨を駆逐するのと同じですから。

近代文明経験国家群の今後の歩みは、おそらく平等性の実現に向けた格差を縮小する方向へ向くだろうし、「資本」主義から「市場」主義に思想が変わり、「欲望」に制約を加えていく方向に社会が変わるだろう。それは「成長」を至上命題にするのではなく、「持続的成長」が命題となる社会です。
他方、「近代文明未経験国家群」はどうなるか。その例は韓国のこれからの「姿」に現れるのではないかと思っています。
韓国は「精神改革」を経る過程で旧体制に戻り、外見だけ「近代的に」なった「もどき近代」の実例です。
「もどき近代国家」と「近代文明経験国家」はどう違うのか?
ヨーロッパ諸国の中でドイツやフランス、イギリス、オランダなどは過去に経済危機を何度か迎えていますが、だるまさんのように倒れないのです。起き上がってきます。でもギリシャは大変ですね。韓国は日本の支援を得てアジアの金融危機を乗り越えたけれど、もはや日本の援助なしで、次の経済危機はのりこえなけばればなりません。はたしてそれができるか、と言うと答えは「ノー」です。「もどき近代」も韓国の民族資本で成し遂げたわけではないから。それに現在の家計債務の膨張がどうなるのか、銀行は外国資本で、産業は財閥だけ、行くへを見守るしかないですが、昔に、戻るのではないでしょうか。
韓国の向こう10年の変わりようは、おそらくチャイナが後を追う姿ではないかと想定しています。
私が100歳近くまで生きていたら、かなりの変化を目にすることができると思います。

「近代」と言うのが歴史個体化している家庭が今でしょう。
「近代」文明が生み出した「光と影」をこれから明確にしていって、自覚的に近代的価値観を引き継ぐかイノベートしていくかは、経験国家でなければできません。未経験国家は「近代化」のステップを踏まない限り、「近代的価値」をモノにできないので、ならっても「エセモノ」であり続けます。

歴史の大きな転換点に来ているんですね。日本の針路が先進諸国の進む道になるかもしれないと思っています。でもなぜ日本は「近代文明経験国家」に鳴れたのでしょうね。
後発国は「精神革命」を越さないと「近代国家」になれないのだろうか。(つづく)

(2017-08-14 09:34:26 アメーバーブログ)