花日和 Hana-biyori

2022年のよかった本

2022年の振り返りをいまごろ。読書会が中心の読書で、そこから興味を持って読んでみた作家やテーマが多かったです。

このうち3冊はオーディオブックなので読んだとは言えないですが「よかった本」なので入れときます。

1.「卵をめぐる祖父の戦争」デイヴィッド・ベニオフ

 敵に包囲され補給を断たれたレニングラードで卵を探す若者たちの、凄惨でどこか滑稽な旅路。後に戦争をエンタメとして味わっていいのかという葛藤も感じた。
 あと、読み終わった日は夫が血だらけで帰宅して衝撃を受け、病院で待っているあいだずっと読んでいたので独特のインパクトが残っている。

2.「戦争は女の顔をしていない」スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ

ソ連から出兵した女性兵士たちのインタビュー集。よくぞここに光を当てたと思う著者渾身の歴史証言集であり、個人の人生を破壊した事象の記録。

3.「ゆうじょこう」村田喜代子

明治後期の遊女を扱った小説。女性の共闘が描かれていてよかった。

4.「名文を書かない文章講座」村田喜代子

改めて肝に銘じたい文章指南。名文の例が読み物としてインパクト強かった。

5.「マリアビートル」伊坂幸太郎
 
個性的な殺し屋たちが新幹線ですったもんだで一気読み。ハリウッド映画も面白かった!

6.「掃除婦のための手引書」ルシア・ベルリン

過酷な人生遍歴を巧みな小説に仕上げてあるのが凄い。傷口をそのまま見せているようでいて、そうじゃないから胸を打たれる。

7.「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬

これも戦時下の旧ソ連の話。たぶん「戦争は女の顔をしていない」がこれを書くきっかけになったのではと勝手に思うけど、それとはまた別の知識や情報が詳細に書かれており、戦時下の狙撃兵の緊張状態に連れて行かれた。

8.「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーウェンズ

幼い頃に家族に捨てられ湿地の家で一人で生きた女性の物語。貧困白人への差別に対し、大自然を味方につけて闘い抜いた人生に舌を巻く。

9.「あしたから出版社」島田潤一郎

就活がうまく行かなくて出版社を始めるに至る胸中やエピソードが面白かった。無力感に共感したが、行動力には感心する。

10.「日の名残り」カズオ・イシグロ

オーディオブックにて。田辺誠一の語りがよかった。英国の“本物の執事”が過去をふり返る旅路。ご主人様に対する忠誠心を語りつつ、あるじの戦時中の複雑な立場や本人の痛みが見えてくるのが興味深かった。
 
 
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表紙のスクショはこんなかんじ。
 
 
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