花日和 Hana-biyori

森のおくから~むかしカナダであった本当の話

4年生に読み聞かせでした。今回も2018年小学生(3.4年生)の課題図書。絵本を一冊読んだあと、読み物の紹介をしました。

『森のおくから ~むかしカナダであった本当の話』(約10分)
作: レベッカ・ボンド/訳: もりうち すみこ(ゴブリン書房)


1914年、今から104年前(第一次世界大戦開戦の年ですね)のカナダで本当にあった話です。著者の祖父の思い出話を絵本にしたそうです。世界地図を広げて、「カナダってどこでしょう~」と説明してからやりました。

あらすじ> もうすぐ5歳になるアントニオが住んでいたのは、深い森に囲まれた小さな町ゴーガンダ。お母さんが湖のほとりで3かいだてホテルをやっていたのです。近くに子どもがいなかったので、アントニオの友だちはホテルで働く大人たちや、お客さんでした。

森には動物たちがいた跡が残っていましたが、アントニオは動物の姿を見かけません。ところがある日、山火事が起きてみんなが湖に逃げました。そして、森の動物たちも次々に湖に逃げてきたのです。

 * * *

湖に、最初はウサギやキツネなどの小動物が、やがてオオカミや熊まで現れます。人間と動物が静かにずっと、湖に避難していた様子が描写され、なんともいえない特異な雰囲気に包まれます。自分で読むより、声に出して絵を見ながらのほうが雰囲気が伝わる絵本かもしれません。絵がじっくり見られるので。

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『レイナが島にやってきた!』長崎夏海/絵:いちかわなつこ(理論社)


こちらは読み物で、紹介のみ。

あらすじ> 沖縄に住む小学4年生の優愛(ゆうあ)の学校は、全生徒26人。同級生が自分を入れて3人で、女子は優愛一人だけ。夏休みあけ、4年生の女子が転校してくるというので喜ぶ優愛だったが、転校生レイナは爆発的な個性の持ち主でなかなか思い通りに打ち解けられない。自由奔放に見えるレイナは、優愛がうかがい知れない「里子の気苦労」を背負っていた。

 * * *

レイナの「里子」認識が、「けいやく子ども」で、病気を押しても家事をして「やくにたつ」ところをアピールしなくてはならないと頑張るエピソードが痛ましいです。そうじゃないんだよと養母が諭す場面があとからの説明だけだったのがちょっと残念でした。

しかしこのお話の語り手は優愛で、彼女から見たレイナの姿しか読者には見えません。優愛が初めて「自分以外の誰かのことを真剣に考えた」と気づくところが印象的でした。つまり、客観的な視点ができていく、そういう年代を描いたってことかなと。だから、ネットでは「友情のお話」と紹介している人もいたのですが、私は「成長の話」だと思いました。

著者は鹿児島県の沖永良部島で暮らしているそうで、そのせいか南国の自然描写を頑張っている感じがしました。
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