中学生のとき難聴になり、心を閉ざした大学生の航平と、祖父と二人暮らしで明るい性格の太一のおはなし。
私は原作ものが映像化するとき、表現方法や脚本の違いを比べるのが好きなのですが。このドラマの3話は、太一が自分の生い立ちの打ち明け話をしたとき、航平が、「聴こえなかったから」と聞き直す場面が原作と違っていて良かったです。
マンガだと、太一が恥ずかしがって「いいよ大した話じゃねーし」と誤魔化してしまうんですよね。航平は高校時代にそんな風に言われて疎外される辛い経験をしてきているのに(ドラマでも2話でやってました)。
それに以前、太一は航平に「聞こえないのはお前のせいじゃないだろ」「何度でも聞き返せよ」などと言ったことがあり、その言葉に航平は救われた気持ちになる、ぐっとくる大事な場面でした。
なのに、あんなかっこいい事を言っていたのに、聞き返されて誤魔化すのはあんまりだわ〜とがっかりするし、航平もまた闇落ちで気の毒な感じでした。
しかし、ドラマ版はそんな読者のツッコミを踏まえたかのよう。誤魔化そうとする太一に、航平が「何度でも聞き返せよって太一が言ったんだよ。あのとき嬉しかったのに」などと、ちゃんと抗議していたではないですか。
それで太一は、じいちゃんの黒焦げハンバーグの思い出を航平に話していました。よかった…。
原作の方は太一の至らなさが出ているだけで駄目というわけじゃないですが、こっちのほうが、見ていてより納得感があり、二人の絆が強まった感じがするんですよね。
映像化すると、こういう解釈できたかーとか、より雰囲気でてるなーって場面を観られることがあり、脚本家(プロデューサーか?)の手によって、一つの物語をまた違った角度で味わえるのがいいですね。