「真夏の真夜中のコンビニ」
真夏の真夜中のコンビニ
たどたどしい日本語
いろいろな色の肌
いろいろな色の瞳
はろー こんばんは
少し目があって
照れ笑い
あたしその時買ったのは
ミネラルウォータとポテトチップス
真夜中のコンビニ
夜明けも近い時間
納品されたパンやおにぎりを
陳列させる
おいしくみえるように
ドアベルもならない
オートマティックオープンドア
買おうと思ったものは
朝刊と珈琲
レジを頼み損ねて
時間がどんどん経って
朝陽が眩しくなってくる
眠れない夜の続きの朝の青い道を
コンビニへ向かったのは
話し相手がいなかったから
いつも行くコンビニだけど
この時間のシフトの人は知らなかった
陳列されるパンやおにぎりや飲み物の
ぎっちり入ったケースから
陳列棚に並べている横顔から
聞こえてくる
「クソッタレ」
珈琲が飲みたくて
お会計お願いしまーすと言ったら
駆け足で
「らっしゃいっせー」
「ピッ。ピッ。ジョアウヂエになりまー」
「カード失礼しまー」
「カードお返ししまー」
「ごひゃくえんからしつれいしまー」
「レシートと細かくなりますがお釣り
こちらになりまー」
「あーざーっす」
たったったった
店員さんさっきの作業に戻る
イートインの椅子がたぴし
この国の大きなp荷物がなんかやらかした
でかい記事
珈琲が冷めすぎないように気をつけながら
あたしは新聞を読む
市バスのバス停
働き人の通勤ラッシュ
何人かの観光客とカートバッグで
目つき険しい空気が見えた
台風がやってきています。
みなさん、お近くの避難所の場所を
予めご確認ください。
ニホンゴ。だったね。
ジャパンは、いい国だったと思って
帰途についてくれるだろうかなと
珈琲を飲んでるあたしは
コンビニのイートインテーブル
真っ白なテーブル
プラスティックの臭いのテーブル
覚えたのはまだ
カミサハムニダだけ
そろそろ
朝の時間が
早く動き始める
あたしの時間は終わる
黙って
朝陽の中の道を
アパートに帰る
珈琲まだ残ってる
家かえって飲む
ちょっと酸っぱい
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「荒野より」