鮑は「ステーキ」だ!と以前に書きましたが、こうまで風味や磯の香りを残したまま柔らかく煮た鮑が口に入ると、もう降参!!
海老芋は京芋と呼ばれ、前に紹介した大和芋ともまた違う風味があります。
大和芋は山芋系、海老芋(京芋)は里芋系です。読んで字のごとくとは、このことです。
海老芋といえばまず浮かぶのは、京都の「いもぼう」ですよね。
一度だけ行ったことがありますが、海老芋と棒鱈を煮たお料理はシンプルで海老芋の美味しさに驚きました。
今回はその海老芋を饅頭にしていただきました。海老芋の食感は里芋よりシャッキとしています。色も白いまま、あまり変色しないようです。
その海老芋饅頭、実は中にお楽しみの「餡」が入っていました。料理の説明になかったので「あれ?何?」と思っていたら、中から鮑の肝の煮付けが出てきてビックリ。
ここの仲居さんはとてもチャーミングな方で、毎回お会いするのが楽しみなのですが、「肝料理が嫌いな人も多いので内緒にしてました、どうでしたか?」と茶目っ気たっぷりに教えてくださいました。
肝の煮付けの濃いお味が海老芋を引き立てるのは「いもぼう」の棒鱈効果と同じです。また食材を無駄にしない料理長のお人柄にも触れることができました。
花月の食器には、伊万里焼など和風の食器はもとより、中国の水墨画風のものも多いので、マネちゃんに理由を尋ねてみました。
「私見ですが・・・」という前置きで「昭和初期の日本では、輸出用の良質な食器をたくさん制作販売していた。当時の海外向けの食器の流行は中国風の風流柄だったのでは・・・」ということ。
そういえば、ここの食器は中国風ではありますが韓国風でもあります。「青磁」も多いように思います。
青磁といえば古代中国発生ですが、お隣の韓国を問わず日本でも、またタイやベトナムなど、アジア全域の風流人に愛された焼き物です。
タイでは宋胡禄(すんころく)焼といって、茶器として日本にも輸入されたようです。
韓国旅行で高麗青磁のぐい飲みを手に入れましたが、韓国では20世紀に入り技法が復活しました。青緑の発色がとても美しいです。
そういえば、映画「利休にたずねよ」で描かれた美学の重要なシンボルである「香合」、朝鮮から攫われてきた王朝貴族末裔の娘が持っていた「香合」も
「青磁」だったと記憶しています。
古来から文化的・芸術的にはアジア近隣諸国は相互に関わり、「良いものは良い」と受け入れて合っていたのかもしれません。
「質」は思想も国境をも越える。世界の「和食」人気の答えもそのあたりにあるのでしょう。質の高い和食を口にする至福はまさに、「文化を丸ごと食す」といえるのではないでしょうか。
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【公式】神戸須磨の会席料理ランチ・ディナー │ 味と宿 花月
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