そんな麗しい時間の流れを、容赦なく堰き止める出来事が訪れたのも、
最愛の金曜日だった。
珍しく雨が降り、オープンエアのフライデーナイトが中止となった夜。
まるで木曜の夜のように穏やかに夕食を済ませ、包み込まれるソファにふたりで深く沈む。
夜の緑を濡らす雨音を聞きながら、それぞれに本を手にする。
わたしの手元には、「GLT」。
Meguという名前出てくるたびに、瞳が釘付けになる。
なんとなく言いそびれてしまっている本名を、子供のような言い訳とともに今夜告白しようと、
なんとなく決心した。
「謝りたいこととお願いごとがあるの。」
彼が足を組み替えたのがきっかけとなって、わたしの口が無意識に反応した。
「謝りたいことと、願いごと?」
彼は少しだけ驚いた顔を向けた。
「うん。」
そう頷いて、わたしは、どちらから話そうか迷っていた。
・・・チリチリチリチリ・・・・・
突然、ほとんど鳴ることのない電話が鳴り響いた。
咄嗟に、暗黒な色をした予感が心をよぎる。
多分それは、
「電話は緊急用だから、まずかかってくることはない」
といつか彼が言っていたのを思い出したからだろう。
ソファから手を伸ばせば届く距離だったが、彼は、そうしなかった。
静かに立ち上がり、聞き慣れない音を立てる電話をゆっくりと持ち上げた。
そして、彼のその背中も、わたしの心を映しているかのように思えた。
最愛の金曜日だった。
珍しく雨が降り、オープンエアのフライデーナイトが中止となった夜。
まるで木曜の夜のように穏やかに夕食を済ませ、包み込まれるソファにふたりで深く沈む。
夜の緑を濡らす雨音を聞きながら、それぞれに本を手にする。
わたしの手元には、「GLT」。
Meguという名前出てくるたびに、瞳が釘付けになる。
なんとなく言いそびれてしまっている本名を、子供のような言い訳とともに今夜告白しようと、
なんとなく決心した。
「謝りたいこととお願いごとがあるの。」
彼が足を組み替えたのがきっかけとなって、わたしの口が無意識に反応した。
「謝りたいことと、願いごと?」
彼は少しだけ驚いた顔を向けた。
「うん。」
そう頷いて、わたしは、どちらから話そうか迷っていた。
・・・チリチリチリチリ・・・・・
突然、ほとんど鳴ることのない電話が鳴り響いた。
咄嗟に、暗黒な色をした予感が心をよぎる。
多分それは、
「電話は緊急用だから、まずかかってくることはない」
といつか彼が言っていたのを思い出したからだろう。
ソファから手を伸ばせば届く距離だったが、彼は、そうしなかった。
静かに立ち上がり、聞き慣れない音を立てる電話をゆっくりと持ち上げた。
そして、彼のその背中も、わたしの心を映しているかのように思えた。
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