皆さん、こんちイナ。
先日、ボムススヒョンを書いたときlotusrubyさんから
「誰でもイケそうだ」というコメを頂戴しまして。
そっかぁ・・・・じゃ、試しにミンチョルで。
な~~んていい加減に書いたんですけどね。
妄想し出したらこれがどうでしょう。
地味ですがそれなりに味わいのある昆布茶のような作品。(爆)
・・・というわけで私、初ミンチョルでございます。
ミンチョルは皆さんの思い入れも熱いし、
聖域って感じがして創作は・・・難しい。って思ってたんですけどね。
こんな単発なればこその企画。
もし、よろしければお付き合い下さいませ。
相変わらず短いし。
リハビリ中ですから。ご勘弁。
では・・・どぞ。
あ・・・ボムス君置き去りです。(笑)
天使はミンチョルがお好き
「俺としたことが・・最近どうかしている。」
忙しい仕事の合間、ふと気づくとあのヨンスという女性のことを考えている自分に彼は正直なところ困惑していた。
ミンチョルはそっと目を閉じた。
あの日この店でじっと自分を見つめスケッチしていた彼女の眼差しが思い出される・・・。
彼は急に喉の渇きを感じた。
いつものブラックベルベット一口、口にする。
「おひとりですか。珍しいですね。」
スヒョンはそういってミンチョルに声をかけた。
「あ・・・スヒョンさん。そちらこそ今日は美しい女性とご一緒じゃないんですね。」
ミンチョルはそういってニヤッと笑った。
ミンチョルとスヒョンはお得意様と画商という至ってビジネスライクな間柄だったが、
ミンチョルは会うたびに得体の知れないオーラを発するこの人物に少し興味を抱いていた。
「僕だってたまにはひとりで考え事をしたいときがありますよ。
そういうミンチョルさんだって・・・今、・・・女性のこと考えていたでしょ。」
「えっ?」
ミンチョルは思いがけないことを言い当てられて少し動揺した。
「もしかして、先日うちの画廊にご一緒にいらした女性ですか」
「スヒョンさん、いらしたんですか?あの時。」
「ええ。拝見してました。
いつもらしからぬあなたの様子をじっと観察してました。」
スヒョンはそういうと悪戯っぽく微笑んだ。
ミンチョルはさっきから考えていたことを見透かされた気がして、
一瞬返す言葉を失った。
「何もおっしゃらないということは・・図星かな。
あの女性・・・・いや、やめておきましょう。」
スヒョンは何かを言いかけやめた。
「その言い方気になりますね。何だか貴方らしくない。」
ミンチョルは表情を変えずにそう言ったが内心は穏やかでなかった。
この男はヨンスについて何を語ろうとしたのだろう。
「気になりますか。それは・・・あなたが変化し始めているということだ。
そして変化し始めている自分にあなたも気がつきつつある・・・。
ちょっと場所を変えませんか。ちょうど貴方に見せたいものがあるんです。」
スヒョンはそういうと席を立った。
「何処へ…」
「行ってからのお楽しみです。
もっとも一緒に来るも来ないも貴方の自由ですが。」
スヒョンは片眉をあげてそういった。
今までのミンチョルならば彼のペースに乗ることはなかっただろう。
しかし今のミンチョルは彼についていくことを選んだ。
(俺が変わり始めたって。俺は俺以外の何者でもないさ)
それはミンチョルが自分のことを変わり始めたというスヒョンの言葉を否定したい気持ちと、
彼の言いかけた言葉をしりたい気持ちから出た行動だった。
ミンチョルはスヒョンのBMWの助手席に座る。
「何だか男二人で夜のドライブなんて不思議な感じですね。」
スヒョンはミンチョルにそう話しかけるとフッと笑って車のエンジンをかけた。
「どうぞ。入って下さい。」
スヒョンが照明をつけながら言った。
淡い間接照明の光が室内を薄暗く照らす。
彼がミンチョルを案内したのは彼の自宅。
洗練されたモダンなインテリアで囲まれたそこには無駄なものは何一つなかった。
そして生活感もない。
(実に彼らしい家だ。)
ミンチョルはそう思った。
「今、お茶入れますから。それともお酒がいいかな。
それとも・・・・キスでもしますか。」
スヒョンはそういうとじっとミンチョルを見つめた。
「スヒョンさん・・・・・」
(この男ならありえたか・・)
ミンチョルの頭に恐ろしい光景が浮かぶ。
「冗談ですよ。まさか・・・本気にしました?」
笑いながらスヒョン。
「まさか・・・・」
そういいながらミンチョルは自分の心臓の鼓動が少し激しくなっていることに気づいた。
「まあ、座りませんか。そんなに怯えなくても・・食べませんから。
意外だな。ミンチョルさんはもっと氷のように冷たい人なのかと思っていました。
これも・・・変化の影響かもしれませんね。」
「変化の影響?
さっきから妙なことをおっしゃいますが、僕の何が変化しているというんですか。
もし、変化していたとしてもそれに気づくほど僕とあなたは親しくない。」
ミンチョルは出来るだけ平静を装って言った。
「本当に自分の中で何かが変わり始めていることに気がついてないんですか?
僕が思うにあなたは勘の鋭い人だ・・・。
自分の心の揺れに気がつかないわけがない。
気がついているからこそ・・・ここに来た。違いますか?」
スヒョンにそうはっきりと言われミンチョルは返す言葉がなかった。
しかし、この男は一体どういう奴なのか・・・。
「じゃ、僕の心がどう変化し始めたのか・・・あなたにはわかるんですか?」
ミンチョルは挑戦的に質問した。
「ええ。わかりますよ。」
スヒョンは実にあっさりと答えた。
「えっ?」
「驚きました?僕にはわかるんです。
あなたの心が少しずつ融け始めているのがよくわかる。
画廊であの女性を見つめるあなたにいつものあなたの影はなかった。
むしろ温かささえ感じました。」
そう面と向かって言われると、
今までのどうしようもない想いが正しいもののように思えてくる。
「あの女性は・・・・・きっとあなたの人生を変えるでしょう。
それがあなたにとっていいことなのか悪いことなのか・・・。
それはあなた次第でしょうね。
ただ、あなたが今まで求めていても手に入らなかったものを彼女が持っていることは確かですね。
それを手に入れたかったら・・・勇気を出して彼女の胸に飛び込めばいい。
彼女は必ず答えてくれる。
それは彼女が求めているものをあなたが持っているから。
もちろん物理的なものではありませんよ。
あんなに欲のない顔をした女性は珍しいですから。」
始めは胡散臭いと思って聞いていたミンチョルだったが、
ヨンスを欲のない女だというスヒョンの言葉に妙な説得力を感じていた。
「あの女性のこと・・・ご存知なんですか」
「いいえ。
でも・・・あの作家が好きで中でもこの絵が一番だ・・・という人ですからね。
あとは職業的な勘ですか。」
スヒョンはそう言って笑うと一枚の絵をクローゼットから出してきた。
「あ・・・・」
「これ、私が買っておきました。
いつでもお譲りしますから。
値段はあなたの幸福の度合いでシフトすることにしましょう。
たぶん・・・僕の勘が正しければ破格の値段になる・・・気がします。」
(・・・ということは俺が幸せになるということか。
女や家庭に何の夢もない俺が・・・)
ミンチョルはふっと笑った。
「買わないかもしれませんよ。」
ミンチョルは言った。
「ええ。どうぞご自由に。でもあなたは必ず買いに来る・・・。
私はそう思います。」
「何だかスヒョンさん、占い師みたいですね。」
ミンチョルは出されたコーヒーを一口飲むと笑いながらそう言った。
そう。占いだ。
当たるかもしれないし外れるかもしれない・・・当てにはならない占い。
だから俺は自分しか信じないのだ。
「ははは・・・僕は天使なんですよ。
まあ、信じる信じないはあなたの自由ですが・・」
「・・・」
あまりも突拍子もないスヒョンの告白にミンチョルは大笑いした。
「どうりで。天使なら・・・僕の未来が見えるわけだ・・。」
ミンチョルはからかい半分でそういった。
そういった後にふと思う。
(こいつイカレてるのか・・いや、待てよ。もし本当に天使だったら・・)
思わぬことを考えている自分にミンチョルは呆れながら前髪をかきあげスヒョンを見る。
彼はじっとミンチョルを見つめていた。
またミンチョルの心臓の鼓動が少し早くなった。
(長居は無用だ・・)
ミンチョルは思った。
あれから何年経っただろうか。
ミンチョルは幸せだった。
彼の傍らにはヨンスがいた。
彼女の闘病という思わぬ出来事があったにしろ、
あれから二人は愛し合うようになり多くの苦難をも乗り越え、
今はこの上ない幸せに包まれていた。
ミンチョルの事業もやっと軌道に乗った。
明日は結婚記念日だ。
今年こそあれをプレゼントしよう。
ミンチョルはあの絵を安い値段では買いたくなかった。
なぜならあの絵の値段は自分の幸福の度合いにシフトするのだから・・・。
あの日のスヒョンの提案を思い出しては事業を軌道に乗せるべく必死に努力してきた。
自分の今の幸せに見合った値段・・・。
今のミンチョルにはそれが値段のつけられないほど価値のあるものだということが良くわかる。
スヒョンはいくらで譲ってくれるのだろう・・・。
ミンチョルは少し不安に思いながらスヒョンの名前を検索し発信ボタンを押した。
あれ以来スヒョンとは会っていない。
あの後、あっという間にビクトリーは倒産し、
高級な絵画を送るような得意先との縁は切れた。
今の事業はやっと軌道に乗ったところで、まだそこまで手が回らないというのが実情だった。
それでもミンチョルは明日なけなしの財産を叩いて絵を贈ると決めていた。
最近、何故か元気がないヨンスを元気付けたかったから。
きっとヨンスは喜んでくれるに違いない。
呼び出し音が鳴る・・・・
「もしもしスヒョンさんですか?」
「あ・・そろそろご連絡いただけると思ってましたよ。ミンチョルさん。」
電話口でスヒョンはそう言った。
笑っているようだった。
ミンチョルは画廊に向かうと告げ電話を切った。
絵の値段は会ってから相談することになった。
「お久しぶりです。」
ミンチョルはそう言って右手を差し出した。
「本当に。お元気そうですね。お噂はかねがね聞いてますよ。」
スヒョンはそう言って右手を出し、
ミンチョルと握手をすると彼をぐっと引き寄せ抱きしめた。
ミンチョルはまた自分の心臓の鼓動が激しくなっていることに動揺していた。
知ってか知らずかそんなミンチョルを見てスヒョンはニヤッと笑った。
「さて、あの絵ですよね。」
そういうスヒョンの視線の先には壁にかけられた「あの絵」
「いくらで買っていただけるのですか。」
スヒョンはにこやかに言った。
「一億ウォン・・・・・いかがでしょう。」
ミンチョルはスヒョンの表情を窺った。
「ずいぶん、奮発しましたね。
その額は今あなたが用意できる限界でしょうね。・・・」
そう言いながらスヒョンは壁から絵をそっと外した。
「わかりました。お譲りしましょう。但し・・・お代は結構です。」
「えっ?」
ミンチョルは戸惑った。
「そもそも、ですね。この絵はあなたの手元に届く運命にあったものです。
僕が一旦お預かりしたまでです。仕事の一環ですから。」
「仕事の一環?」
「そう。言ったでしょ。僕は天使だって。
人を幸せに導くのが仕事なのです。
貴方が今自分の財産をすべて賭けるほど幸せだということがわかって、
僕の仕事は無事完了ですから。
あの絵のおかげで仕事が軌道に乗るスピードも速くなったわけだし。
我ながら完璧な仕事ぶりです。」
スヒョンはそういうと満足げに頷いた。
(本当にこの人は天使なのだろうか・・・)
しかし、ミンチョルにとってそれは今となってはどうでもいいことだった。
あの日彼が言った言葉。
<それを手に入れたかったら・・・勇気を出して彼女の胸に飛び込めばいい。
彼女は必ず答えてくれる。>
この言葉に何度か助けられたのは事実だった。
そして今彼はこの上なく幸せだった。
そしてこの男と親しくしているともっと幸せがめぐってくるような気がした。
次は・・・子供が欲しい。
ヨンスに良く似た女の子がいい。
「あの・・・ヒョンって呼んでもいいですか。」
「驚きの変化ですね。以前のあなたからは考えられない。」
スヒョンはそう言って笑った。
「ええ。ご自由に。
・・・であなたの願いですが・・・神様に今度会ったときに頼んでみましょう。
乗りかかった船ですから。」
スヒョンはそういうとミンチョルにウインクをした。
ミンチョルの心臓の鼓動がまた激しくなった。
「はやまったか・・・・」
彼と親しくなる道を選んだことを少し後悔するミンチョルだった。
先日、ボムススヒョンを書いたときlotusrubyさんから
「誰でもイケそうだ」というコメを頂戴しまして。
そっかぁ・・・・じゃ、試しにミンチョルで。
な~~んていい加減に書いたんですけどね。
妄想し出したらこれがどうでしょう。
地味ですがそれなりに味わいのある昆布茶のような作品。(爆)
・・・というわけで私、初ミンチョルでございます。
ミンチョルは皆さんの思い入れも熱いし、
聖域って感じがして創作は・・・難しい。って思ってたんですけどね。
こんな単発なればこその企画。
もし、よろしければお付き合い下さいませ。
相変わらず短いし。
リハビリ中ですから。ご勘弁。
では・・・どぞ。
あ・・・ボムス君置き去りです。(笑)
天使はミンチョルがお好き
「俺としたことが・・最近どうかしている。」
忙しい仕事の合間、ふと気づくとあのヨンスという女性のことを考えている自分に彼は正直なところ困惑していた。
ミンチョルはそっと目を閉じた。
あの日この店でじっと自分を見つめスケッチしていた彼女の眼差しが思い出される・・・。
彼は急に喉の渇きを感じた。
いつものブラックベルベット一口、口にする。
「おひとりですか。珍しいですね。」
スヒョンはそういってミンチョルに声をかけた。
「あ・・・スヒョンさん。そちらこそ今日は美しい女性とご一緒じゃないんですね。」
ミンチョルはそういってニヤッと笑った。
ミンチョルとスヒョンはお得意様と画商という至ってビジネスライクな間柄だったが、
ミンチョルは会うたびに得体の知れないオーラを発するこの人物に少し興味を抱いていた。
「僕だってたまにはひとりで考え事をしたいときがありますよ。
そういうミンチョルさんだって・・・今、・・・女性のこと考えていたでしょ。」
「えっ?」
ミンチョルは思いがけないことを言い当てられて少し動揺した。
「もしかして、先日うちの画廊にご一緒にいらした女性ですか」
「スヒョンさん、いらしたんですか?あの時。」
「ええ。拝見してました。
いつもらしからぬあなたの様子をじっと観察してました。」
スヒョンはそういうと悪戯っぽく微笑んだ。
ミンチョルはさっきから考えていたことを見透かされた気がして、
一瞬返す言葉を失った。
「何もおっしゃらないということは・・図星かな。
あの女性・・・・いや、やめておきましょう。」
スヒョンは何かを言いかけやめた。
「その言い方気になりますね。何だか貴方らしくない。」
ミンチョルは表情を変えずにそう言ったが内心は穏やかでなかった。
この男はヨンスについて何を語ろうとしたのだろう。
「気になりますか。それは・・・あなたが変化し始めているということだ。
そして変化し始めている自分にあなたも気がつきつつある・・・。
ちょっと場所を変えませんか。ちょうど貴方に見せたいものがあるんです。」
スヒョンはそういうと席を立った。
「何処へ…」
「行ってからのお楽しみです。
もっとも一緒に来るも来ないも貴方の自由ですが。」
スヒョンは片眉をあげてそういった。
今までのミンチョルならば彼のペースに乗ることはなかっただろう。
しかし今のミンチョルは彼についていくことを選んだ。
(俺が変わり始めたって。俺は俺以外の何者でもないさ)
それはミンチョルが自分のことを変わり始めたというスヒョンの言葉を否定したい気持ちと、
彼の言いかけた言葉をしりたい気持ちから出た行動だった。
ミンチョルはスヒョンのBMWの助手席に座る。
「何だか男二人で夜のドライブなんて不思議な感じですね。」
スヒョンはミンチョルにそう話しかけるとフッと笑って車のエンジンをかけた。
「どうぞ。入って下さい。」
スヒョンが照明をつけながら言った。
淡い間接照明の光が室内を薄暗く照らす。
彼がミンチョルを案内したのは彼の自宅。
洗練されたモダンなインテリアで囲まれたそこには無駄なものは何一つなかった。
そして生活感もない。
(実に彼らしい家だ。)
ミンチョルはそう思った。
「今、お茶入れますから。それともお酒がいいかな。
それとも・・・・キスでもしますか。」
スヒョンはそういうとじっとミンチョルを見つめた。
「スヒョンさん・・・・・」
(この男ならありえたか・・)
ミンチョルの頭に恐ろしい光景が浮かぶ。
「冗談ですよ。まさか・・・本気にしました?」
笑いながらスヒョン。
「まさか・・・・」
そういいながらミンチョルは自分の心臓の鼓動が少し激しくなっていることに気づいた。
「まあ、座りませんか。そんなに怯えなくても・・食べませんから。
意外だな。ミンチョルさんはもっと氷のように冷たい人なのかと思っていました。
これも・・・変化の影響かもしれませんね。」
「変化の影響?
さっきから妙なことをおっしゃいますが、僕の何が変化しているというんですか。
もし、変化していたとしてもそれに気づくほど僕とあなたは親しくない。」
ミンチョルは出来るだけ平静を装って言った。
「本当に自分の中で何かが変わり始めていることに気がついてないんですか?
僕が思うにあなたは勘の鋭い人だ・・・。
自分の心の揺れに気がつかないわけがない。
気がついているからこそ・・・ここに来た。違いますか?」
スヒョンにそうはっきりと言われミンチョルは返す言葉がなかった。
しかし、この男は一体どういう奴なのか・・・。
「じゃ、僕の心がどう変化し始めたのか・・・あなたにはわかるんですか?」
ミンチョルは挑戦的に質問した。
「ええ。わかりますよ。」
スヒョンは実にあっさりと答えた。
「えっ?」
「驚きました?僕にはわかるんです。
あなたの心が少しずつ融け始めているのがよくわかる。
画廊であの女性を見つめるあなたにいつものあなたの影はなかった。
むしろ温かささえ感じました。」
そう面と向かって言われると、
今までのどうしようもない想いが正しいもののように思えてくる。
「あの女性は・・・・・きっとあなたの人生を変えるでしょう。
それがあなたにとっていいことなのか悪いことなのか・・・。
それはあなた次第でしょうね。
ただ、あなたが今まで求めていても手に入らなかったものを彼女が持っていることは確かですね。
それを手に入れたかったら・・・勇気を出して彼女の胸に飛び込めばいい。
彼女は必ず答えてくれる。
それは彼女が求めているものをあなたが持っているから。
もちろん物理的なものではありませんよ。
あんなに欲のない顔をした女性は珍しいですから。」
始めは胡散臭いと思って聞いていたミンチョルだったが、
ヨンスを欲のない女だというスヒョンの言葉に妙な説得力を感じていた。
「あの女性のこと・・・ご存知なんですか」
「いいえ。
でも・・・あの作家が好きで中でもこの絵が一番だ・・・という人ですからね。
あとは職業的な勘ですか。」
スヒョンはそう言って笑うと一枚の絵をクローゼットから出してきた。
「あ・・・・」
「これ、私が買っておきました。
いつでもお譲りしますから。
値段はあなたの幸福の度合いでシフトすることにしましょう。
たぶん・・・僕の勘が正しければ破格の値段になる・・・気がします。」
(・・・ということは俺が幸せになるということか。
女や家庭に何の夢もない俺が・・・)
ミンチョルはふっと笑った。
「買わないかもしれませんよ。」
ミンチョルは言った。
「ええ。どうぞご自由に。でもあなたは必ず買いに来る・・・。
私はそう思います。」
「何だかスヒョンさん、占い師みたいですね。」
ミンチョルは出されたコーヒーを一口飲むと笑いながらそう言った。
そう。占いだ。
当たるかもしれないし外れるかもしれない・・・当てにはならない占い。
だから俺は自分しか信じないのだ。
「ははは・・・僕は天使なんですよ。
まあ、信じる信じないはあなたの自由ですが・・」
「・・・」
あまりも突拍子もないスヒョンの告白にミンチョルは大笑いした。
「どうりで。天使なら・・・僕の未来が見えるわけだ・・。」
ミンチョルはからかい半分でそういった。
そういった後にふと思う。
(こいつイカレてるのか・・いや、待てよ。もし本当に天使だったら・・)
思わぬことを考えている自分にミンチョルは呆れながら前髪をかきあげスヒョンを見る。
彼はじっとミンチョルを見つめていた。
またミンチョルの心臓の鼓動が少し早くなった。
(長居は無用だ・・)
ミンチョルは思った。
あれから何年経っただろうか。
ミンチョルは幸せだった。
彼の傍らにはヨンスがいた。
彼女の闘病という思わぬ出来事があったにしろ、
あれから二人は愛し合うようになり多くの苦難をも乗り越え、
今はこの上ない幸せに包まれていた。
ミンチョルの事業もやっと軌道に乗った。
明日は結婚記念日だ。
今年こそあれをプレゼントしよう。
ミンチョルはあの絵を安い値段では買いたくなかった。
なぜならあの絵の値段は自分の幸福の度合いにシフトするのだから・・・。
あの日のスヒョンの提案を思い出しては事業を軌道に乗せるべく必死に努力してきた。
自分の今の幸せに見合った値段・・・。
今のミンチョルにはそれが値段のつけられないほど価値のあるものだということが良くわかる。
スヒョンはいくらで譲ってくれるのだろう・・・。
ミンチョルは少し不安に思いながらスヒョンの名前を検索し発信ボタンを押した。
あれ以来スヒョンとは会っていない。
あの後、あっという間にビクトリーは倒産し、
高級な絵画を送るような得意先との縁は切れた。
今の事業はやっと軌道に乗ったところで、まだそこまで手が回らないというのが実情だった。
それでもミンチョルは明日なけなしの財産を叩いて絵を贈ると決めていた。
最近、何故か元気がないヨンスを元気付けたかったから。
きっとヨンスは喜んでくれるに違いない。
呼び出し音が鳴る・・・・
「もしもしスヒョンさんですか?」
「あ・・そろそろご連絡いただけると思ってましたよ。ミンチョルさん。」
電話口でスヒョンはそう言った。
笑っているようだった。
ミンチョルは画廊に向かうと告げ電話を切った。
絵の値段は会ってから相談することになった。
「お久しぶりです。」
ミンチョルはそう言って右手を差し出した。
「本当に。お元気そうですね。お噂はかねがね聞いてますよ。」
スヒョンはそう言って右手を出し、
ミンチョルと握手をすると彼をぐっと引き寄せ抱きしめた。
ミンチョルはまた自分の心臓の鼓動が激しくなっていることに動揺していた。
知ってか知らずかそんなミンチョルを見てスヒョンはニヤッと笑った。
「さて、あの絵ですよね。」
そういうスヒョンの視線の先には壁にかけられた「あの絵」
「いくらで買っていただけるのですか。」
スヒョンはにこやかに言った。
「一億ウォン・・・・・いかがでしょう。」
ミンチョルはスヒョンの表情を窺った。
「ずいぶん、奮発しましたね。
その額は今あなたが用意できる限界でしょうね。・・・」
そう言いながらスヒョンは壁から絵をそっと外した。
「わかりました。お譲りしましょう。但し・・・お代は結構です。」
「えっ?」
ミンチョルは戸惑った。
「そもそも、ですね。この絵はあなたの手元に届く運命にあったものです。
僕が一旦お預かりしたまでです。仕事の一環ですから。」
「仕事の一環?」
「そう。言ったでしょ。僕は天使だって。
人を幸せに導くのが仕事なのです。
貴方が今自分の財産をすべて賭けるほど幸せだということがわかって、
僕の仕事は無事完了ですから。
あの絵のおかげで仕事が軌道に乗るスピードも速くなったわけだし。
我ながら完璧な仕事ぶりです。」
スヒョンはそういうと満足げに頷いた。
(本当にこの人は天使なのだろうか・・・)
しかし、ミンチョルにとってそれは今となってはどうでもいいことだった。
あの日彼が言った言葉。
<それを手に入れたかったら・・・勇気を出して彼女の胸に飛び込めばいい。
彼女は必ず答えてくれる。>
この言葉に何度か助けられたのは事実だった。
そして今彼はこの上なく幸せだった。
そしてこの男と親しくしているともっと幸せがめぐってくるような気がした。
次は・・・子供が欲しい。
ヨンスに良く似た女の子がいい。
「あの・・・ヒョンって呼んでもいいですか。」
「驚きの変化ですね。以前のあなたからは考えられない。」
スヒョンはそう言って笑った。
「ええ。ご自由に。
・・・であなたの願いですが・・・神様に今度会ったときに頼んでみましょう。
乗りかかった船ですから。」
スヒョンはそういうとミンチョルにウインクをした。
ミンチョルの心臓の鼓動がまた激しくなった。
「はやまったか・・・・」
彼と親しくなる道を選んだことを少し後悔するミンチョルだった。
見事な共演・・・うっとりしちゃった。本当に、「天使」だよね。haruさんって・・・すげぇーーー
もう一度・・・落ち着いて・・・読んでどっぷりミンチョルスヒョン・・・会って来ますね。素敵な七夕になったね。ありがとう。
「ボムス君」ほったらかしで・・・ミヤネェーー
もしかして・・・一番なのに・・・(ペコリン)
はまって、ビョンホン真骨頂を置き去りにしていた
ウリ
スヒョンミンチョルという両巨頭コラボとは
お得意様と画商…そうだった、そうだった♪
すごいなあ
両者にあったこの接点!
テヒなんて、創作にチャレンジしようとして、
5行でくじけましたよ。
どうやったらこんなに泉のようにお話がわいてくるんですか
きっと小学校の時、作文大得意だったのでしょうね
…
いろんなところの創作を読ませて頂いて、
頭が混乱しそうになってました。
例の「愛に生きるミンチョル」も
まだまだ愛だけに生きてます()。
でも今日は、さわやかミンチョル、
ありがとスヒョン
いっそ単発シリーズ・スヒョンVS全キャラやって下さい
今日は私も 落ち着いて読めます
(二人とも予習済みなので←当たり前?!)
この二人って 本当に共演していたらどうなるんだろう?
スヒョンの方が 全てにおいて余裕って感じになるかな?
次回作の予告はあるのかなぁ・・・
(七夕だしね)
ボムス君も ちゃんと覚えていますよ
おもしろそうね~~なんたって天使スヒョンだもん
なんでもあり?!だよね~~
haruさんの湧き出るようなおはなしを、たくさん
読みたいな。
ボムス君は私好きだけど、いまいち創作の
主人公って感じじゃないんで・・・・
やっぱ、色っぽい人がいいんだなぁ
(って別になにしろっていうわけじゃないよ)
ふふっ。。。。。
こんなお話浮かんできますよね・・・・・
ほんと、脱帽
ボムス君のも、面白そうだったけど、私ばだ、ボムス君の話も良く出来てるとは思ったけど、私的にはこっちのほうがツボかな~
で、このシリーズ(って、テヒさんの言葉を受けて、勝手にシリーズ化するものと決めてるし)
オチは、
>「あの・・・ヒョンって呼んでもいいですか。」の一言なんのね
なんて、作者無視して、勝手に先と、コンセプト決めちゃいけませんね また、続き描いてね
いや~、スヒョンとミンチョルのコラボなんて!
それに画商に結びつけるなんて!目のつけどころがさすがharuさん
あのミンチョルにヒョンと言わしめるスヒョンもさすが天使やわ~
スヒョンのミンチョルへの妙な挑発にあらぬ妄想、入りましたが。。。
なんかharuさんの創作文読んでスヒョン素敵度してます
あっ!私もスヒョン全キャラ激希望、よろしくです
久々にゆっくりPC前に座れたと思ったら、
なんてお素敵なお話
本当にこのシリーズ化激希望します
いったいソヌはどういうシチュエーションで「ヒョンと呼んでいいですか?」発言をするんだろう?
なんて考えると・・・
haruさん。
おもしろかった!!の一言です。オールスターキャストかな!
スヒョンと画廊。あの絵とミンチョル・・・この取り合わせ、偶然といいながら、そこを物語に昇華させるなんて。物語作家、としてのharuさんの手腕に大拍手です。
うん、ぜひともシリーズ化しましょうよ。次の取り合わせが、楽しみ。どんな手に出るのかな?
う~ん、ミンチョルがスヒョンに負けてる・・・
可愛いっ!
こんなお話もありあり、凄く面白かったわ。
こらは、いけますね
しりーず化お願いします
ヨンスもスヒョンのあってたりして
スヒョンに見つめられてミンチョルが、どきどきするところなんか最高
続き、お願いします