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夏だけど映画「晩秋 Late Autumn」が良かった話

2013-07-16 07:58:02 | 映画
[KOR Sub] Late Autumn MV - Director's Cut / Sung by Tang Wei '晩秋' 中文主題曲 導演版 MV



お友達のご厚意で「晩秋 Late Autumn」を鑑賞。

ヒョンビン、タンウェイ主演
詳細はこちら

晩秋 Late Autumn映画.com

こちらあまりいい評判は聞かず…。
どんなものかと恐る恐る鑑賞したのですが…
これが、私的には大変良かったっ!
何故にこんなに酷評なのか…首を傾げる。映画とは実に面白いです。

早速感想。

舞台はアメリカシアトル
訳あって服役中の女とバスで偶然出会ったジゴロ男の72時間のお話。

全てに疲れ果て絶望しているような服役囚アンナ(タンウェイ)。

客の女に入れ上げられて
彼女の旦那(マフィアのボス?)に命を狙われているジゴロのフン(ヒョンビン)。

暗くて疲れて全てがどうでもよくなっているようなタンウェイアンナがとてもいい。

晩秋のシアトル。
霧、うら寂しい港町。
低いトーンで統一された中に同じトーンで入りこむ彼女。

ふと見せる
赤い口紅、エメラルドグリーンのドレス、微笑み…がどれも倍増して魅力的に映ります。

一方フン。
彼はジゴロですが…まだ青い感じ。
完璧ではないところが妙に魅力的。
プロとしての冷酷さに欠けるから
客に惚れられて面倒に巻き込まれたりするんだろうなぁー。

鏡を眺めるナルシストぶりは可愛い。(笑)
お金にもならなそうな女に妙に義理だてしちゃったり。
彼女をみて放っておけなくなってしまったり…。
女心の機微が本能的に掴めるところが心憎い設定です。

何故にシアトル
何故に中国人と韓国人
私にはとても必然の設定に感じられました。

シアトルという海辺の街の静かな秋は
陰のある2人の出会いにはとても相応しい雰囲気。

これがニューヨークじゃガヤガヤしすぎだし。
適度に閑散としてないと。
店を持ちたいとちょっとアメリカンドリームを抱いてるんだから、やっぱアメリカだよね。
多民族国家であることが重要。


そんな設定の本作。
お気に入りのシーンが3つ。

その1
シアトルの閉鎖された遊園地。
遠くで会話するアメリカ人カップルの様子を伺い、どんな会話をしているか…。
適当にフンが当て会話を始める場面。

ちょっと劇中劇のような雰囲気でフンは男を追ってきた女と見つかった男の話を勝手に作り出しますが、
途中、それまで黙っていたアンナが突然雄弁に当て会話に参加し始めます。

寡黙だった彼女が堰を切ったように架空の「彼女」の気持ちを熱く語る姿は
フンにアンナの違う一面を見せる絶好のシチュエーション。

心理学のドラマセラピーではないですが、抑圧していたアンナの心が架空の「彼女」を通して少しずつ顔を出し始めるきっかけともとれるシーン。
フンの不思議そうで興味深かそうな表情がまた可愛い。
暗い室内から薄明るい屋外を覗く感じが、まるで舞台を見ているよう。



その2
同じ異邦人であるものの、共通の言語は英語の2人。
何処か近くても遠い感じ?
いや、遠いけど近い感じ?

少し心を開きかけたアンナとそんなアンナに興味を持ったフン。

途中、フンがアンナに中国語を教えてもらうシーンがあります。
「ハオ」は「良い」
「ファイ」は「悪い」
アンナは自分が殺人を犯し服役中であることを話します。
過去に何があったのか…何故人を殺してしまったか…ただ淡々と語るのですが、フンは話を聞きながら、
「ハオハオ」とか「ファイ」とか合いの手を入れるんです。
この合いの手が絶妙で。
普通に考えると「あれ?おかしくないか?」
判断基準がフン独特の感覚なんですよねー。
それがまたフンがどんな人間でアンナにどんな感情を抱いているのか、暗に物語っているようで、とてもいい設定だなぁーと感心するばかり。

フンの反応を不思議そうに、でも何処か楽しそうな表情で見るアンナが可愛い。無表情だったアンナが見せるちょっとした微笑みにコロッと来ちゃう…フンじゃなくても。

その3
アンナ母の葬儀の後の会食シーン。

どうやって調べたのか
アンナ母の葬儀に参列したフン。
兄妹に暗に厄介者扱いされつつ
遺産相続の書類のサインに忙しいアンナ。
やっと同じ食卓に座った2人。
アンナの視線の先には初恋の人ワンジンがいる…。
フンはアンナの表情から殺人のきっかけになった男がワンジンだと悟るのよね。(ジゴロの凄い勘)

ワンジンとワンジンの奥さんがやってきていろいろアンナに質問します。
会話の内容からアンナは中国に行っていて葬儀のために帰郷したことになってるみたい。
真実を知るワンジンは助け舟を出すこともなくただ聞いているだけ。

そのくせ、アンナと奥さんが席を立つとアンナの彼氏と名乗ったフンに「彼女を傷つけるな」とか「近づくな」とか言って敵意を露わにします。

フンはそんなワンジンにブチ切れて結果殴り合いに。

会食の場は大荒れとなり、止められたフンは何故ワンジンを殴ったのかを聞かれ「俺のフォークを勝手に使ったからだ」と訴えます。

人のフォークに手を出してはいけない…これ、7年前に人妻のアンナに駆け落ちしようと手紙を書いたワンジンを非難してるよね。

フォーク=アンナなわけで。
あんたがあの時人のフォークに手を出したから、フォークは今でも不幸のドン底なんだろっ!
それを棚に上げ、今の彼女に口を出す無神経さに怒り心頭なフン。
ここではおそらくアンナ=自分のフォークだとフンは思ってない、いや、気づいてないんだけど、既に自分のフォークになりつつあるんだよなー。
そこがまたベタベタしてなくていい。

そして。
フンがワンジンを殴った理由を聞き、
アンナはフンが何故怒ったのか…何故殴ったのか、悟るんだよね。
自分が7年前、「人の」フォークだったことを思い起こす。
「間違えて使ってしまったとしても、人のフォークを使ってしまったら謝らないと….どうして人のフォークを使ったのか、謝ってっ!」
そう叫びながら号泣するアンナ。

冒頭の7年前のシーンで
夫の死体のそばに散らかる紙を食べていたアンナの姿。

おそらく、この殺人にワンジンが関係していることを隠すために、ワンジンから来た駆け落ちを誘う手紙を食べたのよね、アンナ。

それなのに
そこまでして庇った男は
7年後幸せそうに家族で暮らしていて謝りもしない…。
男に絶望したのか自分に絶望したのか…悲痛な叫び声はさすがタンウェイ。
このシーンはフンの優しさとアンナの悲しみが凝縮されていてなかなか良かったです。

そしてエンディング。
2人は再会出来た?出来ない?
そんなこと、実はどうでもいい。
アンナはフンが来ると信じ、
フンはアンナを迎えたいと思っていた。
そこが重要。
フンは人は殺していないわけだし。
あの時、警察に捕まったとしても釈放されてるかもしれない。
もしくは、「人のフォークを使った」咎で、自らを刑に処したかもしれない。(マフィアのボスのフォーク)
どうであれ、フンはアンナを待っていると言ったことに偽りはないのだから、会った会わないは観客の想像で…というエンディングは悪くないと感じました。

とにかく
登場人物少なく
話の展開乏しいわりには
ぐっと吸い寄せられる映画でした。
感想ちゃんと書いてみようと思った映画も久々。

いやぁー。
ヒョンビンもタンウェイもこの先楽しみねー。

トップの動画はいろいろ観て1番この映画の私の抱いたイメージに近かったので。
タンウェイちゃん、めちゃ可愛い。

そうそう。
この映画
オリジナルは1966年
韓国映画イ・マニ監督作品「晩秋」とのこと。
あらすじを読みましたが、もっとメロドラマっぽく生々しい印象。
歴史に残る名作らしい。
そして日本でもリメイクされています。
1972年
岸恵子・萩原健一主演
『約束』Yahoo映画


約束-1(8).mpg


こちら、動画見る限り、私ヒョンビン派です。
ショーケン、チャラすぎ。(笑)
こちらも生々しい感じですが、魚津の空はシアトルの空にちょっと似ているかも。

こうして他2作と比べてみると、
ヒョンビン・タンウェイ「晩秋」はちょっと王家衛「花様年華」っぽく
主人公同士の距離が実に絶妙で
身体をおいてまず気持ちがぐぐっと近づく感じが多分私好みなんだろうなぁーなどと思ったりするのでした。

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