性善説、性悪説ともに儒家の説いた説(性善説は孟子、性悪説は荀子が説いた)であり、どちらの立場をとっても結局学問や教育の必要性を説いているということに関しては同じである。
すなわち、孟子は「人間の性は善であるが、これは生活の仕方によっては悪にもなり得るものであるから、学問をすることによってそれをコントロールせねばならない」という風に学問の必要性を説き、そして一方の荀子は「人間の性は悪であるが、これは学問をすることによって善になりえる」という風に学問の必要性を説いたという訳である。
以上のことは、あまり一般的には意外と認知されていないのではないだろうか。
というのも、たまに「俺は性善説を信じるからあの(嫌な)人も根はいいやつだと思うぜ」とか、「俺は性悪説を信じるから結局みんな嫌な人で信用できないんだ」みたいな感じの表現を耳にすることがあるからである。
つまり、本性が善とか悪であるとかという言い方で使っており、結局人の本性はそれが善であろうが悪であろうが変わらないという前提のもとで語られているのだ。
まあ、「～説」という形をとって世間に浸透している言葉であるから、それは仕方のないことなのかもしれないが。
そもそも人間の性質に関してなんらかの法則性を求めようというのはある意味バカげた話でもある（孟子、荀子は完全にそのような意味で性善説、性悪説を唱えたわけではないようだが）。人間はそのときの状況に応じて様々な行動及び思考をするのであるから。それが、「善」であるのか「悪」であるのかという普遍的なものさしなどあるわけがない。
だからこそ、学問・教育が必要となってくるのだ。
では、ここまでで「性善説と性悪説」に関する一般論を終えることにしまして…。
これより、考察を行いたいと思いますが、ここからは更に長くなると思われますので、次の記事にまとめさせていただきたいと思います。
長文、読んでいただきありがとうございました。
