その昔から朝、梅干しと一緒に番茶を飲むと健康によいといわれてきた。これを朝食後にとる人が多いようだが、実は朝食前にとってこそ有効ある。その理由は、梅干しが胃液の分泌を促し、また、消化器疾患を起こしやすい細菌類を殺す役割も果たしてくれるからだ。
朝、起きがけには消化器もまだ半分眠っている。しかし、そこに梅干しのように強い酸であるクエン酸と食塩を含む食物が入ると、胃に強い刺激が与えられる。クエン酸、食塩とも胃液の分泌を高める働きがあるので、これが胃の働きを活発にするからである。
ただ、梅干しだけでは食塩濃度が高く、それが空腹時の胃壁に直接接触したままだと、胃の粘膜が障害を受けやすい。そこで、番茶を一緒に飲めば、酸も食塩も薄められ、胃の中で適度な濃度になり、胃液は順調に分泌される。
胃液の分泌は食欲を促す大きな働きがある。
一方、夏季など体の変調、とくに消化器の変調をきたしやすい時季には、胃酸の分泌が低下していることがある。このようなときに梅干しの強いクエン酸が入ると、不足している胃酸を補うことができる。多くの細菌類は、酸には非常に弱い。胃を手術で切った人が南方に旅行した場合、コレラにかかりやすいのは、胃酸が少ないために、酸に弱いコレラ菌を胃の中で殺すことができないためである。
したがって、梅干しによって酸を補給することは、消化器の病気に対しても防御するという大きな力がある。なお、梅干しと番茶でなくても、クエン酸の酸味をもったグレープフルーツジュースのような果汁を飲んだり、グレープフルーツそのものを食べてもよい。
ただし果汁の場合は、表示に100% 果汁とあるものを選ぶこと。これは品名が「ジュース」になっている。ジュースの名でないものは、「果汁飲料」という名称になり、糖類などが添加してある。
ただし、胃潰瘍など、胃に疾患のある場合は、空腹時の梅干しやジュースはよくない。必要以上に胃液の分泌を高め、疾患のある場所を刺激して症状を悪化させることもあるからだ。
また、果汁のクエン酸も、腸炎などの回復期には避けた方がよいだろう。クエン酸は消化器を強く刺激して、治りかけた腸炎を悪くすることがあるためである。逆に、便秘気味の人は、腸をクエン酸が刺激するから、朝食前のグレープフルーツジュースの一杯は、気分を爽快にするだけでなく、便通もよくするといった効用がある。
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