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平方録

七夕の宵の出来事

太陽が北回帰線を折り返したばかりのこの時期、夜が明けるのはさすがに早い。
4時のラジオニュースを5分間、寝床で聞いてベッドを離れると、もうすでに外は十分に白んでいる。
いつも起きるとすぐに東側の窓辺に寄って2か所の窓のシャッターを開けるのだが、今朝は止めておいた。
どうせ1日中雨降りなのだ。

パソコン越しに大きな開口部のガラスの折り戸の先のベランダはしっかり雨に濡れている。
実際にベランダに出て見ると強い雨ではないが、隙間なく落ちてきて身体にまとわりついてくるような雨だ。
おまけに冷たい北風が吹いている。
カツラの枝先でハート形をした葉っぱが激しく揺れている。
外気温は20度にも届いていない。

部屋の中はまだ昨夜以来の余熱が残っていて24度ある。
半袖のTシャツ1枚と短パンで何とか過ごせているが、最高気温が22度という予報ではこの格好で1日を過ごすのは少し涼しすぎるかもしれない。
釧路17度、仙台20度に次ぐ低さで、その他の関東以西は軒並み30度を超えているというのに。
太陽は久しく顔を出さないし、梅雨明けもまだ当分先のことになりそうだ。

今夜は七夕だが天の川デートはお流れだろう。
彼と彼女のデート成功の確率はどれくらいなのだろう。
太古の昔から粘り強い2人ではある。

昨日隣町のショッピングモールに出かけた帰りの駅のホームで知り合いに呼びとめられた。
去年亡くなった元知事の側に仕えた男女3人で、墓参りの帰りだという。
そういえば、今から10年少し前の七夕の宵に、愛犬を散歩に連れ出した奥さんと娘さんが突然の雷雨の中で落雷に遭って命を落とすという、信じられない悲劇に見舞われている。
その命日の直近の日曜日に、未だに墓参りを続けているらしい。
それくらい信頼と尊敬を集めた知事だったが、この3人を改めて見直した。

愛犬は県の収容施設から譲り受けた甲斐犬のオスで、名前を「秋太」といった。
難を逃れ、おびえきって家の近くまで戻る途中にたまたま通りがかったかかりつけの獣医に保護され、知事のもとに無事送り届けられたのだった。
「1人になってしまって寂しいだろうからと2人が秋太をボクの元に送り返してくれたんだと思う。こいつより先には死ねないね」としみじみ言うのを聞いた覚えがある。
「その時」は去年やって来て、先に秋太が、次いで3月31日のサクラが満開の望月の晩にご本人が旅立たれた。

旅立たれるちょうど2日前にお見舞いに伺い、国会に呼ばれた財務省の元理財局長の参考人質疑が話題になって「情けない限りだねぇ」と嘆いておられた。
それがお別れになってしまった。
天の川デートなどという悠長な話とは対極の出来事だったのである。

昨日一斉に参院選に関する新聞各社の世論調査の結果が掲載された。
結果は残念ながら予想通り。
何なんだ、この国の国民は。
夜明けは遠い。

今日も寺側の行事の都合で坐禅会は休み。
さて、この寒々しい冴えない1日をどうやってやり過ごそうか。


バーガンディーアイスバーグの2番花。蕾も結構ある ♪
(見出し写真は道路際に植えてあるアジサイで青い花を咲かせるのだが、こういう色合いは初めて見た。すごくきれい ♪)

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