平方録

“自動運転”と天空の露天風呂

自動車の「自動運転」を公道で行うための指針の案を警察庁が作ったそうだ。
中身は免許を持った人が運転席に座り、緊急時には必要な操作をする、という程度。そんなこと決めなくても当然なんじゃないのかと思える程度の内容だが、それでも「どうぞ公道で実験をおやりください」と勧めているらしく、ホゥ、自動運転実現はそれほど目と鼻の先まで来ているか、という思いである。

たしかに、2020年代の後半には完全自動運転の実現を目指すことが自動車メーカーや関係省庁によって打ち出され、目標になっているが、まぁ、購入したばかりのわが愛車の運転支援システムを体感すると、あと10年も待たなくても完全自動運転は成し遂げられるだろうことは実感できる。
しかし、自動運転が実現したら、移動中に座っていられる椅子が置けるスペースがあれば済むわけで、クルマの形というものも今のようなデザインを追求したり、空気抵抗を減らすために流線型にしたりする必要もなくなるんじゃないか。概念そのものが変わってくるんだろう。

そうなってくると、クルマのデザインや使い方を含めて、これまでのように自動車メーカーに委ねるというより、まったく別の発想を持った人の提案というのが活きてくるに違いない。
今でもタイヤメーカーがタイヤだけを供給し、ガラス会社が窓ガラスだけを供給しているように、自動車メーカーはエンジンだけとか、駆動装置だけとか、一部品メーカーのひとつになって行くかもしれない。
わがカチカチに固くなってしまった頭脳では、なかなか想像力も発揮しにくいが、おそらく考えもつかないような所がこれからのクルマを提案し、あっと驚く使い方が登場してくるはずである。
ちょっと興味はありますなぁ。

ところで、それが実現するまでの間は、運転支援システムだけで我慢するのだが、これがなかなかスグレモノなのだ。。
一昨日、甲府盆地まで往復250キロ走ってきたが、衝突防止装置を使った運転速度の上げ下げを含めたクルーズコントロールのすごさは昨日書いたとおりだが、これ以外にも、車線をはみ出すと警報音が鳴り、ハンドルが元に戻ろうとしたりする。
運転席のドアと助手席のドアに付いているサイドミラーには、斜め後方から近づいてくる車両の接近を知らせるサインが点滅するのだ。
もちろんライティング操作も自動だから、トンネルに入れば勝手にライトが点灯する。
人間サマは目的地を入力するだけで済む時代は、まさに夜明け前なのだ。

中央高速の勝沼インターを降りて一般道を25分ぐらい走った山の中腹に「ほったらかしの湯」という人を食ったような名前の温泉があって、平日のちょうど昼時だったので、入浴客も数えるほど。
斜め前方に富士山が顔をのぞかせ、眼下には満開のサクラが咲き誇る様子が見え、甲府盆地の東側に広がる緩やかな斜面が淡いピンク色に染まりかけているところなどは、まさに空中の桃源郷であり、これがまた春の日差しを受けて、身体は露天の湯の中という極楽浄土なのである。

湯あがりに敷地内の食堂で素うどんにゆで卵を丸ごと上げたものを乗せてもらって食したところ、さすがは「ほうとう」で知られた国である。うどんは滑らかで腰があり、期待しないで食べると美味しいものに出会うんだということを実感する。
食堂の大きな軒下にはツバメの巣があって、ピイピイともう鳴き声がしていた。鎌倉ではまだだが、甲府盆地ではツバメも春も、一緒になって一気に来るものらしい。

帰りの高速道路ではもちろん、わが右足は遊んだまま。アクセルもブレーキ操作もせず、ハンドル操作のみで戻ってきましたです、ハイ。とても楽チンでありましたナ。



露天風呂から見える甲府盆地はモモの花でうっすらとピンクに染まり始めている



モモの花と満開のサクラ


温泉施設にはもうツバメが渡ってきていた
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