最近のグラビアアイドル事情をネットニュースで拾い見する程度だったので、僕は今まで菊池姫奈を知らなかった。「ミスマガジン2020」の受賞者の一人で、二〇二一年には十六歳で写真集も発表。インターネット上に拡散されている菊池の水着姿の画像は「殊更に性的な部位が露出され又は強調されている」ものばかりだ。
菊池は講談社だけでなく、ほかの大手出版社からもデジタル写真集を発表しており、不特定多数の男性の性欲処理要員として消費されている。ネット掲示板では児童ポルノ法抵触の疑義にはまったく触れられず、妄想溢れる品性下劣な書き込みで埋め尽くされている。日頃は“マスゴミ”だのと既存メディアに批判的なくせに、性的コンテンツに対しては否応なく受け入れてしまうのだから、ネット上で交わされるコミュニケーションなど所詮痰壺にすぎない。
僕は三十年以上、高校生世代の少女の水着姿を自慰用素材に用いているので、菊池の画像を見て色めき立たないはずがない。しかし、どうして大手出版社だけが明らかに3号ポルノに相当する出版物をいけしゃあしゃあと上梓できるのか。そして、児童ポルノ法の厳密化に加担した人権団体は、どうして何の横槍も入れないのか。それらの疑念が払拭されないかぎりは、たとえ菊池が高校生世代で水着の仕事をしていようと、自慰用素材に用いたくはない。
高校生世代のまだメジャーになりきれていないグラビアアイドルの写真集やイメージビデオ(IV)を販売してきたのは、彩文館出版(エスデジタル)や竹書房、ぶんか社(海王社)などの中堅出版社で、二〇一四年の児ポ法改正以降、新作の発表に及び腰になっている。ジュニアアイドル市場の拡大に寄与した海王社(現・文友舎)のムック「Chu→Boh」も、同法改正前は散々中学生世代の少女の水着グラビアを掲載し、あまつさえIVも販売していたくせに、今日ではローティーン向けのファッション雑誌と遜色ないモデルの露出度で開き直っている。
エスデジタルは高校生世代から手を引いたと思っていたが、今年六月に入間ゆいの「おともだち」を皮切りに、一宮あい、如月あいりと三作品を発表している。ネット情報によると、入間は〇五年生まれとあるが、ジャケットの裏表紙のプロフィールに誕生日しか記されていない。児童ポルノの摘発を逃れようとする販売元の常套手段だが、たとえ入間たちが高校生世代であろうとなかろうと、選択肢が彼女たちしかないのは不自然で、それを自慰用素材として試すよりは旧作のお世話になったほうがましだ。
とはいえ、大手出版社が堂々と高校生世代のグラビアアイドルを発掘、育成するのに共感は持てないが、児ポ法改正前まで間断なく新作を発表し続けてきたエスデジタルなどの中堅どころが、現時点でデジタル写真集しか主立った活動の場がない無名の美少女たちを、児ポ法の縛りを巧みにくぐり抜けたうえで、IVや動画配信というパッケージで発表できるかどうかが今後の期待材料だ。