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韓国社会では越えられないものと、越えてはいけないとされるものがある。世界有数のIT(情報技術)先進国にあってなお残る目に見えない壁を、全員失業中の貧しい家族と、IT(情報技術)企業を経営する裕福な社長一家の交わりを通して描いた悲喜劇が、9日(日本時間10日)の米アカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」である。(中略)韓国は巨大財閥が富を独占し、2018年の平均月収でみると、上位20%の富裕層が92万円に対し、下位20%の貧困世帯は12万円(いずれも7~9月期)の「両極化(格差)」社会。人の一生は生まれた家庭によって定まる「金のさじ、銀のさじ、土(泥)のさじ」の"スプーン階級論"が浸透している。一般家庭では、深夜まで掛け持ちの学習塾通いから人生が始まる無限競争社会。受験地獄を耐え抜いても就職は親のコネが幅を利かし、結婚の際も男性が住宅を用意するのが習わしだ。結局、親のカネがずっとついて回ると、あぶれた多くの若者は不満を募らせる。(中略)数々のスキャンダルのうち最も非難を浴びたのは子どもの不正入学だった。受験という本来は貧しい人にも平等、公正であるべき聖域にまで、特権を持ちこんだエリートに対する市民の怒りが頂点に達した。17年大統領選では、こうした社会の二極化や不平等を解消するという文在寅(ムン・ジェイン)氏の訴えが若者の心に刺さった。急スピードで国際化しても、半地下住宅に住まざるをえないような取り残された人たちのにおいが映画では格差の象徴とされている。ポン・ジュノ監督は韓国特有のディテールが外国人に理解してもらえるか心配だったようだ。だが貧富の格差が世界中に広がるなかで、徹底した細部へのこだわりが国際社会から評価され、英語以外の言語で初の作品賞受賞という、映画史を変える偉業に輝いた。(* 日経 記事より)
その他ニュース(02/11_朝) | ||||||||