雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第9話(8)



ファンタスティック・カップル 第9話(8)


 ドックは喫茶店でヒョジョンと会った。
「流し台を直してもらったお礼がしたかったんです」
 ドックはコーヒーカップをテーブルに置く。
「それは仕事ですから」
 ヒョジョンは愛想笑いして切り出した。
「今夜の予定は? 今日はユギョンの誕生日だし、チャン・チョルスさんも誘ってみんなでお祝いしましょ」
「今日はユギョンの誕生日ですか?」
 ドックはふと思い至った。
「じゃあ、あれはユギョンにあげるため・・・? なるほど、そうか」
「誰かがユギョンにプレゼントを? 誰? チョルスさん?」
「何でもないよ」ドックは即座に否定する。「それから・・・最近電話が多いけど、俺は顧客と恋愛するつもりはありません。仕事以外で電話はしないでくれ」
 言い置いてドックは席を立った。
「ちょっ、ちょっと・・・!」
 ヒョジョンはオロオロして立ち上がった。一方的に言い分を押し付けられて彼女も腹が立った。
「牛100頭の金持ちだからって偉そうに・・・それが何よ」

 ドックのつぶやいていた話をヒョジョンはユギョンに伝えた。
「チョルスさんがプレゼントを買ったそうよ。あなたへのプレゼントじゃないかしら?」

 ユギョンはさっそくチョルスの事務所を訪ねていった。
 チョルスはちょうど事務所から出てくるところだ。
「チョルスさん」
 チョルスはユギョンに気付き階段をおりていった。
「今日はもう終わったの?」
「ああ、何か用か?」
 ヒョジョンから耳にしたのと話が合わず、ユギョンは戸惑う。
「チョルスさん、どこかに出かけるの?」
「どこって・・・家に帰るところだけど、俺に用だった?」
「いえっ、そうじゃなくて・・・」ユギョンは戸惑いながらも弁解した。「通りすがりにちょっと寄ってみただけなの」
「そうか。・・・あっ、この前うちに来た時、起こしてくれればよかったのに」
「ああ、そのこと・・・よく寝てらしたから・・・今から帰るのよね?」
「どこかに行くなら送ってあげるよ」
 ユギョンはかぶりを振る。
「特にないからいいわ」
 さっきからチョルスの手にしているオレンジのバッグが彼女は気にかかっていた。
「じゃあ、行くから」
 チョルスに告げて背を返したユギョンの表情は、見る間に悔しさを表わしてきた。


 チョルスの家から這う這うの体で逃げ出してきたビリーは、疲れ果てて寝込み、点滴を打っていた。
 彼は魘されるようにつぶやいた。
「チャンがアンナを追い出さなかったら・・・どうすればいいんだ・・・」
 居ても立ってもいられぬ気持ちで身を起こす。
「この緊急事態にコン室長はいったい何をしてるんだ?」


 その頃、コン室長はケジュを後ろに乗せて自転車を走らせていた。
 辺りには長閑な田園風景が広がる。
「パングや」
 一生懸命に自転車をこぐコン室長をケジュは気遣う。
「そんなに頑張ってこいで疲れない?」
「大丈夫です。問題ありません」
 薄い額を太陽にさらしてコン室長は笑顔で応じる。
「こうやって走ってると遠い昔を思い出しませんか。ああ~っ、空気がおいしいなあ~」
 コン室長の脳裏には高校時分の自分の姿が広がる。
 学生服姿に髪もふさふさしていた自分が、セーラー服姿のケジュを自転車の後ろに乗せて走ったこともあった・・・田園を渡る風と若草の匂いが彼の胸を思い出でいっぱいにする・・・
「今も昔も、僕は胸がいっぱいですよ」



script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script>  google-site-verification: google3493cdb
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「ファンタスティックカップル」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事