雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載26)

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韓国ドラマ「30だけど17です」(連載26)


「30だけど17です」第3話(期限付き同居の始まり)⑥


☆主なキャスト&登場人物 


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


 そこにおめかししてイ・リアンが玄関から顔をだした。手にはプレゼントを持っている。
 しかしチャンはウジンとの話に夢中だ。
「だったらついでにヒヨコの家も作って」
 話し相手を見てリアンは思う。
「あの方が将来の義叔父様ね」
 リアンは髪を整え、あの方に目を凝らした。
 しかし…スケールで何か測量してる姿に”まさか”の予感を覚える。
 そして口に手をやった。声のトーンと合わせてそれは現実だと気づいた。自分が足蹴にし、リュックを投げつけた男だ、と…!
「ヤバイ! もうおしまいだわ」
 部屋に上がることなくリアンはそこから逃げ出してしまった。 
 
 夜中、工作中にウジンは手を止めた。誰かの泣き声のようなものを耳にした。
 泣き声かどうかはしかと分からない。何か怨念のこもったような不気味な声は耳の奥にしがみついて離れない。
 ウジンは腰を上げた。
 チャンも同じだった。その声が気になって部屋を出た。


★★★


 声は一階から聞こえる。階段へ向かっているとウジンも部屋から顔を出した。
「ミスター・コンも聞いた?」
「ああ、驚いた。下を見てくる」
「一緒に行こう」
 チャンは近くにあった傘の柄を握った。
 ウジンは笑った。
「大げさだな」
 呆れつつウジンもカーテンを動かす竹の柄を握った。忍び足で階段に向かった。 
 また聞こえた。
 チャンはウジンを先に促した。ウジンはやむなく柄を構えた。ゆるゆる階段を降り始める。
 暗い中で黒い髪の女がぬっと顔を出した。
 恐怖を増長し合っていた2人は悲鳴をあげた。
 怯んでいる2人に女は答えた。
「私です」
 ジェニファーだった。
 2人は胸を撫でおろす。
「びっくりしたな~、もうーっ!」
 チャンは訊ねた。
「今の声、聞いた?」
 ジェニファーは頷いた。フラワークイーン(はたき)を握り、ウジンらとともに真相解明に乗り出す。
 物置ユニットの前にトックがいた。ウジンが声をかける。
「トック、そこで何してるんだ」
 声をかけられても振り向くだけでそこを離れようとしない。かすかに悲しい声をもらした。
「私たちには見えない何かが見えるのかも」
 ジェニファーの話にチャンは怖がった。
「変なこと言わないでよ」
「トック、こっちにおいで」
 ウジンがトックを呼ぶ。
 トックがそこを離れるとユニットの場所がギーっと音を立てた。
 その音にウジンらは息をのむ。
 開いた場所から人の手がいきなり出てきた。
 男たちは悲鳴を上げた。あまりの怖さに目をそらして抱き合った。
 苦しさを引きずるような泣き声がした。
 誰?
 ウジンらは抱き合ったまま声の方角を振り返った。
 うめき声をあげながら女が這い出てきた。
 長い髪に隠れて顔は見えない。
 貞子だ。
「ギャーっ!」
 大きな悲鳴とともに2人は再び抱き合った。
 ジェニファーがすかさず明かりを付けた。
 ユニットの裏から這い出てきた声の主はウ・ソリだった。
 床に這いつくばった彼女をみてウジンは言った。
「何だあれは?」


 ユニットの裏から這い出てきたソリは顔を上げた。
 チャンが誰かに気づいた。
「おばさん…!」
 チャンたちを見てソリは声を振り絞る。
「ご飯…」
 ウジンを指さしながら「ウンコ」の声をもらして気絶した。
 
 ジェニファーの作った食事にありついたソリはすさまじい食欲だった。
 人目を気にせずガツガツ食べる彼女をウジンは興味深そうに眺めている。
「失神するまで空腹でいたら健康に害を及ぼします」
 ジェニファーは湯呑に水を注いで出してやる。ソリは両手で水を飲んで食事を続ける。
「すごいね」
 チャンが部屋を見て来てウジンに言った。
「まるで”ハリーポッター”みたいだ。階段下の部屋を知ってた?」
 ウジンは首を横に振った。
「知らなかった」
「まるで別人みたいで気づかなかったけど」
 ソリは口の中をいっぱいにしたまま言った。
「あの変態がウンコおじさんだったんだ」
「変態?」
 チャンが反応した。
「ああ、またメジャーを使ったんだね」
 そしてソリに説明した。
「それは誤解です。ミスター・コンは、サイズを測って模型を作るのが仕事なんです」
「そうだったの」
 ウジンをちらと見て頷いた。
「変態じゃなくて幸いです」
「だから、外では少し気をつけてと…ん?」
 チャンは首を傾げた。
「”ウンコおじさん”って何?」
「それは昼間、道端でウンコを…」
「ウンコ?」とジェニファー。
 チャンも怪訝そうにする。
「道端でウンコをもらしたの?」
「まさか、そんなわけないだろう」
 ウジンは話の矛先を変えた。
「どうやって家の中に? それにあの部屋は何?」
「ああ、それは」チャンが言った。「俺が家に入れたんだ」 
「お前が? 何でまた」
「捜しものがあるというから」
 チャンはソリを見た。
「もう帰ったかと思ってたけど、あそこにいたんだね」
「それが…」
 ソリはその経緯を話した。
 チャンの協力を得てあの部屋に入ったことを…。
「あの部屋に私の荷物が今も残ってないかと思って…あの部屋の存在は家族以外、誰も知らないんです。おかげでそのまま残ってました」
「…」
「そして大事な荷物だけ持って出ようとしたら―あまりの空腹で力も出なくて、少しだけ休んでいくつもりが眠ってしまいました」
「…」
「驚かせてしまってすみません」
 ソリはみなに詫びた後、食卓からパプリカをつまんで膝の上のトックに与えた。トックがおいしそうに食べるのを見てウジンやチャンは驚いた。
「あれ?」とチャン。「何も食べずにミスター・コンと心配してたのに」

 ソリは笑顔で説明した。
「ペンは食欲がない時でもパプリカなら食べます」
「そうなのか」チャンは感心した。「さすが元の飼い主だ。トックが何だか元気になってる」
 ソリは嬉しそうにする。
 一方ウジンは忌々しそうにチャンを見やった。
 トックが美味しそうにパプリカを食べるのを見ながら立ち上がった。
「用事もすんだようだし、食べたらお引き取りください」
 テーブルを離れようとするウジンにチャンは言った。
「こんな時間に女性を1人で帰すの?」
「…」
「夜が明けてからでもいいのでは」
「見知らぬ人を泊めろとでも」
「午前2時半なのに追い出すつもり? 叔父さんの転居先も不明らしいから、今夜だけでも階段下の部屋に」
「いいですか?」とソリ。
「いや、ダメです。帰って」
「こんな時間に帰すのは危険だと思います」
 ジェニファーが口を挟んだ。
「そうだ」
 チャンがテーブルを叩いた。
「もう午前2時半だよ。いいじゃない」
 少し考えてウジンは言った。
「部屋に戻る」
 ウジンは戻っていくのを見てチャンは言った。
「泊っていって」
「でも、ウンコおじさんがダメだと…」
「ああ、あれね。あれは”OK”という意味です。ミスター・コンは口数の少ない人だから俺が通訳します」
 チャンは胸を叩いた。
 ソリは嬉しそうに食事を再開した。


 


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