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韓国ドラマ「30だけど17です」第1話⑩







韓国ドラマ「30だけど17です」第1話⑩
Korean drama "30 but 17" Episode 1⑩




「30だけど17です」第1話(人生を揺るがす出会い)⑩

☆主なキャスト&登場人物 

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★

 元の身体に戻るため、ウ・ソリはリハビリの厳しい訓練と痛みに耐えた。日を追って細かい動きがこなせるようになってきた。
「そうですよ。その調子です」
 毎日の辛さは徐々に楽しさや嬉しさに変わっていく。
 身体が自由に動くようになると家族や友達に会いたい気持ちも膨らんできた。
 ある日、ソリは看護師に訊ねた。
「私の友達の消息はわかりました?」
「友達ですか…」
「ええ。ノ・スミです。前にも訊ねたでしょ?」
 看護師は困ってしまう。
「ああ、その友達ね」
 ソリは頷く。
「記事を検索したけど、見当たらないので無事なんでしょう、きっと」
「ほんとに?」
 ソリは胸を撫でおろす。
 看護師は申し訳ない気持ちながら ”嘘も方便”と自分に言い聞かした。
 もっと動けるようになり、社会復帰できた時にそれは伝えた方がいい、と。
 ウ・ソリは自力で歩く一歩手前まできた。
 また看護師に訊ねた。
「叔父さんたちはいつ来るんですか?」
 ウ・ソリは自分の前に誰も現れないのに不安を募らせていた。
「ああ、叔父さんね」
 看護師もためらいなく笑顔で応じられるようになっていた。
「そのうち顔出すから、リハビリを頑張れと言っておられたわ…」
「私に電話をかけさせて、バイオリンのことを頼みたいから」
「電話ですか?」
 看護師が困っていると、療法士がウ・ソリを迎えに顔を出した。
「リハビリの時間です」
 看護師は手を叩いた。
「ああ、よかったわ。ほら、頑張ってきてね」
 看護師はファイルを握って病室を飛び出していった。
「看護師さん待って」
 ソリの声は聞こえたが、戻ってその話をするわけにいかない。
「ああ、もう…ほんとのこと知ったら、あの人、傷つくわよね」

★★★

 リハビリの訓練室に車いすで向かってる時、大きな鏡が廊下に入ってきた。ソリはその鏡に自分の姿を見た。鏡を見ながら一緒について廊下を歩く。
 鏡を運び入れた業者は怪訝そうにソリを見た。
「何度見ても自分の姿には違和感がある…」 
 つい、ため息が口をついて出た。


 ある日、訓練を終え、エレベーターを待っていてそのドアが開いた。中にいた車いすのおばさんを見てぎょっとなった。服装も顔立ちも自分に似ていて、もっと年寄りだった。
 驚いたのは鏡を見た気になり、自分はまた年を取ったのか、勘違いしたからだった。
 おばさんと入れ替わってエレベーターに乗ったソリはしきりに声を出した。自分の声を聞きながら呟く。
「この声にもなかなか慣れないのね…」
 またある日、女子高生らが甲高い声でやり交わしてるのを耳にし、ひとりになった時、そんな声を出してみようとした。喉に手をやって何度も試みたが、うまく出せなかった。
「やっぱり、歳月は流れたみたい…」



 

 愛犬がクンクンと鳴いた。
 旅客機の中だった。ウジンは愛犬をなだめた。
「もう少しの辛抱だよ、トック」
 通路を隔てた隣の女性から親し気に声がかかった。
「犬の名前はトック?」
「ええ、まあ…」
「何歳?」
「自分もわかりません」
 ウジンはそっけなく答え、ぬいぐるみみたいなフードをあたまからすっぽりかぶった。
「愛犬の年齢を知らないなんて…」
 隣の女性はあきれて呟いた。


 ウジンは愛犬と一緒に空港に降り立った。
 ウジンを見かけて話題にする者、ぶつかって立ち去る者など、空港内のロビーはごった返している。
 ごみ箱を見かけてウジンはポケットから巻き尺を取り出す。ゴミを回収してる清掃員にかまわずサイズを計測しだす。
「99センチ…」
「73センチ…」
「61センチ…」
 清掃のおばさんはポカ~ンとしてウジンの行為を見守る。
 計測を終えるとウジンはおばさんに声もかけずにそこを離れた。





「風変わりな人ね…」
 ウジンは目に入る人以外の物は片っ端に計測していった。 


 ウ・ソリは眠りから覚めた。
 目の前にお婆ちゃんの顔がある。
 ソリはびっくりして身体を起こした。お婆ちゃんを見た。
「誰ですか?」
 顔を筆ペンで落書きされている。
「髪の毛が…」
 頭に手をやった。長い髪もゴムかなんかで束ねられた感触がある。
「おばあちゃん、ダメですよ」
 そう言って病院の従事者が病室に飛び込んで来る。
「他人の病室に入り込んではいけません。困った人ね、もう…」
 お婆ちゃんを出ていかせ、介護士のおばさんは説明した。
「悪気はないけど、何も分かってないのよ」
 ソリの顔を見て舌打ちした。
「他人の顔に悪戯なんかして…他の病院でも家族に見捨てられた患者が多いのよ」
「家族にですか?」
 


 トイレの手洗いで鏡に自分の顔を映し出しながら、ソリは考え込んだ。
 さっきのおばさんの言葉が気になっていた。


― 他の病院でも家族に見捨てられた患者が多い…


 言葉にはあのおばあちゃんと自分を一緒にしているニュアンスが感じられた。





 ソリは叔父夫婦のことを思い浮かべた。
「今日から叔父さんたちがパパたちの代わりだ。ソリのことはこの叔父さんが守る」
 両親が亡くなってすぐ、自分は叔父夫婦に面倒を見てもらって暮らしていた。
 だが、事故の長い眠りから覚めて以降、叔父さんたちは一度もここに顔を出してくれない。ここの従事者に訊ねても話をはぐらかされ、連絡さえつかない状況に置かれている。
 あのおばあちゃんのように自分も見捨てられたのだろうか…?
「今日からあなたの妹よ」
 義理の叔母に小犬を抱かされた。子犬は新しい家族として愛情を注ぎ、実の妹のように可愛がっていた。
 昔のことではない。事故からは長い年月を経ている。だが、ついこの間の出来事の感覚がある。
 バイオリンの演奏会では立ち上がって拍手をくれた叔父…。義理の叔母も一緒になって声援をくれたものだった。
「自分たちの姪なんです…」
 周囲にも自慢をしてくれていたほどだった。
「すぐ会いに行くから、リハビリを頑張れって言ってた」
「待ちくたびれて後になって気づく。家族に見捨てられた、って…」
 従事者の話を思い返す。…
「まさか…そんなはずはない」
 ソリはザブザブと自分の顔を洗った。
 まさかの邪念を必死に振り払った。 
 そんなはずはない。叔父夫婦は自分を見捨てるような人たちではなかった。
 きっと何か事情があった。少なくとも自分のことを忘れてしまってなどいない。
 会いに来てくれないならこっちから捜して行かなくちゃ―可愛がっていた妹にも会いたい…! 自分から捜して会いに行かなくちゃ―暮らしていた家に出向いていけば、そこに住んでいないにしても叔父夫婦の所在は分かるはずだ…。

 


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