雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「ただひとつの愛」第2話(エピソード11)





韓国ドラマ「ただひとつの愛」第2話(エピソード11)


〇主な登場人物 
イ・ヨンソ(シン・ヘソン)
キム・ダン(エル)
チ・ガンウ(イ・ドンゴン)
クム・ニナ(キム・ボミ)
チョン・ユミ(ウ・ヒジン)
フ(キム・イングォン)
チェ・ヨンジャ(ト・ジウォン)
クム・ルナ(キル・ウネ)
パク・グァンイル(イ・ファリョン)
キ・ジュンス(イ・ジェヨン)



第2話(エピソード11)


 ヨンソは車のスリップと回転の衝撃で頭を強く打った。頭部から血が流れ出す中、何とか意識を取り戻した。
「おじさん〜、大丈夫?」
 しかし、胸を強打し、ハンドルにもたれかかった状態のチェ秘書はピクとも動かない。
「おじさ〜ん…」
 意識が薄れかける中、ヨンソは必死に呼びかけるが、チェ秘書から返事は返ってこない。


 そこにヨンソの助けを求める声を聞いたダンが姿を見せた。
 事故に遭遇し、死線をさまよう者たちのいる現場にやってきたにしてはひどく落ち着いている。
 事故に遭ったのが誰かはもちろん分かっている。
 天使は人間の運命や生死には関われない。
 ダンは見届けの天使としてそこにやってきたのだった。
 ゆっくり歩み寄りながら、ダンは車の中の状況を観察する。
 運転席の1人はピクリとも動かない。生のエネルギーも感じられない。
 次にダンは後部席に目をやった。
 ドアが開かない絶望的な状況の中でヨンソはまだ息をしている。しかし、動く力は残っていない。
「誰かいない?」
 ヨンソはドアの外に向かって呼びかけた。
「誰か助けて」
 助けを求めるヨンソの声を聞きながら、ダンは手にした花束をクールな思いで見つめる。
「これが弔いの花になるとはな…」
 ダンはヨンソを見て車に歩み寄った。車の脇のブロック石に花束を置いた。
 手を車に伸ばし、祈りを捧げた。
「どうか安らかな眠りを」
 この時、ヨンソは車の外に誰かの気配を感じていた。
 背を返して行こうとした時、彼女はダンに呼び掛けた。
「誰なの?」
 その声は磁力を帯びていた。ヨンソの声を聞いたとたん、ダンは次の一歩を踏み出せなかった。
 ダンは立ち止まり、ヨンソの次の声を待った。
「そこ…誰かいるんでしょ?」
 ダンは振り返った。ヨンソの血に染まった手がドアの窓で動く。生きたい思いをこもらせた手だ。
 ダンは目を見開いた。
「お願いだから手を貸してちょうだい」
 ダンは後ずさりした。


 超えてはならない一線が目の前に生じている。
「あなたは何者?」
 俺? 俺は…ダンはうろたえた。
「人間? それとも動物?」
「…」
「なぜ、黙ってるの?」ヨンソは泣きわめく。「ひどいやつね」
 ダンは両耳を塞いだ。
「良心がとがめない?」
 ダンは目もつぶった。
「怖くて逃げだしたいなら、せめて警察に通報して。お願い」
 ヨンソの哀願に、天使の垣根を取り払う自分が怖くてダンは懸命に頭を振り続ける。
「おじさん〜、誰でもいいからお願い。助けて…」
 たまらずにダンは叫んだ。
「どうして聞こえてしまうんだ!」
 その時、車はゆっくり傾きだした。道路のヘリを削って落下していく。


 ここで1秒の長い時間が発生した。

 車が落ちていく瞬間もヨンソはダンの方を見つめ続けていた。
「助けて〜」
 落ちていく瞬間もダンは彼女の助けを拒否した。
「無理だ。人に生死には関与できない」
「お願い、助けて」
「ダメだ。教会の鐘が鳴りだしてる。もう行かなきゃ」
「生きたいの」
「…!」
「ずっと死にたかったけど、今は生きたい」
 ダンはヨンソの心の声を懸命に拒否した。
 しかしこの時、ダンの頭の中で奇妙なストーリーが去来した。
 それは海に落ちようとしている少年が必死に岩場にしがみついている場面だった。



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