雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「秘密」から⑤

2016-04-13 17:19:34

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ドラマ「秘密」のドフンとユジョン（3）

二人は外を見た。
　人ではなかった。
　ライトを明滅させ”工事現場”を案内するロボットは何事もなかったように作動し続けている。
　ドフンとユジョンは顔を見合わせ息をついた。
　止まった車の周囲を確かめようとドフンは車の外に出る。車はドラム缶やバリケードなどを乱暴に押しのけていた。
　それらを見やる中、ドフンは不安に駆り立てられた。目の前に異様な光景があった。ドフンはそれに目を奪われた。生身の女が頭から血を流しながら横たわっていた。
　自分の車が撥ねた？
　ドフンはあわてて車に戻った。出てこようとするユジョンを強引に制した。急いで車に乗り込もうとする。
「あれをどかせないと」
　ユジョンが言った。
　ドラマ缶がひとつ道路に飛び出したまま、車の進行を妨げている。
　雨の降りしきる中、二人は協力してドラム缶を道路脇に寄せた。
　車に戻り、逃げるように事故現場を走り去った。

　ただのスリップ事故だった。ユジョンはそれを信じていた。
　家に戻って落ち着くと愛するドフンにプロポーズされた幸せな気分が蘇った。

　一方、家に戻ってもドフンの不安と緊張は収まらない。血まみれになった女の姿が彼の頭から離れなかった。
　翌日、何事もなかったように出勤しようとするドフンに、母親のケオクは結婚話を切り出した。
　同じ日、ドフンが人を撥ねた事情を知らないユジョンは事故車を修理に出した。

　職場の歓迎会でドフンが国会議員の娘シン・セヨンと知り合った頃、ひき逃げ事故の捜査の手はユジョンのところまで迫っていた。
　自分たちの乗っていた車が人を撥ねたと知ったユジョンは、とっさの機知で「自分が運転していた」と警官に告げた。
　酒を飲んであの事故を起こし、人を撥ねたと知られればドフンは法曹界に留まれないだろう。
　そのためには、自分が身代わりになった方がいいと思ったのだった。

　ユジョンは警察に連行された。
　ユジョンのひき逃げ事件はドフンの担当となった。
　上がってきた書類を見ると容疑者はユジョンとなっている。ドフンは驚いた。

　ユジョンを実刑から逃れる方法をさぐるドフンの前に、恋人のジヒをこの事故で失ったミニョクが面会にやってきた。
　ミニョクは代行運転でユジョンと知り合っていた。防犯カメラから割り出されたリストにユジョンも入っていたのを知っていたのだった。
　ミニョクはドフンに対し、
「実刑にしろ！」
　と乱暴な口調で迫った。