韓国ドラマ「イケメン(美男)ですね」第6話(14)
Korean drama "You're Handsome" Episode 6 (14)
ミニョの嬉しそうな表情にシヌは愕然となった。自分が携帯でやりとりした時よりはるかに上ずった声と表情だった。
ミニョは携帯を切ると、さっきの方向へ一目散で駆け出した。
ミニョとの間接デートで止まっているようにさえ感じられた時間(とき)が飛び去るジェット機のように流れ出した。
「もう少しだったのに・・・あと一歩進んでくれたらよかったのに・・・」
その中心でシヌはただ呆然と立ち尽くした。
ミニョが待ちわびていた場所に車を乗りつけ、テギョンはミニョがやってくるのを待った。
「兄貴!」
時間を気にしかかる頃、ミニョの声が響いた。
ミニョは一目散に駆けてくる。
テギョンは車のボンネットから腰をあげた。
「服を買いに行ってたんです」
「服を?」
「だったら帰ればいいじゃないか」
「兄貴に呼ばれたので戻ってきました」
「・・・ふだんは遅れることなどないが、事情があって遅れてしまった」
「でも、約束を守ってくれました。感謝です、兄貴」
ミニョはそう言って、チロッと舌を出した。
テギョンはちょっぴりうろたえた。しかし、すぐ自分を取り戻した。
「この格好で”兄貴”と呼ぶのか?」
「あっ、今から急いで着替えます」
ミニョは車の助手席に回りこんだ。ドアを開けるとテギョンが呼ぶ。
振り返るとテギョンは言った。
「そのまま戻ろう。そのまま戻っていけば、アン社長に経緯を説明するのを助けられる」
「・・・」
テギョンはミニョに”元の自分に戻っていいぞ”と言っている。それはミニョに対する彼なりの理解だった。
自分もそれを望んでいた。テギョンの思いやりを感じつつここを去ることに寂しさを覚える自分もいる。
結局、ミニョは車の中で服を着替えた。
テギョンはそんなミニョを見て訊ねた。
「ミナムを続けていくつもりか?」
「テギョンさんはなぜミナムを認めたんですか?」
テギョンはきっぱり答えた。
「声が気に入った。今回の新曲にもっともマッチするのがお前の声だった」
「でしたら、今度は私の声を受け入れてもらえませんか?」
「・・・」
「テギョンさんが選んだ声は、偽装したミナムでなく私の声です。テギョンさんの曲を私に歌わせてください。歌いたいです」
「ちゃんと歌えなければアウトだ。それでもいいか?」
「必ず期待に応えます」
ミニョは頭を下げた。
「兄貴」
テギョンは満足そうに頷いた。ミニョの心意気をしっかり感じ取ったようだった。
ユ・ヘイは自分とミニョのツーショット写真に見入っている。
「この子を陥れたら、テギョンも傷ついてしまうのね・・・」
窮地から自分を救い出してくれたテギョンを思い出しながら、彼女は複雑な気分だった。彼に対する敵意や好奇心はいつしか思慕の感情に近くなっているのを彼女は感じていた。
「助けてくれたから、今回は我慢するわ・・・」
付き添いの女が言った。
「ネットは今、二人の話題で持ちきりよ。どうする?」
「そう? どうしようか・・・?」
「両事務所で記事は防いでいるわ。だから、戻りましょう」
「いいえ」
考えを閃かせてユ・ヘイは言った。
やっぱり譲るわけにいかない。
「ジャケットを返しにテギョンの事務所を訪ねるわ」
(続く)
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