遺体隠しの賠償命じる 時効殺人民事訴訟で東京地裁
2006年09月26日21時01分
東京都足立区立小学校教諭だった石川千佳子さん(当時29)が78年に行方不明になり、26年後に他殺体で見つかった事件で、殺害を認めて自首した男(70)と区に遺族が1億8600万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が26日、東京地裁であった。永野厚郎裁判長は、殺害をめぐる損害賠償請求については「20年が過ぎ、請求権が消滅した」として棄却した。ただ、遺体を隠し続けた点を「殺害とは別の不法行為」と認め、慰謝料など330万円の支払いを男に命じた。区への賠償請求は棄却した。原告側は控訴する方針。
判決後に記者会見する原告で千佳子さんの弟の石川雅敏さん(左)と憲さん=26日午後、東京・霞が関で
男は04年に自首。自宅床下から遺体が見つかった。刑事では殺人罪の時効(当時15年)が成立して不起訴となり、遺族が05年、提訴した。
細かいことはよく分からない。
刑事モノのドラマと違って、実際の殺人事件の謎を追うのは大変なことなのだなとあらためて痛感する。犯人は時効でただの男となって警察に自首した。自宅床下から遺体が出てきたのだが、経緯は立ち退きの事情でやむなくの自首だったという。立ち退きがなければ、永久のお宮入りだったのだ。
男は石川千佳子さん(当時29)と同じ学校に勤務していたという。この事実からもひとつのストーリーが浮かび上がってくるが、現在進行形の中ではまさに五里霧中の深い闇であったのだろう。
今となって、臍を噛んでいる人は多いに違いない。
実際には、密室殺人みたいな込み入った犯罪は少なく、単純、ストレート、明快なものがほとんどだと聞く。科学捜査もテレビドラマで見ると、相当のところまで進んでいるようだが、それでいて、解決の糸口の見つからない事件は次々起こってくる。
善人はいつも悪人に悩まされる。この現実はどうにもならないようである。