雨の記号(rain symbol)

藤井聡太竜王 VS 大橋貴洸六段





藤井聡太竜王 VS 大橋貴洸六段


第70期王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦から




 大橋貴洸六段は藤井聡太竜王戦においてこれで4連勝となった。この記録は豊島九段に次ぐという。
 両者、負けん気の応酬が続いてスリリングな将棋だった。この将棋はタイトル戦を集中的に争った豊島九段と藤井竜王の激闘を思い起こさせた。


 2人の間には同期で上がってきた特有のライバル意識があるんじゃないだろうか。結果的に意地と意地がぶつかって一歩も引かない展開になり、指運で勝利が託される。
 今回も解説動画に見られるように、一度目のギリギリの攻めを大橋六段に看破されて逃した藤井竜王は、一転守りに転じ、大橋六段の逆襲の中に生じた一瞬の妙手を見逃して敗北に至ってしまった。
 大橋六段は1つだけ残された手順をたどって藤井竜王の攻めを交わし、藤井竜王も大橋六段と同じような細い手順の受けを凌がねばならない局面に置かれた。


 受けて打つ場所としては7一金と6二金打ちの場所の2つしかなかった。縁台将棋の自分にも双方有力と見えた。読みというより、形的に6二金はやや浮いていて、7一金は盤に強く張り付いて感じられた。
 藤井竜王の”7一金は見えなかった”の意はずっと先までの手順を読んで、”ダメ”と判断したのだと思う。せめて5分の残り時間があったなら、と残念な気持ちにさせられた。
 
 藤井聡太竜王対大橋貴洸六段による”同期の戦い”は、今回も大橋六段に”指運の差”で”勝利の女神”が微笑んだというのが感想である。
 4連勝なんて野球でもサッカーでもざらにある。
 大橋六段が藤井キラーであるかどうかは、タイトル戦を集中的に戦ってみないと言えない話だと思う。
 藤井竜王はほとんどタイトルのかかった対局が続いていく。
 挑戦者決定トーナメントとはいえ、もう少し勝ち上がったところで2人の対決が見たかった気がしてならない。
 


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