雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第17話⑨






韓国ドラマ「青い海の伝説」第17話⑨




韓国ドラマ「青い海の伝説」第17話⑧




★★★


 2人はカフェラウンジで会った。
 ジュンジェは切り出す。
「聞いてるよな? 俺の母親は…」
「うん、知ってるわ。一緒に暮らしながら特別な感覚を覚えてたけど、あなたのお母さんだなんて…こういうのを”縁”というんでしょうね」
「縁? どんな?」
「ああ…それは、つまり…あなたがどう思うか分からないし、もう遅いかも知れない。でも、どうしても伝えたいの」
「聞くよ。話して」
「異性としてあなたが大好きなの」
「…」
「7年間、あなたの背中ばかり見てきた。あなたが誰を好きかも知ってるわ」
「…」
「でも今も好きなの。だから待ってるわ」
「待ってる?」
「シムチョンさんはいつか去る気がするの」
「…」
「変わってるけど確かに魅力的な人よね。でも、ここに留まる人じゃないと思うの。だから…」
「待つな」
「…!」
「あいつはどこにも行かない。万が一、どこかへ行っても俺は追いかける。だから、待たないでくれ。シア」
「…」
「お前のことを愛してくれる男を探せ」
「…」
「伝えるのが遅くなって、悪かった」
 シアは黙って目を落とした。あふれ出そうな涙をこらえた。


★★★


 シアと会って引き上げて来ると白い乗用車が止まっている。中からチヒョンがドアを開けてチヒョンが出てきた。歩み寄ってくる。
「また、何の用だ?」
「こっちのセリフだ。こそ泥みたいに…」
 ジュンジェはいきなりパンチを見舞った。
 チヒョンは怒って反撃に出てくる。チヒョンのパンチをかわし、もう一発見舞う。
 チヒョンは苦い顔で振り返る。
「家に何しに来た? 父さんに会いにか?」
 チヒョンは笑った。
「父さんはこう言ってたぞ」
「…」
「詐欺師の息子なんていらないし、息子は僕ひとりだそうだ」
 大きな声で言った。
 ジュンジェは歩み寄る。首根っこをつかむ。
「黙れ!」
「何が? 事実だぞ。お前は詐欺師じゃないか」
「…」
「まったく…恥を知れよ」
「…父さんの目のことをなぜ黙ってた?」
「僕はちゃんと伝えたぞ。聞かなかったのはお前だ」
「母親の仕業だってことはどうだ?」
「…!」
「全部知ってたんだろが! 知ってて止めなかったのか?」
「…」
「なぜだ?」
「…」
 ジュンジェはチヒョンの身体を揺さぶった。
「ちゃんと答えてみろ! 初めての父親だったんじゃなかったのか!」
 チヒョンは何も答えられない。それを知って自分もショックだったとは口が裂けても言えない。自分を生んだ母だから。
 チヒョンは突然叫ぶ。
「離せ!」
 ジュンジェはつかんだ手を離さない。
「…今すぐに母親を止めろ! 父さんに手を出させるな!」
「…」
「知ったからには俺は黙ってないぞ。お前とお前の母親が破滅したくないなら…必ずいうことを聞け」
 ジュンジェは手を離した。そのまま立ち去りかけるとチヒョンの声が追いかけてくる。
「シムチョンさんに会ったぞ」
 ジュンジェは足を止める。
「僕をおびき出すために彼女を利用するとはな。お前に誰かを守る資格なんてあるのか?」
 話だけ聞いてジュンジェは黙って階段を下りて行った。




 家に入ったジュンジェはチヒョンの話が気になった。
 セファの部屋からは音楽が流れてくる。
 しばし考え、ジュンジェは梯子を上った。部屋に上がりこむ。
 セファはジュンジェに気づかない。音楽を聴きながら物思いに耽っていた。
 ジュンジェはベッドの傍まで歩いて音楽を消した。
 セファは弾かれたように身体を起こす。
 ジュンジェはベッドの縁に腰をおろす。セファを見つめる。
「どうしたの?」
「俺に聞かれたくない考えを全部話してくれ」
「あの腕輪を…海の底で見つけた時は偶然だと思ってた。でも、そうじゃなかったわ。あそこからすべてが始まったの」
「…」
「ここまで来るほどあなたに会いたかった理由が…自分でも気になってた。結局は運命だったのね。始めてはいけない不幸せな運命…」
「どうしてそんなことを言う?」
「嘘つき!」
「…」
「病気もケガもせず末永く幸せに? それが私たちの前世?」
「…」
「なぜ、嘘を? 全部嘘だったでしょ?」
「…」
「あなたと私はお互いのせいで死んでしまったじゃない」
 ジュンジェはセファを見た。
「冷たい海の中で」
「…なぜそのことを?」
「あなたが実家に行った日、私はチヒョンに会った。そしてマ・デヨンにも会った。マ・デヨンの記憶を消した時に見たの。彼の記憶の中で私たちの結末を」
「…」
「そして…(俺は今も不安だ。繰り返されることが)(繰り返されるって?)…あの言葉の意味を知ったわ」
「…」
「あなたは、私のせいで苦しんでたのね? でしょう?」
 ジュンジェは顔を上げた。
「違う」
「繰り返されるのに同じ道を?」
「違うって。誰がそう言ってる?」
 2人はしばし見つめ合う。
「そんなことはない。大丈夫だ」
「私が来たからすべてが繰り返されることに…」
「だから?」
「…」

「後悔してるのか? 俺と出会い、ここに来て、過ごした時間を…」
 セファの脳裏にジュンジェと過ごした時間と景色が蘇る。昨日のことのように生々しく動き回りだす…。 




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