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韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)④
韓国ドラマ「青い海の伝説」(最終話)③
★★★
先輩検事のもとでジュンジェの実習が始まった。事情聴取の相手は詐欺の疑いのある若い男だった。
「一人あたりの被害額は500万ウォン? 検事さん」
男は余裕の笑いを見せた。
「これは詐欺ではなく純粋なビジネスです。ですから警察でも、嫌疑不十分だと言われました」
「しかし事業所は普通の一軒家ですね」
スマホを見ながらジュンジェは切り出した。
「え? ああ、それは」
「系列会社も同様です。…税金も滞納中で経営状態は思わしくない」
書類に目を通しながら言う。
「ビジネスにはうまくいかない時もあります。詐欺とおっしゃいますが、その人たちに元金を保証するとは一言も言ってませんよ」
「”物品代は配当金と併せて払い戻す”これは明白な元金保証です。でしょう? 投資者に物品代を払い戻す? どう見ても正常な取引ではありませんね」
「…」
「つまり、投資者に何かを買わせて、会社がそれを売っていたことになる。共同経営者のチェ社長は今もマカオで資金洗浄と賭博を?」
「…」
「彼は最近、大金を失った。これは小さな事件じゃない。最終的に被害者の数は、3千人以上に及ぶ大事件だと思います」
先輩検事はジュンジェの的確な追及ぶりに舌を巻いた。自分が何も言わないうちに詐欺犯を追いつめてしまったからだ。
事情聴取を終えた後、先輩検事はジュンジェに訊ねた。
「共犯者に知り合いがいるのか?」
「まさか…噂を耳にしていただけです」
「でも、なさそうだがな…妙に説得力があった」
まさか、昔取った杵柄とは答えられない。
返事に窮していると知り合いの姿が前方にある。
その杵柄のライバルだったホン刑事ではないか。
「それではこれで」
ジュンジェは先輩検事に挨拶した。
ホン刑事のもとに向かって走り出した。
先輩検事はジュンジェを見送りながら呟いた。
「あいつ、何者なんだ?」
★★★
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/0f/1c4c2ebf7c68282872df25cac30d6dcb.jpg)
ジュンジェはホン刑事と食事をしながら近況を話し合った。
「あそこにいるとよくわかったな。連絡した覚えもないが」
ホン刑事は苦笑した。
「少しは連絡しろ。痩せたな。大変なのか?」
「当たり前だろ」ジュンジェは顔をあげた。「検事になるんだぞ」
「だな」ホン刑事は頷く。「でも、よかったよ。前はうわごとを言っては、突然姿を消してた。心配してたよ」
「…」
「並の人間には耐えがたい事件だった。変な気を起こしはしないかと思った」
「もう大丈夫だよ。あの頃のことはそんなに思い出せなくなった」
ホン刑事は鼻を鳴らす。
「今、ナムドゥは何を?」
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/83/15828b7951add9546796dfa462870860.jpg)
「違法のようで合法な生き方をしてる皆さん、こんにちは。”違法と合法の狭間”の講師を務めるチョ・ナムドゥです」
ナムドゥはマルチな金儲けのためのアナリストとして講演活動を積極的に行っていた。
「ええ…違法と合法の境界線を見極める方法をお教えします。本日のテーマは税金対策です…。扱いづらく、難しいテーマですが、今日はVIPな皆様のために特別講義を行います。ただし、録音も撮影も禁止です。スペシャルを認識し、自分の心にしっかり刻んで帰ってください」
笑い声が起きる。
「人間がこの世で避けられないのは、”死と税金”だとある偉人は語っています。しかし、私はこう言いたい。死は避けられないが、税金は避けられる、と…。みなさん、そう思わないですか? でしょう?」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/df/ccd28bafad779935be860e57a15dd29c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/0b/a7d216d7a275676fe938aed37c9edf8d.jpg)
講演を終えたナムドゥがジュンジェらのもとに駆け付けてくる。
入って来るなりナムドゥは大きな声で注文を出す。
「ここにスンデスープをひとつ」
ナムドゥが席につくと隣のホン刑事が訊ねる。
「詐欺はもうやめたのか?」
「当然でしょう」
ナムドゥは対面のジュンジェを見る。
「こいつに捕まるのはまっぴらだし、兄貴の顔も立たない」
ジュンジェは笑った。
ホン刑事に酒を注いでもらいながら言う。
「今はちゃんと働いてますよ。それにしても、こいつの話を聞いた時は、ただのジョークかと…本当に検事を目指すなんて誰が本気にするんですか?」
ホン刑事は2人とグラスを重ねながら得意げに言った。
「つまるところ、俺のおかげだろうな」
ジュンジェはナムドゥと目を見合わす。
「ジュンジェ、お前は俺に出会って更生したんだ。見習うべきはお前じゃなく俺だったと胸に言い聞かせ―ナムドゥも精進してくれ。そうしてお前も正義の道を歩み始めた」
ジュンジェは苦い顔でいう。
「自信過剰ですよ」
「確かにそうだ」とナムドゥ。「なぜ、急に公務員を目指そうと? 検事になるなんて、よほどの決意がないとやれない仕事だ」
ジュンジェは手にしたグラスの液体を見つめおろす。大きくため息をつく。
どうしてだったのか…?
「さあ…な~、……そのきっかけを、なぜか、よく思い出せない…」
ジュンジェが黙ると、ホン刑事もナムドゥも黙った。
ナムドゥは酒ビンを握った。ホン刑事にお代わりを促す。
「ああ、もう…ともかく飲みましょう」
「ああ~」
「蒸し肉を?」
「いいね、蒸し肉を1つ」
まっとうな生き方をなぜしたくなったのか…亡くなった父や母のために…? それだけじゃない理由がいつもあるように思えてならない…しかし、それを思い出せない…
いつもここまでで終わってしまう。
まあ、いい。ジュンジェは思い直してグラスを握った。
「今日はとことん飲もう…」
★★★
先輩検事のもとでジュンジェの実習が始まった。事情聴取の相手は詐欺の疑いのある若い男だった。
「一人あたりの被害額は500万ウォン? 検事さん」
男は余裕の笑いを見せた。
「これは詐欺ではなく純粋なビジネスです。ですから警察でも、嫌疑不十分だと言われました」
「しかし事業所は普通の一軒家ですね」
スマホを見ながらジュンジェは切り出した。
「え? ああ、それは」
「系列会社も同様です。…税金も滞納中で経営状態は思わしくない」
書類に目を通しながら言う。
「ビジネスにはうまくいかない時もあります。詐欺とおっしゃいますが、その人たちに元金を保証するとは一言も言ってませんよ」
「”物品代は配当金と併せて払い戻す”これは明白な元金保証です。でしょう? 投資者に物品代を払い戻す? どう見ても正常な取引ではありませんね」
「…」
「つまり、投資者に何かを買わせて、会社がそれを売っていたことになる。共同経営者のチェ社長は今もマカオで資金洗浄と賭博を?」
「…」
「彼は最近、大金を失った。これは小さな事件じゃない。最終的に被害者の数は、3千人以上に及ぶ大事件だと思います」
先輩検事はジュンジェの的確な追及ぶりに舌を巻いた。自分が何も言わないうちに詐欺犯を追いつめてしまったからだ。
事情聴取を終えた後、先輩検事はジュンジェに訊ねた。
「共犯者に知り合いがいるのか?」
「まさか…噂を耳にしていただけです」
「でも、なさそうだがな…妙に説得力があった」
まさか、昔取った杵柄とは答えられない。
返事に窮していると知り合いの姿が前方にある。
その杵柄のライバルだったホン刑事ではないか。
「それではこれで」
ジュンジェは先輩検事に挨拶した。
ホン刑事のもとに向かって走り出した。
先輩検事はジュンジェを見送りながら呟いた。
「あいつ、何者なんだ?」
★★★
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/0f/1c4c2ebf7c68282872df25cac30d6dcb.jpg)
ジュンジェはホン刑事と食事をしながら近況を話し合った。
「あそこにいるとよくわかったな。連絡した覚えもないが」
ホン刑事は苦笑した。
「少しは連絡しろ。痩せたな。大変なのか?」
「当たり前だろ」ジュンジェは顔をあげた。「検事になるんだぞ」
「だな」ホン刑事は頷く。「でも、よかったよ。前はうわごとを言っては、突然姿を消してた。心配してたよ」
「…」
「並の人間には耐えがたい事件だった。変な気を起こしはしないかと思った」
「もう大丈夫だよ。あの頃のことはそんなに思い出せなくなった」
ホン刑事は鼻を鳴らす。
「今、ナムドゥは何を?」
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「違法のようで合法な生き方をしてる皆さん、こんにちは。”違法と合法の狭間”の講師を務めるチョ・ナムドゥです」
ナムドゥはマルチな金儲けのためのアナリストとして講演活動を積極的に行っていた。
「ええ…違法と合法の境界線を見極める方法をお教えします。本日のテーマは税金対策です…。扱いづらく、難しいテーマですが、今日はVIPな皆様のために特別講義を行います。ただし、録音も撮影も禁止です。スペシャルを認識し、自分の心にしっかり刻んで帰ってください」
笑い声が起きる。
「人間がこの世で避けられないのは、”死と税金”だとある偉人は語っています。しかし、私はこう言いたい。死は避けられないが、税金は避けられる、と…。みなさん、そう思わないですか? でしょう?」
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講演を終えたナムドゥがジュンジェらのもとに駆け付けてくる。
入って来るなりナムドゥは大きな声で注文を出す。
「ここにスンデスープをひとつ」
ナムドゥが席につくと隣のホン刑事が訊ねる。
「詐欺はもうやめたのか?」
「当然でしょう」
ナムドゥは対面のジュンジェを見る。
「こいつに捕まるのはまっぴらだし、兄貴の顔も立たない」
ジュンジェは笑った。
ホン刑事に酒を注いでもらいながら言う。
「今はちゃんと働いてますよ。それにしても、こいつの話を聞いた時は、ただのジョークかと…本当に検事を目指すなんて誰が本気にするんですか?」
ホン刑事は2人とグラスを重ねながら得意げに言った。
「つまるところ、俺のおかげだろうな」
ジュンジェはナムドゥと目を見合わす。
「ジュンジェ、お前は俺に出会って更生したんだ。見習うべきはお前じゃなく俺だったと胸に言い聞かせ―ナムドゥも精進してくれ。そうしてお前も正義の道を歩み始めた」
ジュンジェは苦い顔でいう。
「自信過剰ですよ」
「確かにそうだ」とナムドゥ。「なぜ、急に公務員を目指そうと? 検事になるなんて、よほどの決意がないとやれない仕事だ」
ジュンジェは手にしたグラスの液体を見つめおろす。大きくため息をつく。
どうしてだったのか…?
「さあ…な~、……そのきっかけを、なぜか、よく思い出せない…」
ジュンジェが黙ると、ホン刑事もナムドゥも黙った。
ナムドゥは酒ビンを握った。ホン刑事にお代わりを促す。
「ああ、もう…ともかく飲みましょう」
「ああ~」
「蒸し肉を?」
「いいね、蒸し肉を1つ」
まっとうな生き方をなぜしたくなったのか…亡くなった父や母のために…? それだけじゃない理由がいつもあるように思えてならない…しかし、それを思い出せない…
いつもここまでで終わってしまう。
まあ、いい。ジュンジェは思い直してグラスを握った。
「今日はとことん飲もう…」
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