雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載58)





韓国ドラマ「30だけど17です」(連載58)




「30だけど17です」第6話(開かない天窓)⑨


☆主なキャスト&登場人物


○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)


★★★


 テーブルをおりて部屋を出たソリは、階段前で食事の話を思い出してウジンの部屋に引き返した。
 食事の話をウジンに伝えようとドアを開けると、ウジンがテーブルに上がっていた。ラバーカップを握り、天窓を開けようとしていた。
 びっくりしてウジンは手を止めた。バツが悪そうにソリを見た。
 ソリはポカーンと口を開けた。
「その…、自分でも開けてみようかと」
 聞かれもしないのにウジンは答えた。
「もう〜、持ち方が違いますって…」
 ソリは急いで近づいていく。さっさとテーブルに上がる。ウジンの前に立つ。
「手首をもっとひねるんです」
「こう〜?」
「そうじゃなくて〜こうやるんです」
 握り方を教えてソリは両手を添えた。
「力を入れて横に動かすと―」
 ウジンの腕はソリの動かす手に引っ張られた。
「お、おお〜っ」
「ね、開いたでしょ?」
 ウジンは笑顔になった。ソリはまた天窓から顔を出した。外の眺めにはしゃぐソリにつられてウジンも天窓から顔を出した。


★★★


 見たことのない景色にウジンの顏はほころんだ。滅多に見せない笑顔だった。
「どうです? 眺めは最高でしょ?」
 ウジンはほころんだ顔でソリの見ている方向を目で追った。
 ソリは気合を入れて言った。

「いいですか、これからは自力で開けてくださいね」
 前方に手を伸ばす。
「こうして手首の角度を忘れずに、ね」
 ウジンは”フフン”と笑う。
「誰でも何度か練習すれば覚えますけどね。ほんと、最高の眺めだわ」
 楽しそうにしてるソリにウジンの気分もドンドンほぐされていった。


 やがてソリが顔を引っ込め、ウジンもそれに続いた。
 ラバーカップを握ってソリは天窓を閉めにかかる。ところが久しぶりに開けたせいか、天窓は思うように閉じていかない。
 力を入れ過ぎてソリは足をすべらせ、身体のバランスを失った。倒れかかってくるソリをウジンは反射的に腕で抱き留める。
 身体を抱き留められ、ソリは後ろを振り向く。2人の顏は間近で向き合った。
 目が合って2人は緊張した。2人はそのまま見つめ合った。今までになかった感情がそこで交錯した。
 交錯した感情はもつれ合って動き出すことができない。
 そこへ天窓に張り付いていたラバーカップが吸着の張りを失い、ソリの頭で音を立てた。
 そこで止まっていた緊張と時間が動き出す。ウジンは抱いていたソリの身体を床におろし、ソリの頭に乘ったラバーカップの柄を掴んだ。
 ラバーカップを見て言った。
「扱いは気をつけないといけないですね…」
「…ジェニファーが朝食をどうぞって言ってます」
 ウジンは静かに頷いた。
「着替えたらすぐ行きます」
 ソリも頷いて背を返す。
 部屋を出て行こうとするソリにウジンは言った。
「ありがとう」
 ソリは思わず振り返る。
「えっ?」
 ウジンは手で窓を指さした。
「開け方を教えてくれて」
 ウジンは別の意味もそこにこめた。
 ソリはその意味も理解できたようだ。
 頷いて部屋を出た。
 部屋を出たソリは耳たぶに熱っぽいものを覚えながら階下におりた。
「何だか暑いわ…」


 ソリが出ていってウジンもほっとなった。
 ソリの頭に落ちてきたラバーカップに思い出し笑いしていると携帯が鳴った。
 父親からだった。
「電話の後、ずっと気になってたんだが、何かあったのか?」
「別に何もないよ」
「…」
「そうだ―。父さんはこの家をいつ買ったの?」
「お前がドイツに行って2年後だから、11年前になるな。それがどうかしたのか?」
「13年前じゃないんだね?」
「ではないな」
「もしかして、家の持ち主には会った?」
「会ってない。売り急いでいて、業者を通じて契約した。おかげで安く買えたよ」
「…そうなの」
「お前―、何か抱え込んでるんじゃないよな」
「…」
「本当に1か月で解決するんだな? 大丈夫なのか」
「そのつもりだよ。そろそろ電話切るよ」
 電話を終えたウジンはあらためて天窓に目をやった。




 ウジンは着替えて食堂に顔を出した。
「朝食をお願いします」
 ヘボムがすぐ挨拶する。
「おじさん、お久しぶりです」
 ドクスも笑顔で続く。
「一緒に食膳を囲めますね」
「食膳って何?」とヘボム。
「無知な人はおかずだけ食ってろ」
 ドクスはおかずをつかんでヘボムの口に押し込む。
 その光景に今日のウジンは素直に笑えた。
「チャン教えてくれ。お前は知ってるだろ?」
「知ってる」
「何だ?」
「後で」
「今、教えてくれ」
「うるさいな」
 そのやりとりをソリは愉快そうに眺めている。
 ソリを見ながらウジンは今しがたの父親とのやりとりを思い浮かべた。
「2年の差があるのか…」
 
― 13年前と言えば忌まわしいバス事故のあった年だ。あの頃、彼女の身の上には何が起きていたのだろう…。


 食事を始めたウジンを見ながらソリも考えた。

― もし僕のせいで死んだら…!

「なぜ、あんな言葉を…?」
 
「早く正しい意味を教えてくれ」
 ドクスはまだこだわっている。
 ソリは口を押えて笑い声を立てた。
 その時、ウジンの目にトックの姿が目に入った。
 ウジンは席を外してトックのところにやってきた。
「トック、どうした? 食べないのか?」
 食堂から声がする。
「早く食べないとおかずがなくなるよ」
「ああ、今行く」
 ウジンはトックを抱き上げて答えた。
 その時、玄関先では黄色いワンピース姿の女性が立って家の様子を窺っていた。  


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