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韓国ドラマ「病院船」から(連載160)
「病院船」第15話➡脅威にさらされた手術⑤
★★★
「どういうことです?」
ウンジェはサブリーダーを睨んだ。
「みんなに何をしてるんです?」
「さあな…」
一味のサブリーダーはとぼける。
ウンジェは引き下がらない。
「まだ制限時間内よ。手術を成功させれば解放する約束でしょ。なのにあの声は何? みんなに危害を加えないで!」
「うるさい女だ…」
サブリーダーは無線機を取り出す。
「何を騒いでる?」
「携帯を見つけてヤキを入れてます」
「携帯? 通話履歴は?」
スタッフらは顔を見合わす。
「通報されたのか?」
「いえ、通報はしてません」
サブリーダーは銃をおろした。
「なら、放っておけ…ここのソン先生は神経質だから―」
いきなり叫んだ。
「うるさくて手術できないそうだ!」
あまりの怒声に手術場のスタッフは恐怖で身を震わせた。
★★★
サブリーダーの怒声でウンジェは極度の緊張に襲われた。身体の筋肉は固まり、メスを持つ手は震えた。
こんな精神状態で手術を続行できるのか…大きなプレッシャーがウンジェにのしかかった。
サブリーダーの目を気にしながら、ウンジェは中断した手術を再開した。
海洋警察交番に電話が入った。本部からだ。
「はい、警部補。…はい? 病院船が消えた?」
「消えた?」
対面席に座っていた同僚が訊ねた。
「GPSの反応がないと」
本部に現状報告を行う。
「病院船は港に停泊してますよ。…ええ。船舶識別装置の故障では? 船長に電話してみては」
「かけたが出ない。事務長も非常用の電話もつながらないんだ」
「そうですか…でしたら妙ですね。…はい、わかりました。確かめに行ってみます」
受話器をおくと署員は相棒と顔を見合わせた。
手術は仕上げに向かっていたが、トラブルが発生した。
ジュニョンが言った。
「先生、血圧が急激に下がってます」
ウンジェはもちろん承知している。
「何だ?」
サブリーダーが訊ねる。
「親分に何をした。殺す気か?」
ウンジェらは応接してる段じゃない。異変の処理に追われる。
「何とか言え!」
サブは怒鳴る。
「病院船」第15話➡脅威にさらされた手術⑤
★★★
「どういうことです?」
ウンジェはサブリーダーを睨んだ。
「みんなに何をしてるんです?」
「さあな…」
一味のサブリーダーはとぼける。
ウンジェは引き下がらない。
「まだ制限時間内よ。手術を成功させれば解放する約束でしょ。なのにあの声は何? みんなに危害を加えないで!」
「うるさい女だ…」
サブリーダーは無線機を取り出す。
「何を騒いでる?」
「携帯を見つけてヤキを入れてます」
「携帯? 通話履歴は?」
スタッフらは顔を見合わす。
「通報されたのか?」
「いえ、通報はしてません」
サブリーダーは銃をおろした。
「なら、放っておけ…ここのソン先生は神経質だから―」
いきなり叫んだ。
「うるさくて手術できないそうだ!」
あまりの怒声に手術場のスタッフは恐怖で身を震わせた。
★★★
サブリーダーの怒声でウンジェは極度の緊張に襲われた。身体の筋肉は固まり、メスを持つ手は震えた。
こんな精神状態で手術を続行できるのか…大きなプレッシャーがウンジェにのしかかった。
サブリーダーの目を気にしながら、ウンジェは中断した手術を再開した。
海洋警察交番に電話が入った。本部からだ。
「はい、警部補。…はい? 病院船が消えた?」
「消えた?」
対面席に座っていた同僚が訊ねた。
「GPSの反応がないと」
本部に現状報告を行う。
「病院船は港に停泊してますよ。…ええ。船舶識別装置の故障では? 船長に電話してみては」
「かけたが出ない。事務長も非常用の電話もつながらないんだ」
「そうですか…でしたら妙ですね。…はい、わかりました。確かめに行ってみます」
受話器をおくと署員は相棒と顔を見合わせた。
手術は仕上げに向かっていたが、トラブルが発生した。
ジュニョンが言った。
「先生、血圧が急激に下がってます」
ウンジェはもちろん承知している。
「何だ?」
サブリーダーが訊ねる。
「親分に何をした。殺す気か?」
ウンジェらは応接してる段じゃない。異変の処理に追われる。
「何とか言え!」
サブは怒鳴る。
銃口がウンジェの額に押し付けられる。ウンジェの身体は固まった。
「やめろ」ヒョンが言った。「銃をおろせ」
「…!」
「患者を救いたければ銃をしまえ。すぐにだ」
サブリーダーは銃をウンジェの額から離す。後方に退く。
「大丈夫だ。雑音は気にするな」
「…」
「患者だけに集中するんだ」
ウンジェは荒くなった呼吸を何とか鎮める。
「患者に何が起きた?」
「…血腫を除去したら銃弾で傷ついた下大静脈から出血したの」
「次の処置は?」
ヒョンは中に腹部内に手を入れた。ウンジェを見た。
「処置を…落ち着いて考えるんだ」
「…」
「出血点は僕が押さえておく。落ち着いて」
ウンジェの動揺はヒョンの冷静さに救われた。
「考えるんだ。君なら対処法を見つけられる」
ヒョンの言葉にウンジェの頭脳は、柔らかな回転をもって過去の手術例を洗い出していく。
そしてふと思い浮かんだ。自分のキャリアの手術例ではなかった。ヒョンの父、クァク・ソンのノートした言葉だった。
―2013年、シリアは地獄だ。1日に数十人もの銃創患者が運ばれてくる。12歳にも満たない少年兵まで、だが、輸血用の血液が足りない。
そこで我々は非常手段として…
「自己輸血…」
ウンジェは思わず呟いた。
顔を上げた。ヒョンと目が合った。
ウンジェの表情は使命感と情熱で血の気を取り戻す。
「アリムさん」
ウンジェは指示を出す。
「シリコンチューブと輸液バッグを」
「なぜ?」とゴウン。
説明する暇はない。叫んだ。
「早く!」