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韓国ドラマ「病院船」から(連載161)

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   韓国ドラマ「病院船」から(連載161)



「病院船」第15話➡脅威にさらされた手術⑥




★★★

「自己輸血…」
 ウンジェは思わず呟いた。
 顔を上げた。ヒョンと目が合った。
 ウンジェの表情は使命感と情熱で血の気を取り戻す。
「アリムさん」
 ウンジェは指示を出す。
「シリコンチューブと輸液バッグを」
「なぜ?」とゴウン。
 説明する暇はない。叫んだ。
「早く!」

★★★


 ゴウンもアリムを見る。
「行って」
 アリムは手術室を飛び出していく。
 ウンジェはヒョンに言った。
「押さえてて」
「何をする?」
 クァク・ソンの書き残したノートを思い出してウンジェは答えた。
「シリア…」
「シリア?」
 ウンジェは頷いた。


― 紛争地に行くのか? 
 クァク・ソンはウンジェに訊ねてきた。
― いいえ。
 ウンジェは答えた。
― 私の勤務地も紛争地と同じくらい危険です。
― 21世紀の韓国で?
― はい。
 ウンジェはクァク・ソンのノートを通じて色々と学んだ。自己輸血もそのひとつだった。
― 患者を救うには他に手立てがないのだ。
  
 
「バッグが満杯になったら患者に血液を戻して」
 ウンジェは言った。
 出血した血を袋に取っておいて再び患者の体内に戻す。ウンジェが実践したのはこれが初めてだった。
 ウンジェはヒョンを見た。
「これで急場はしのげるわ」
「しかし、下大静脈が破裂したなら、10パック以上は必要だ。すでに大量に出血してるから、自己輸血では間に合わない」
 ウンジェは頷く。
「こうなったら…みんなから採血しよう。まずは僕が」
「…!」
「僕はO型だからB型にも輸血できる。ピョさん交代をお願い」
 ゴウンは頷き、ウンジェの向かい側に回る。ヒョンは流血を防ぐ位置を教える。
「この血管を押さえて」
 ヒョンはウンジェを見た。
「ここはゴウンさんに任せる。すぐ戻るから」
 手術室を出たヒョンは採血の準備にかかる。手術室に戻ってきて手際よく血液を抜き取った。サブリーダーたちは黙ってそれを見守った。
 ウンジェも自分の役目をこなす。

「アリムさん、器械出しをやって」
 頷くゴウン。
「練習を積んできたから務められるはず。今からここがあなたの場所よ。できる?」 
「はい、もちろんです」
「患者のモニターを」
 ジュニョンに指示を出した後、ヒョンはサブリーダーに自分の採血した血液袋を押し付けた。
「付いて来てくれ」
「何だと?」
「患者を救いたいだろ。協力してくれ」




 手術室を出たヒョンは拘束されているスタッフの場所へやってきた。
 弱々しい声で事務長が訊ねる。
「クァク先生、手術は?」
 ヒョンとサブリーダーを見て、
「何してる?」
 とジェゴル。
 ヒョンはみんなの前で血液採取のお手本を見せた。採取した自分の血液袋を一味の配下に渡し、手術室に届けるように伝える。配下は反発した。だが、事情を知るサブリーダーは同調した。
「行け」
「おい、何してるんだ」とジェゴル。
 ヒョンは説明する。
「O型とB型の血液が要る」
「私たちに血液を提供しろというのですか?」
 看護師が質問した。
「はい」
「この姿を見てください。…いやです。誰の血も渡しません」
「おい」
 一味の配下。
「何よ。殴りたければ、どうぞ」
「…」
「やりなさいよ」
「このアマ!」
「やめろ」とヒョン。

「俺はB型だ」とジェゴル。
「よして先生」
「俺はO型だ」
「よしなさい」と看護師。「輸血しても感謝してもらえないんだから。私たちを助ける気もない人たちよ。だから」
「だけど、やるんだ」

 看護師はジェゴルを見る。ジェゴルは答える。
「助ける理由は分かるだろ。患者は選んじゃいけないんだ。…たとえ、凶悪犯でも治療する」
 サブリーダーは苦笑しながらも黙って聞いていた。
「戦場では」
「ええ、私だってわかってます。戦場では敵兵でも救わねばならない…それが医療従事者に課せられた使命です」
「…」

「分かっていても…悔しい。悔しいんです」
 そう言って、看護師は口惜しさで泣き出す。
「そういわずに」と甲板長。「ここは病院船じゃないか」
 ヒョンはサブリーダーを見た。
「採決するから拘束を解いてくれ」
「…」
「早く」
 サブリーダーは頷く。
「まず女たちからだ」
 ヒョンは言った。
「ジヨンさん、採血を頼む」

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