春のワルツ 第12話「愛の宣言」
まずはNHKのガイドから
チェハとウニョンの親密そうなビデオを見てしまったフィリップは、いきなりチェハを殴りつける。チェハが人を好きになったのは初めて。フィリップはそのことは評価しつつも、ウニョンは譲れないと宣言する。
ウニョンは再三にわたり、チェハの母チスクから身を引くように迫られていた。そしてフィリップと共にビデオを見てしまったイナも、激しくウニョンを責め立てる。自分の存在が、チェハとフィリップの友情をも切り裂こうとしていることに心を痛めたウニョンは、ついに退職を決意。時を同じくして、チスクがウニョンの働いていた海苔巻き屋を買収してしまう。
ウニョンの居場所が分からなくなってしまったチェハは、必死にウニョンを探し回る。その一方で、チェハの両親による婚約発表の計画が着々と進められていた・・・。
●韓国の”軽井沢”!?
ウニョンを強引に車に乗せて、チェハが向かった先は美しい水辺。このシーンが撮影されたのは、ソウルから東へ50キロほどのところにあるヤンスリ(両水里)のトゥムルモリという場所です。「トゥムルモリ」とは「二つ(トゥ)」「水(ムル)」「頭(モリ)」、つまり、“二つの水が合わさる場所”という意味。この地で合流した二つの川、北漢江と南漢江が、”ハンガン(漢江)”として下流でソウル市内へと流れこんでいます。ヤンスリはペンションや別荘、生演奏をしているおしゃれなカフェなどがあるリゾート地。日本でいえば、軽井沢、といったイメージでしょうか。「JSA」などの映画を撮影した南楊州総合撮影所があることでも知られています。ソウルから少し郊外へ足を伸ばして観光したい、という方、いかがですか?
追いかけてきたチェハをフィリップは殴りつける。自分はお前の影なのか、と苛立ちをぶつける。
「みんなに好かれてるお前が嫌いだった・・・僕はあの日ピアノをあきらめた」
「すまない。お前には会いづらかったが、話そうと思っていた」
「川辺で二人いるのを見た。愛することは過ちではないが、そんなお前は始めてだ。多くの女性の中でどうしてウニョンなんだ。二人を見るとつらい」
「お前を苦しめたくなかった。ウニョンさんには僕が罰を受けると話した」
チェハの覚悟に意外そうにするフィリップ。
「いいんだ。僕はただ彼女を愛するだけだ」
チェハの母、チスクはウニョンが昔チェハのそばにいたウニョンに似ていることが気に食わない。チェハのロードマネージャーであることがさらに気に食わない。このままではチェハを取られてしまうような気がしているのだろう。
チスクはウニョンを呼びつけ、チェハのそばから引き離しにかかる。その手法たるや醜悪かつ意地汚いものである。彼女を品も教養もない女と侮辱し、釣り合いが取れるの、と責め、貧乏人扱いまでして追い出しにかかる。
イナから呼び出されてやってくると、部屋のテレビは自分とチェハの仲むつまじい場面映像を流している。慌てて消しても、すぐまたその映像が流れる。後ろでイナがリモコン操作しているからだ。
こんなことを頼んだ覚えはない、とイナもウニョンを責め立てる。
「チェハを撮ってと頼んだのに自分まで撮って・・・面白い?・・・ 面白い? もっと見たい?」
そのまま行かそうとしたが、怒りが収まらないのかイナは切り出した。
「チェハは私が愛している人だと知らなかったの? 私たちの仲どころか、親友の仲も切り裂くの? 人が守るべき道理をあなたは破った」
「そうではなく・・・」
「何がそうではないよ。今後も仕事を続けるかどうかはあなたが決めて・・・」
うなだれてウニョンは部屋を出ていった。彼女の頭の中をめぐっているのは、チスクの<・・・夢を見ているなら、そろそろ覚めた方がいいわ>やイナの<私たちの仲も切り裂くの?>の言葉だった。
ウニョンとの愛に充足を覚えているチェハは、自分の子供時代を思い起こさせる少年を連れてデパートに向かった。名前を尋ねあい、靴を買ってやったりした。
ウニョンはイナに辞表を提出する。
そこで最初、飛行機の中で彼女に抱いた思いを吐露する。
「あなたをお姉さんのように感じていました」
ちょっとためらってから、イナも応じる。
「私もあなたを妹のように感じていたわ」
そんな経緯などつゆ知らないチェハは、ウニョンの出てくるのを待ってドライブに連れ出そうとする。それどころじゃないウニョンだが、彼女にとってチェハはやはり癒される存在なのだろう。そばにいてもらうだけで気持ちもなごむのであろう(昔のスホとダブルところをどこかで感じるのかもしれない)。
ウニョンが辞表を出したと聞いてフィリップは驚く。
「なぜ?」
「私に聞かないでよ」
電話をかけてみるが、電話は通じない。フィリップはウニョンとの出来事を思い起こしながら、ウニョンのところに出かける。
「僕のせい?」
「違うよ。誰のせいでもない。私が決めたの」
「逃げちゃだめだよ」
「誰かを好きなことが、こんなに悪いことだとは・・・みんなを傷つけないように元へ戻るだけ」
「辞めなくていいよ。考え直して」
「いいの。このことはチェハさんには言わないで」
フィリップにはっきり気持ちを告げたウニョンである。
チスクは手を回し、気に食わないのり巻き店を買収した(いくら金があると言ってもこれは散財の感あり。ステータス夫人にしては単細胞過ぎるようだが、ウニョンへの敵意はうまく表現できた格好である。ドラマだから極端は仕方ないか)。
これでチェハは、ウニョンの所在がわからなくなる。しかし、あきらめず、ウニョンを探し回る。店の前で友人に会うが、友人は口止めされていたようだ。
フィリップはウニョンの行動を把握していた。
チェハの話を聞き、その情熱に心打たれたフィリップはいさぎよく自分を敗北を認める。ウニョンの始めた路頭販売の場所を教える。
その場所に出向いたチェハはウニョンの手を取り、車で連れ出す。
夫の帰国歓迎祝賀の席でチェハの婚約を発表するとチスクに聞かされたイナは友人を招き、そこに出席する服を選ぶのに余念がなかった。
チェハはウニョンを車に乗せ、黙って車を走らせた。河のほとりで車を止めた。ウニョンの手を取り車からおろさせ、芝生を歩いた。そこに寝転んだ。
「いまやるべきことは恋愛ごっこじゃない・・・これ以上あなたをこまらせたくない。ご両親とも、フィリップとも仲よくして」
行こうとするウニョンをチェハは必死で引き止める。
「行かないでくれ」
そう言ってウニョンを抱きしめる。
「そばにいてくれ。逃げないで、ただそばにいて。そこが君のいる場所だ」
チェハを愛し始めているウニョンがこれを拒めるわけがない。
二人は夕暮れまでの時間をそこで過ごした。ウニョンの肩に頭を預けて目をつぶるチェハ。そんなチェハを幸せそうに見つめるウニョン。
そんな中、パーティの準備は着々と進行している。
ウニョンを伴ってパーティ会場に向かうチェハ。彼はある決意をたぎらせていた。
チスクたちはチェハの到着が遅いのを訝りだしていた。
会場に着いてから、ウニョンはチェハの異変に気付いた。
「どこに行くの。・・・ここはどこ?」
「手を離さないで」
会場ではユン・ミョンフンの挨拶が始まっていた。
会場に入って驚くウニョンをチェハは手を取って説得した。
「僕を信じるならここにいてくれ」
紹介を受け、パーティの壇上に立ったチェハはいきなり切り出した。
「ご紹介します。僕の愛する人、パク・ウニョンさんです」
事情を呑み込めないウニョンは、いたたまれなくなってそこを飛び出した。
チェハもそんな彼女を追いかけて外へ飛び出していった。
周囲の者たちにさまざまの波紋を投げかけながら・・・。