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韓国ドラマ「病院船」から(連載202)
「病院船」第19話➡執刀医の不在④
★★★
元妻の病床に手をかけたまま事務長は大きくため息をついた。
患者の”死のリスク”は時間を追って高まり続けている。
そんな患者を目の前にしながら、担当医のミョン・セジュンもウンジェもゴウンもただ見守るしか出来ないでいた。
事務長は立ち上がった。ミョン・セジュンに訊ねた。
「ソンヒはどうなるんですか?」
ミョン・セジュンはただ黙っている。
事務長はウンジェを見た。
「ソン先生」
「お子さんは病院に?」
ウンジェは訊ねた。
「ソン先生…」
「…お子さんを呼んだ方がよさそうです」
「それじゃ…諦めるのですか? 何もできずに、このまま…?」
その時、誰かの声がした。
「諦めません」
救急室に入ってきたのはキム・スグォンだった。カン・ドンジュン
と息子のジェゴルが後ろに従っている。
「ソン先生。君らしくないぞ」
「院長…」
ゴウンはヒョンに笑顔を向けた。
「患者を手術室へ」
「麻酔科医を2人呼んだ」とドンジュン。「ミョン先生が摘出し、ソン先生が移植を行う。それでいいだろ」
ウンジェの目は潤んだ。
「院長…ありがとうございます」
深々と頭を下げた。
★★★
キム・スグォンはウンジェのそばに歩み寄った。
「いや、私が悪かったんだ」
ウンジェは顔を上げた。
「まず手術室へ行け。後のことは…」
2人を見ながらジェゴルの顔はほころんだ。
「患者を助けてからだ」
キム・スグォンは背を返した。和んだ表情でジェゴルを続いて出ていった。
カン・ドンジュンは言った。
「患者は俺が運ぶから2人は行って準備してくれ」
ウンジェと事務長はどちらからともなく顔を見合わせた。
「何も言わなくても」と事務長。ソン先生は患者に最善を尽くす人だと私が一番知ってる。だから、信じて待ってるよ」
ウンジェは頷き、控えめの笑みを残して出て行った。
廊下に出て来たウンジェの腕をヒョンが掴む。
2人は見つめ合う。ヒョンは手を掴んだ。固く握って言った。
「後のことは考えず、手術だけに集中すればいい」
ウンジェは頷いた。手を放したヒョンの横を手術室へ急いだ。
ヒョンは新生児室にやってきた。
出入り口を間近にした時、病院船で赤子を産んだ。母親が出てきた。
身体をふらつかせ倒れかかる彼女をヒョンが助けた。ヒョンは彼女の腕を取って訊ねる。
「大丈夫ですか?」
母親はヒョンをにらみつけ、腕を振り切って行こうとする。
ヒョンはとっさに叫んだ。
「身体が熱いぞ―熱が…」
問いかける前に彼女は床に崩れ落ちた。ヒョンはとっさに頭部を庇った。
「ファンさん、しっかり!」
彼女の母親も現れ、助けに走り寄った。
「インジョン」
「ファンさん目を開けて」
「どうしたのよ!」
2人はインジョンをベッドに運んだ。
報告を受け、カン・ドンジュンが駆けつけて来た。
「何の患者だ?」
「先日、病院船で出産したファンさんです」
「ああ、この人か…」
「呼吸と脈拍は正常ですが」
「ですが、何だ?」
「熱があります」
「熱を測らせてもらいますよ」
ドンジュンは耳元に体温計を伸ばした。
「何だ! 38度5分か―血圧は?」
「85の60です」と看護師。
「低いな…とりあえず、輸液をして、アルコール清拭で解熱をかけよう」
看護師に指示を出してドンジュンとヒョンはそこを離れた。
「今日は大忙しだな、ほんと」
ドンジュンは笑い声を立てる。気分がほぐれてるのは、一時的にせよ、ドゥソングループのプレッシャーから解放されているからだった。
ヒョンは訊ねた。
「救急室に平穏な日がありますか?」
「ないよな…」ドンジュンはヒョンを見た。「ソン先生の成功を願うが、…何が成功だか分からないよ。手術がうまくいっても、患者に訴えられたりするんだから」
ドンジュンはファン・インジョンのベッドを見やり、行ってしまった。
ヒョンは立ち止まって彼女のベッドに目をやり続けた。