ビリーが車に向かって引き揚げる途中、チョルスの甥っ子ジュンソクたちが坂道を駆け上がってくる。学校帰りだ。
ビリーは立ち止まる。ジュンソクらは傍らを走り抜ける。そのまま庭先へ走りこんでいく。
「ただいまーっ!」
大きな声が響く。
アンナがコッスンのエサを持って出てくる。子供たちは立ち止まり、アンナがエサをやるのを眺める。
「おばさん、縄跳びで満点もらったよ」
ジュンソクが報告する。
弟たちが声をあげて手を叩く。
「そう。教えられただけのことはしたわね。大人を喜ばせるのが子供の務めよ」
「満点だったのは僕だけだよ」
「ええ。好きなだけ自慢していいわ」
「お腹すいた」
とユンソク。頷くグンソク。
「ちょうどジャージャー麺を作るところよ。入りなさい」
「やった。ジャージャー麺だ」
子供らはアンナに続いて家に入っていった。
「ジャージャー麺」立ち止まって彼らの様子をうかがっていたビリーは寂しそうにつぶやいた。「僕には”もうない”と言っていたのに」
ため息が出る。
「まあ…自分のせいだから仕方ない」
うなだれて行こうとしたら、そばにカンジャが立っている。ぎょっとする。
摘んだ花を手にしている。
「おじさん、泣かないで。これあげるから」
ビリーを慰めながら花を差し出す。
気持ちを和ませ、花を受け取ろうとしてビリーの形相は一変する。仁王のような顔で言った。
「これはみんな君のせいだ。君なんて嫌いだ。あっちへ行け」
引き揚げようとするビリーに取り付くようにしてカンジャは言う。
「おじさん、今日はゴム跳びをしようよ」
ゴムひもを見せながらビリーについて歩く。ビリーはカンジャから離れるために急ぎ足になり、ついには走って逃げ出す。カンジャは逃げるビリーを必死で追いかける。
「ケジュさん・・・今日は会えません」
コン室長は電話しながら歩道を歩いている。ちらと建物を見上げる。
「今日は親戚の結婚式なんです」
「ああ、そうなの。私も親戚の結婚式に来てるのよ」
ケジュは受付を終えたところで電話を受けていた。
「そうですか。ケジュさん、羨ましくなりませんか?」
「あなたもそう思ってた?」
「はい」
ケジュがふと玄関を見るとコン室長が入ってくる。
二人は笑い合いながら顔を合わせた。
「ケジュさん」
「パングや」
コン室長はケジュに歩み寄った。
「ケジュさんもここに来てたんですか?」
「あなたも?」
「じゃあ、僕たちは…」
「遠い親戚?」
二人は落胆に沈んだ。
”禁じられた遊び”のギター曲が流れる中、二人は夕暮れの海を見つめた。
script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb