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韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話②
韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話①
★★★
ジュンジェは立ち上がって戻ろうとするセファの腕を取った。
「どこへ行く?」
「自分の部屋よ」
「…行くな」
「酔ってるの?」
「…」
「酔った時の口癖でしょ?」
「違うけど今夜はここだ。行くな」
セファをベッドに引っ張り込んで毛布をかける。後ろから抱きしめる。
「もちろん行かないわ…」
目をつぶろうとして振り返る。
「ねえ」
「何?」
「あれだけど…」
「あれって?」
「さっきのあれよ」
ジュンジェは顔を起こしてキスをする。
「これか?」
「うん…これからはこれを信じていい?」
「もちろんだ」
「約束よ」
「一緒に寝よう。こうしていれば怖い夢も見ないはずだから」
(毎晩、怖い夢を見てくれたらいいのに…怖い夢ってとってもヤバイわ…)
ジュンジェに抱かれてセファも目をつぶった。
ジュンジェの腕をおしのけ、セファは二人のベッドから抜け出た。ベランダに出て来てソウルの街並みを見やった。
(ジュンジェは私が好き! ジュンジェは私が好き!)
セファの嬉しい気持ちを拾い、ソウルの街並みはオーロラのようなまばゆく美しい夜景を現出させた。
「ジュンジェは私が好き! 心臓が破裂しそうだ! ああ、もう〜身体が火照ってきた! 身体から力が湧いて来たわよ〜!」
セファは夜空に向けて両手をかざした。
★★★
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寝床に就く前、モ・ユランは思い出すにはつらい記憶に浸った。
病院で見かけたホ・イルジュンとカン・ソヒのせいだった。
見たくないものを見てしまった。
酒が喉を通過するとため息がついて出る。
その時、ドアがノックされた。
部屋に入ってきたのはジンジュだった。彼女も酔っている。
「酔い覚ましにはちみつ湯をおねがい…何してるの?」
モランは酒の入ったグラスを握って考え込んでいる。
「お酒を見ただけで吐きそうだわ…焼酎とキムチで…ああ、もう見たくない」
ジンジュは頼みを取り消して出ていった。
言われたことはしなければならない身。モランはジンジュを追いかけて部屋を出ていく。はちみつ湯を作ってジンジュに出してあげる。
はちみつ湯を飲んでひと息つき、ジンジュは訊ねる。
「どうして飲んでたの。何かあった?」
モランは黙ってジンジュを見つめ返す。
「何?」
「嬉しくて」
「…?」
「誰かに心配されたのは久しぶりです」
「やめてよ…そうじゃないでしょ?」
「…昼間に分かれた夫に会ったんです」
「あららら…偶然に?」
モランは頷く。
「でも…目が合ったのに無視されました」
「それ、ほんと? 戸惑いがあったからでは?」
「それなら理解もできますが、まるで知らない人を見るような目でした」
「…」
「こんなに時が流れたのに私の傷は ― まだ、癒えてないようです…」
ジンジュは立ち上がった。ワインとグラスをふたつ持ち出してきた。
「どうしたんです。お酒を見るのは嫌なんじゃ…?」
「飲まずにいられないわ」
グラスにワインを注ぎだす。
「焼酎じゃなくてワインだけど」
「…」
「それにしてもひどい男ね。一緒に飲みましょ」
グラスを重ねてジンジュは先にぐいと飲む。
そんなジンジュを見てモランの頬はゆるむ。
「私も今日は散々だったわ」
「どうしてです?」
「おばさんが作った料理を届けてる家の奥様にね。この間、酔ってつい絡んじゃったの。それ以来、相手にしてくれなくなったのよ。膝間づいて謝ったのに…さ」
「そこまでやったの?」
「そうなのよ、もう…でも私は事実を言っただけなの」
「…」
「あの女は高校の同窓生から夫を奪い、自分が後釜に座ったのよ」
モランはワインを飲む手を止めた。ジンジュを見た。
「ひどい女でしょ?」
モランは相槌を打てない。もしやの思いに駆られたからだった。
ジンジュは続けた。
「前妻は慰謝料ももらえずに家を追い出されて以来、ずっと行方不明なの」
モランはワイングラスを落としそうになった。唇をわなわな震わせた。
「ご主人のお名前は?」
「聞いて分かるかしら…ホ・イルジュンという不動産王で ― 江南にいくつもビルを持ってるの」
「…」
「大金持ちよ。とても大きな会社よ。今は新都市を開発してるわ。それに投資させてもらおうと ― これまで散々尽くしてきたのに…」
震える声でモランは言った。
「その家に私の料理を?」
「そうよ」
「私の料理を…あの人たちが食べて…」
モランの目は悲しさと悔しさで潤んでくる…。
「だけど、無視を続けるなら私にも考えがあるわ。この噂を江南中に広めてやるつもりよ。私は本気なんだから」
ジンジュの話は聞かずにモランはつぶやく。
「世間は狭いもんですね…」
「でしょ? だから噂もすぐ広まるわ」
「…」
「見てなさいっていうの」