韓国ドラマ「プレーヤー」(連載57)
☆主なキャスト&登場人物
○ソン・スンホン➡(カン・ハリ(チェ・スヒョク))
○クリスタル➡(チャ・アリョン)
○イ・シオン➡(イム・ビョンミン)
○テ・ウォンソク➡(ト・ジヌン)
○キム・ウォネ➡(チャン・インギュ)
○アン・セホ➡(メン・ジフン 係長)
プレーヤー」第4話→(感情的に動くな)⑬
★★★
アリョンがドアを通り抜けたのを見てビョンミンは再びエンター・キーを押した。気分よさそうな笑い声を立てた。
「これでどうだ」
呼応してドアの設置機器は赤い光を放った。
ドアの前でナ社長らは立ち往生した。ドアノブはロックされ、ピクとも動かなくなったからだった。
ナ社長は舌打ちし、配下に言った。
「あっちに回れ」
「あっちだ」
連中は別の出口に向かって走り出す。
★★★
「次はどっち?」
「探すからちょっと待ちな」
アリョンは逃げながらビョンミンと応答を続ける。
「まっすぐでいい。それで右に抜けてからだ」
「分かった」
しかし、最後のところでアリョンは追手に絡まれる。もつれて股間を蹴り、アリョンは逃れる。その際、耳元の機器を落としてアリョンは逃げ続ける。
モニタを見ながらビョンミンは指示の確認を行う。
「ちょっと待て。そっちは違った。まっすぐ行って、右に抜けたら左に…」
説明してる時、ビョンミンはアリョンが通信機器を落として走り去ったのに気づいた。
ビョンミンはアリョンを呼んだ。
「アリョン、どこにいるんだ。まず右に行け。右に行ってから左だよ」
通信機器を失ったアリョンは自力で逃走路を見つけるしかなくなった。
アリョンは立ち止まった。ビョンミンの指示を思い返す。
「左に抜けてから右だから…こっちだ」
走り出す。
この時、方向はずれを生じていた。
ビョンミンは叫んだ。
「そっちじゃない。逆だ。こっちに来たらダメなんだよ」
追手もこっちに走ってくる。
「こっちに来るなって」
もう指示だけ出していられない。
ビョンミンはノートPCを掴んだ。抱きかかえて走り出す。
「いたぞ。捕まえろ」
アリョンは追手に見つかった。
アリョンは足を止めた。舌打ちし逃げてきたコースを引き返す。
「待ちやがれ!」
アリョンはどんどん一直線に逃げる。
ビョンミンは逃走口から中に入った。
「どうして来ないんだ」
気を揉みながらアリョンが現れるのを待つ。
ビョンミンはノートPCを開いた。エンター・キーを押した。
パイプシャッターがゆっくりと下り始める。
「早く来い。来たら開けてやる…」
やがてアリョンは別の方向から姿を見せる。どんどん身体を大きくしてくる。
ビョンミンはびっくりする。
「何でそっちから…」
シャッターの外に脱け出る時、焦ってノートPCを内側に取り落とす。
拾い上げてシャッターの動きを止めようとするが、PCはいうことを聞かない。
アリョンは全速力で走ってくる。
ビョンミンは必死にシャッターが下りて来るのを両手で必死に止める。
「早く来い、早く!」
アリョンは全速力でシャッターの下に飛び込んだ。
シャッターは追手たちとアリョンたちを二つに分けて閉まった。
ビョンミンはアリョンのもとに歩み寄った。
「大丈夫か?」
アリョンは黙って息をついた。
追手は外に出てこれない。
「お前すごいな。やってのけたよ」
笑顔を返したアリョンだが、ビョンミンに抱きつかれて表情は変わる。
笑い続けるビョンミンにビンタをかました。
怒った顔で背を返し先にひとりで歩き去った。
一部始終をを見ていた追手たちはシラーッとした目でビョンミンを見た。
ビョンミンは彼らにボソボソと話した。
「俺は大丈夫なので、心配しないでください」
しかし、追手らも我に返った。シャッターを叩きだす。
「おい、コラッ! ここを開けろ。この野郎」
ビョンミンは彼らをナ社長のアジトに閉じ込めたまま、ゆっくりした足取りでそこを離れた。
どこのドアもロックがかかっている。
「あいつら、俺をここに閉じ込めたのか。いいだろう」
ナ社長は両手を髪にやった。
「お前たちは今日、死んでもらう」
ドアに体当たりする。
「開けろ。あけるんだ」
あっちこっちのドアを蹴りまわす。
「この野郎、出て来い」
やがて、一つのドアの前にきた。そのドアを両手押し開く。中に入っていくとスモールが点っている。
リングの中に誰かが座っている。椅子に座っているのはハリだった。
「欲が過ぎましたね、先輩」
ハリは膝を叩いて椅子から立ちあがった。