雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第11話(8)




 チョルスはアンナが留守の時に家に戻った。即席麺を作って甥っ子らと一緒に食べる。
 麺をすすりながらチョルスは甥っ子らに訊ねた。
「おばさんはどうした?」
「知らない」
 ジュンソクが答えた。
「”もうみんなと仲良くできない”って言ってた」
「”もう話しかけるな”って」
 とユンソク。
「それで?」
「”叔父さんは悪い人だ”って」
 とグンソク。
 チョルスは唖然とした。
 甥っ子らまで言いくるめようとするとは…今回ばかりは徹底してるな、と思った。
 しかし、こっちだって手をこまねくわけにはいかない。言うことは言っておかないとこっちが不利になる。
「みんな、俺を信じるだろ?」
 三人はチョルスを見た。
 黙って答えようとしない。
 チョルスはアンナから受けた仕打ちを思い出し毅然として言った。
「お前たちも悪いことだけはするなよ」
「・・・」
「人を騙しちゃダメだぞ」
「・・・」
「なっ」
 チョルスは愛想笑いし、ジュンソクの頭を撫でた。
 チョルスは甥っ子らをジロリと見た。

――こいつら、俺の言うことを信じてないみたいだな・・・さては、アンナをここに連れてきた魂胆を読み取った…? まさか?。

 この時、チョルスの携帯が鳴った。
「はい、キム巡査・・・えっ? サンシルが警察署に?」


 チョルスは車でアンナを捜しに出た。
「ナ・サンシル・・・なぜ俺はいつもお前を捜してるんだ?」
 
 チョルスは息をついた。緊張を緩めた。
 アンナは目星をつけたバス停の待合所に座っていた。
 彼女は肩を落として長椅子に腰をおろしていた。外の景色は何も目に止まらず、ただ、自分の心の闇を見つめているようだった。
 チョルスはそんなアンナのそばにそろそろと近づいていった。

 アンナは顔を上げた。わずかながら目に力が戻ってくる。
 そばに立ったチョルスと目が合った。アンナは目元をコートの裾でぬぐった。
「私を捜しに来たの?」
「…」
「誰も捜さないのに…どうしてあんたは私を捜すの?」
「目につくからだ。知らないフリなんかできないよ」
 チョルスは待合所の中に踏み込んだ。
 アンナはチョルスを見上げた。
「私は捨てられたのよ。家族は誰も私を捜さない」
「家族は捨てたりなどできないさ。きっと、何か事情があるんだよ」
「私は一生、本当の自分もわからず死んでゆくのね」
「そんなことない。少しずつ思い出してきてるし、そのうち記憶はまとまってみんな思い出せるよ」
 チョルスはアンナを励ました。
「私には行く当ても記憶もないし、捜す人もいない。頼れるものなんか何もない」
「俺がいるだろ」
 チョルスは強調した。 
 アンナはチョルスを見上げた。
「でも・・・厄介かける口実がないわ」
「口実ならあるさ」チョルスは答えた。「俺に復讐しろよ」
「・・・」
「天下のサンシルを騙してこき使って…数え上げればキリがないくらいだ。その償いをさせろ」
 アンナはチョルスをじっと見上げている。
「今は俺の顔しか思い出せないなら…俺に頼ってくれてもいいんじゃないか」
「…」
「お前が負担に思うならこうしよう…行くあてが見つかるまで俺がその手を離さない」
「…」
「帰ろう」
 チョルスは手を差し出した。
 アンナはためらいつつもそろそろとチョルスの手を握った。



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