雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ ファンタスティック・カップル 第16話(8)





 ―― この子は?
 アンナは真剣な目をカンジャに向けた。
 カンジャは天使のような微笑を見せた。
「お姉さん、行ってもいいわ。雪が降る日に会おうね」
「雪は――降らないと言ってるでしょ」
「でも、降ったら必ず来てね」
 アンナは黙ってカンジャを見つめる。サンシルとして見ていた時と違うように感じながら。


 弁当を運んできてケジュは息子に言った。
「ナさんは今日発つそうよ」
 ドックはびっくりした。
「チョルスは知ってるの?」
「たぶんね。道理で朝から様子が変だった」
 ケジュは舌を鳴らした。
「まったく~、ナさんったら気丈な人ね。一人で行くのにどうしてチョルスと別れるの?」
「えっ? 一人で行くんだって?」

 車がやってきて止まった。チョルスがおりてくる。
 浮かない表情で事務所に向かって歩き出す。

「じゃあ、離婚したの?」
 ドックが母親に訊ねる。
「パングがそう言ってたわ」
「それはどういうことなんだ? だったら兄貴に教えなきゃあな」
 チョルスは事務所の階段をあがった。
 ドアを開けようとしたらケジュの話し声が聞こえてくる。
「”ぜんぶ忘れる”ってさ。この町もチョルスのこともみんな―パングの話によるともともとそういう人らしいわ。冷たくて強くて自分勝手だから―ここでの騒がしかった思い出なんかぜんぶ忘れてしまいたいのよ」
 ドックは頷く。
「まあ、そう簡単に人は変わるもんでもないしな」
「ぜんぶ忘れて元の生活に戻ればいいの。今日であれもこれも終わりよ」

 二人の話を聞いていてチョルスは中に入るタイミングを失った。そのまま背を返し、階段をおりた。ズボンに手を突っ込み、とぼとぼと車に戻った。


 その様子を離れた場所から見つめている者がいる。
 車のサイドミラーにアンナの顔が映る。その表情も寂しく暗い。

 運転席のドアの前でチョルスは携帯を取り出す。
 それを見てアンナは携帯を手にする。着信を奏でるのを期待する。しかし鳴り出さない。
 チョルスはアンナの携帯番号を開いた。クリックすればアンナの携帯につながるだけになった。
 チョルスはクリックしたい気持ちを必死に抑えた。
「今になって電話しようなんてどうかしてるぞ。俺は大バカ野郎だ」
 チョルスは携帯を閉じた。
 
 チョルスが携帯をしまったのを見てアンナも手にした携帯を置いた。
「私は格好ばかり気にする最低な女よ。花束女よりひどいわ。しがみつくことも待つこともできない。ナ・サンシルはもっと正直だった。チョ・アンナ~、あんたは臆病者よ。気に入らないわ」
 アンナは車のハンドルを握った。アンナの車は道を曲がって走り去った。




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